昨今のペットブームの影響もあり、昔に比べて動物病院が増えてきたように感じます。
しかし、初めて犬を飼い始めた人にとっては、動物病院というのは未知の世界であり、どうしても見た目の印象でかかりつけの獣医を決めてしまいがちになりますが、実はそこに落とし穴がある場合があります。
今回は、
- 最近、犬を飼い始めたけど、かかりつけの動物病院をどこにしようか迷っている
- 今通っている動物病院に違和感や疑問を感じてきた
という人に向けて、犬にとって本当に良い動物病院を選ぶ際のポイントについて、お話をしていきたいと思います。
本当に良い動物病院の特徴
動物病院を見るポイントとしては6つあります。
- 商売っ気がない
- 少人数で運営している
- 予約不要ですぐ診てもらえる
- 運営歴が長い
- 動物と接した時の態度
- キャッシュレス決済に対応している
詳しく解説していきます。
商売っ気がない
動物病院は人間の病院の保険診療と違い、診療費や薬代を自由に決めることができるので、同じ症状でも病院によって、診療内容や料金が全然違います。
本当に良い動物病院は比較的良心的な価格設定にしている場合が多いです。
やたらと商品の購入を勧めてくることもありません。
軽度の症状であれば、電話対応のみで、まずは自身での対処療法で様子を見ることを勧めてくれます。
これは、決してクライアントを無下に扱っているわけではなく、純粋な良心から「その程度の症状であれば、わざわざお金を払って診てもらう必要はありませんよ」という意図があります。
私の実際の例を挙げると、以前げん丸くんの下痢と嘔吐の症状が数日続いた時に、診てもらおうと電話で症状を説明したところ、
「まずは、人間用のビオフェルミン止瀉薬(下痢止め)を与えて様子を見ましょう」
と言われ、用量や頻度についても丁寧に指示していただきました。
指示通りに薬を与えたところ、みるみる回復し、2日程度で症状は完全に治りました。
もちろん、動物病院も慈善事業でやっているわけではないので、利益を追求することは否定しません。
しかし、このように、何が本当にこの人と動物のためになるか、ということを第一に考えられる獣医さんは貴重であり、崇高な美徳のようなものを感じます。
少人数で運営している
本当に良い動物病院は、こじんまりとしているところが多い印象です。
大抵の場合、院長一人かプラス看護師一人くらいです。
それだと、大きな怪我や病気をした時、手術するのに不安だと思うかもしれません。
しかし、そのような場合は、大学病院などの高度な医療機関を紹介してもらってオペを行うことになるので、かかりつけの動物病院では、何人もの獣医や看護師、大掛かりな設備は必要ありません。
それよりも、かかりつけの動物病院では、いかに丁寧に診てもらい、小さな変化に気づいてもらえるか、というところが重要です。
予約不要ですぐ診てもらえる
予約がないと診てもらえない動物病院というのは、良い獣医さんで人気があるとも見れますが、必ずしもそうとは限りません。
例えば、
- その地域のペット数に対して十分な数の動物病院がない
- 軽度の症状に対しても大掛かりな検査を行なうため、1頭に対して掛かる時間が長い
- 立地が良い
- プロモーションが上手い
- 飼い主同士の口コミが広がった
といった、単純な物理的条件やイメージの良さが理由という場合があります。
完全予約制のデメリットとして、いざという時にすぐに診てもらえない、ということがあります。
また、予約制でなくても、患者数が多すぎて、長時間待たなければならない動物病院もやめた方がいいでしょう。
緊急時にすぐに診てもらえないって、何のためのかかりつけなのってことになってしまうブヒな…
運営歴が長い
その土地で長く動物病院を続けているということは、
- 一定のリピーターを獲得している
- 地域に根付いている
ということなので、ある一定の信頼度があり、知る人ぞ知るという獣医さんの可能性が高いです。
当然、見た目は古い建物の場合が多いですが、見た目の古さは問題にはなりません。
ただし、清潔感は大切です。
見た目が古いのと、衛生管理がずさんだというのは別問題です。
良い動物病院というのは、たとえ建物が古くても、入った時に空気がすっきりしていて、圧迫感や空気の澱みを感じません。
動物と接した時の態度
動物病院の獣医さんは、大抵の場合、優しい態度で犬と接してくれます。
しかし、問題なのはその時のベクトルがどこを向いているかということです。
一見、優しく丁寧に、犬のことを思って接しているように見えても、それが飼い主に対してのパフォーマンスである場合があります。
その場合は、犬のことを商品(収入源)として見ているので、そこに犬との心の交流はありません。
しかし、本当に良い獣医さんは、犬と心で対話しようとしてくれます。
犬の落ち着き方とアイコンタクトの仕方を見れば違いがわかります。
キャッシュレス決済に対応している
これは必須要素ではありませんが、やはり今の時代、いつまでも現金のみしか受け付けないというのは、さすがに前時代に取り残されているのではないかと不安が残ります。
いくら古い病院だからといって、現代のサービスについていけない、というのはよろしくありません。
せめて、PayPayくらいは欲しいところです。
私のかかりつけの動物病院は相当古く、「本当に大丈夫か」と思ってしまいそうな外観で、ご年配の先生が一人で運営されていますが、キャッシュレス決済に対応しており、なんと最新のiMacで診療記録を管理しています。
見た目とのギャップが何とも最高です。
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注意した方がいい動物病院のサイン
今度は逆に、この兆候が見えたら警戒した方がいい、という動物病院のサインを紹介します。
- やたらと商品を勧めてくる
- すぐに検査をしようとする
- 従業員の数が多い
- 飼い主の恐怖心を煽るような話し方
詳しく解説していきます。
やたらと商品を勧めてくる
やたらとフードやサプリの購入を勧めてくる動物病院は要注意です。
特にロイヤルカナンを棚にずらっと並べているところはかなり警戒したほうがいいでしょう。
このようなところは、下痢や嘔吐で来院すると、ここぞとばかりに低アレルギーフードのサンプルを勧めてきます。
アレルギー検査をするときも要注意です。結果に対して次々と高額なアレルギー対策フードを勧められます。
余談ですが、犬のアレルギー検査の数値は結構不安定で、アレルギー症状が出ていないタンパク源にも反応することがあります。
犬の皮膚炎は、フードの水分量や陰陽のバランスなどの要素が複雑に絡み合っており、食物アレルギーのみで判断できるものではありません。
ここで説明すると長くなってしまうので、詳細は別の記事で解説したいと思います。
すぐに検査をしようとする
症状の程度に限らず、やたらと血液検査やレントゲンを取ろうとする動物病院も注意が必要です。
そのような動物病院の考えとしては、
- 精密検査という名目であれば高額な治療費を請求しやすい
- 飼い主に対して「安心感(やった感)」を出しやすい
というところだと思いますが、やはりこれも患者に寄り添った診療とは言い難いです。
もちろん、症状が深刻な場合は、このような検査をするべきですが、「とりあえず検査をしましょう」というスタンスの動物病院は警戒した方がいいでしょう。
従業員の数が多い
獣医師と動物看護師の数が多いところも要注意です。
従業員の数が多いということは、彼らに支払う給料を賄うために、より稼ぐ必要があります。
そして、稼ぐためには、高額な治療費と執拗に商品購入を迫るというのは避けられなくなってきます。
必ずしも、働いている人の数が多いから診療の質が低い、ということではありませんが、多くなればなるほど、患者に寄り添う診療からは遠ざかる傾向にあります。
また、獣医師の数が多いということは、来院する患者の数も多いということなので、常に混んでいる可能性が高いです。
飼い主の恐怖心を煽るような話し方
自分の身体のことであれば、冷静な判断ができる人も、いざ愛犬のこととなると、盲目的に獣医師の言うことを聞いてしまいがちです。
もし、その獣医師が「〇〇をしないと××になりますよ」や「今日から〇〇をしてもらいますので、××は絶対にしないでください」といった、断定的で飼い主の恐怖心を煽るような説明の仕方をする場合は要注意です。
その業界で割と権威があり、頻繁に講演会を開いたり、書籍を出版しているような獣医さんにこのような傾向が見られます。
本当に良い獣医さんは、どちらかというと、「〇〇の場合はこのようなメリットとリスクがありますが、△△の場合はこうです」といったように、それぞれのメリットとデメリットを丁寧に説明して、飼い主に選択権を与えるような説明の仕方をします。
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普段から愛犬の変化に気づけるようになろう
愛犬と安心して暮らしていくためには、本当に良いかかりつけの動物病院を見つけることが大事です。
しかしながら、いざという時は獣医さんに頼れば良いと、あなたが愛犬に対してあまりにも無関心(無責任)なのはよくありません。
普段の生活の中で、積極的にスキンシップをしたり、注意深く様子を観察するようにして、小さな異変にいち早く気づいてあげられることが重要です。
特に散歩は、普段気づかない異変に気づきやすいタイミングでもあります。
- 不自然にびっこを引いている
- 極端に歩幅が小さい
- すぐに休みたがる
といった兆候が見られた時は、危険なサインです。
なので、散歩中もずっとスマホに夢中だと言う人は、愛犬とのこの特別な時間だけは、この子のために時間を使ってあげてください。
なお、今回紹介したポイントはあくまでも、私個人の経験から得たものですので、必ずしも全ての獣医師さんに当てはまるものではありません。
最終的には、ご自身のフィーリングを大切にして、最適な選択をしていただければ幸いです。