前回の記事、英語の聞き流しはリスニングに効果なし!むしろデメリットもで、聞き流しはほとんど効果がなく、むしろデメリットの方が大きい可能性があると説明しました。
しかしながら、やはり耳が空いている時間はリスニングに活用したいところです。
毎日忙しく働く社会人の人でも、1日のうちに無意識に過ごしてしまっているスキマ時間が実は意外と多く存在しています。
人によっては、全てかき集めると1時間以上になる場合もあるのではないでしょうか。
そして、このスキマ時間を活用するのにおすすめなのがながら聴きです。
今回は、聞き流しとながら聴きの違いやおすすめのシーンを紹介していきます。
聞き流しとながら聴きの違い
集中度
聞き流しとながら聴きの一番大きな違いは、リスニングに対する集中度の違いです。
聞き流しはその名の如く、聞こえたものを特に心に留めるでもなく流して聞いていきます。
通常、思考を必要とする優先度の高い作業と並行して行うので、リスニングに対する集中度は低くなります。
作業をしながら、
耳は空いているし、せっかくなら英語でも流しておくか
くらいの重要度の低さなので、リスニングへの集中度の割合としては平均して10〜20%程度でしょう。
一方、ながら聴きは「聴く」という方に主眼を置いていますので、ある程度集中して英語を聴きながら、思考を必要としない作業をすることです。
リスニングをしながら、
手は空いているから、簡単な雑用でもするか
という順序なので、リスニングへの集中度を常に60〜80%以上は保てることになります。
このように、聞き流しとながら聴きでは、リスニングに対する根本的なアプローチが違います。
作業ファーストかリスニングファーストかってことブヒな
理解度
集中度が違うということは、当然内容に対する理解度も変わってきます。
聞き流しでは、集中度のON・OFFが断続的に繰り返されるため、全体的な内容はほとんど頭に入ってきません。
なので、新しく再生するエピソードやオーディオブックは聞き流しにはあまり適していません。
それでも聞き流しをしたいということであれば、過去に一度完読した洋書のオーディオブックなどがおすすめです。
ながら聴きでは、リスニングがメインの活動なので、全体を通して常に一定の集中度をキープしているため、初見の音源でも問題なくストーリーを追うことができます。
興味のあるトピックや作品をどんどん聴いていこう!
再生時間
聞き流しは、読み書きを伴うデスクワークやその他判断を必要とする仕事など、ある程度大掛かりな活動をしながら、半ばBGM的に英語の音声を流しっぱなしにしているので、数時間〜1日中再生している場合がほとんどかと思います。
リスニングに対する重要度と集中度が低いため、長時間聴いていてもあまり支障はありません。(実際には脳が疲弊するなどの弊害がありますが)
しかし、ながら聴きではある程度集中して音源を聴きますので、長時間聴き続けるのは大変です。
また、リスニングはただ長く聴けば良いというものでもなく、いかに集中して内容を理解しようと努めながら聴くかが最も重要なので、自分が集中力を持続できる範囲を超えるような長い時間聴き続けるのは、あまり生産的ではありません。
私の体感的には、だいたい30分くらいがちょうどよく、せいぜい長くても1〜2時間が限界ではないでしょうか。
そもそも、何時間も単調な作業はできないブヒな
[ながら聴き]おすすめの活用シーン5選
まず、ながら聴きと一緒に行う作業の適性として次のようなことが挙げられます。
- 頭を使わない単純作業
- 考えなくても体が自動的に動くような習慣的な作業
- 毎日のように行う作業
- 退屈だけど必ずやらなければならない作業
- 一回の作業時間が30分〜1時間程度
この章では、上記の条件に合致しているのではないかと思う日常のシーンをいくつか紹介します。
もちろん、人によって生活スタイルやその活動に対する思いや好き嫌いはそれぞれなので、あくまでも一個人の主観として参考にしてくれたらと思います。
洗濯物を干しながら・畳みながら
前述の条件に最も合致していると思うのは、洗濯です。
まず、多くの人にとって、洗濯は洗う・干す・畳むの3つのパートに分かれているかと思いますが、そのうち干すと畳むはながら聴きと非常に相性が良いと感じています。
毎回乾燥機を使うという人でも、最後は畳む作業が必須です。
一人暮らしの私でも洗濯は億劫です。
家族がいる人は頻度と量が増えるので、さらに憂鬱ではないかと想像します。
しかし、洗濯というのは、あまり先延ばしにできず、必ずこなさなければならない家事の一つです。
また多くの人にとって、日常的に行う家事の中で最も退屈のものが洗濯ではないでしょうか。
そのような非生産的な活動を英語のリスニングをしながら行うことによって、半強制的に確保できる超生産的学習時間に生まれ変わります。
これからは、
ああ、今日も洗濯しなくちゃな、、
と思うのではなく、
よし、今日もあのエピソードの続きが聴けるぞ。楽しみだな!
と、洗濯という苦痛を娯楽の時間に変換することで、極めてポジティブな感情を持つことができます。
しかも毎日のように行うから習慣化されやすいブヒな!
料理をしながら
次におすすめなのは料理をしながらです。
料理はする人としない人がいるので、おすすめできる人は限られてしまいますが、ながら聴きとは非常に相性が良いです。
ただ、新しいレシピに挑戦する時など、思考を必要とする場合はあまり向いていません。
しかし、普段作り慣れている料理であれば、ある程度ルーティンが確立していて、手が反射的に動くようになっていると思うので、リスニングの集中を切らすことはありません。
ただし、料理は肉が焼ける音で焼き加減を判断するなど、聴覚情報も重要な場合があるので、場合によっては不向きになります。
また、料理中にながら聴きをする場合は、リスニングに集中しすぎて火傷をしたり、包丁で怪我をしないように注意しましょう。
私はげん丸くんのフードは手作りのものを与えているので、毎週日曜日に1週間分の食事をまとめて作っています。
だいたい1時間半〜2時間くらいかかるので、取り掛かるまでに結構腰が重くなってしまうのですが、作業中はお気に入りのPodcastを聴くようにしているので、いざ始めてしまえばその世界と作業に没頭し、あっという間に終わったと感じることができます。
掃除をしながら
掃除も洗濯と同様、退屈ながら定期的に行わなくてはならない家事の一つで、ながら聴きとは相性が良いです。
しかし、所要時間があまり長くないので、リスニングに没頭し始めたと思ったら終わってしまうことが多々あります。
また、掃除機をかけている時は音が聞こえにくいという難点があります。
大掃除の時なんかうってつけブヒな!
あと、これはかなり限定的になってしまうため、掃除というカテゴリーに入れてしまいますが、熱帯魚や金魚などを飼っている人は毎週行う水槽の掃除と換水を行う時はかなりおすすめです。
私自身熱帯魚を飼っているのですが、週一回行う水換えが結構億劫です。
しかし、この作業はポッドキャストを聴く時間と決めてから、以前よりは面倒だと感じなくなりました。
所要時間も30分くらいで、作業のほとんどはホースからバケツに水が流れるのを見ているだけなので、ながら聴きとはめちゃくちゃ相性が良いです。
ストレッチ・筋膜リリースをしながら
ストレッチや筋膜リリース、または軽いエクササイズなどもながら聴きにはおすすめです。
所要時間も15〜30分くらいとちょうどよく、思考を全く必要とせず、怪我をするような危険な作業でもないので、ながら聴きとはかなり相性が良いです。
しかし、他の作業に比べると緊急性が低く、サボっても特に支障がないため、習慣化しにくいということはあります。
また、これ自体が比較的気分の良い作業になるので、他の退屈で面倒な作業時に感じるような、作業に対するネガティブな感情をながら聴きをすることによってポジティブに変換しているというブースト感は薄くなります。
では、ヨガも似ているので良いのかと思うかもしれませんが、ヨガは瞑想に近く、高い集中力とマインドフルネスが必要になるので、実はながら聴きには向いていません。
ドライブしながら
車の運転は苦にならないという人であれば、ドライブ中もながら聴きと相性が良いです。
もちろん車の運転は他の作業よりも必要とする集中度は高くなりますが、論理的な判断は少なく、ほぼすべて感覚的に身体が反応して行う活動なので、思ったよりもリスニングを邪魔しません。
さらに、閉ざされた空間で周りの音もある程度遮断されているため、英語音声への集中力が高まりやすいです。
特に通勤で車を使っている人は、毎日同じようなルート・所要時間・時刻なので、習慣化という意味でも効果的です。
ただし、ひとつ動作を誤ると大事故につながることは変わりないので、あくまでも運転に集中して、余裕がある範囲でリスニングを行いましょう。
運転しながらスマホを操作するのは絶対にやめよう
[ながら聴き]とあまり相性が良く無いシーン5選
この章では、一見ながら聴きと相性が良さそうだが、実はあまり効果的ではない活動を紹介します。
ただし、人によっては効果的にリスニングを行うことができる場合もあるので、自分に合っていると感じていれば、そのまま継続して全く問題ありません。
仕事・勉強・読書などの言語活動中
英語リスニングを行うスキマ時間として多くの人が真っ先に思い浮かぶのは、おそらくデスクワークやその他単純作業を伴う仕事中や勉強中、あるいは本や新聞など何か文書を読んでいる時ではないでしょうか。
特にリモートワークが当たり前になってきた昨今、通勤していた頃よりも自由度が上がったという人も多いと思います。
確かに耳は空いていますし、日頃行う慣れた作業なので、ながら聴きとは相性が良いと思うかもしれません。
しかし、デスクワークをはじめこれらの活動は論理的な判断や言語処理を必要とするため、脳内の英語音声を処理する領域とバッティングします。
そのため、ワーキングメモリに高い負荷がかかり、脳が疲弊する上、リスニングもあまり効果的に行えません。
また、例え単調な作業であっても仕事となると長時間になる場合がほとんどなので、集中度を保ってリスニングを行うのは難しく、どうしても聞き流しの状態になってしまいます。
もし仕事中にリスニングを行うのであれば、1時間や2時間など時間を決めて、ある程度集中してリスニングをした方がメリハリもつけられますし、ダラダラ聴く癖もつきにくいです。
だだし、仕事への集中度が低下している分、当然ミスは増えがちになりますので、仕事の内容や重要度を考慮して、日常生活に支障が出ない範囲で行いましょう。
筋トレ中
前章でストレッチや筋膜リリースをしている時がおすすめと紹介したので、筋トレも同じではないかと思うかもしれません。
しかし、筋肥大が目的の場合、基本的に毎セット限界まで追い込んで、筋肉にとって危機的な状況を作り出す必要があります。
そのためには高い集中力と気合が必要になるので、リスニングどころではありません。
逆にいうと、リスニングできるくらい余裕のある負荷では、筋肉の発達はあまり期待できないということです。
インターバルの間は呼吸を整えるだけだからできそうだけど?
確かに実際のトレーニング時よりは容易かもしれませんが、筋トレに対する集中力はインターバル中も持続させた方が良いので、やはり得策ではありません。
結果的に、筋トレとリスニングどっちつかずとなり、非常にもったいない時間となってしまいます。
なので、筋トレ中はトレーニングに100%集中して、理想のBodyを手に入れましょう。
ダイエット目的の筋トレの場合でも集中した方がよさそうブヒな
ジョギング中
ジョギングは筋トレのように高負荷ではないし一定の動きなので、ながら聴きの適性があるのではないかと思うかもしれません。
しかし、ジョギング中は意外とリスニングに集中できません。
まず、ジョギングは心拍数をある程度高い状態を維持して行うので、血液が筋肉や内臓に多く周り、脳への供給が低下するため、英語音声があまり頭に入ってきません。
さらに、ジョギング中は常に身体が上下に動いているので、イヤホンをしていてもノイズが発生します。
また、自身の呼吸音もノイズとなりリスニングを遮断します。
ノイズキャンセリング機能がついたイヤホンであれば、多少マシかもしれませんが、物理的に揺れている状態なので、音声にも揺らぎが生じます。
音楽であればそこまで気にならない揺らぎも、シビアな安定感が要求されるリスニングになると、集中するのが難しくなります。
また、屋外で走っている場合、車の音やその他環境音が思いのほか大きいので、音声が聞こえづらくなることが多々あります。
あと単純に、外を走っている時は周りに注意していないと危険ということがあります。
ランニング時は結構スピードが出ているので、不意に自転車が飛び出してきた時など、反応が遅れる可能性があります。
もしやるとしたら、軽いウォーキング時やトレッドミルでのスローランニング時にするのが良いでしょう。
電車の中
電車に乗っている時もながら聴きに向いていると思いがちですが、いざやってみると意外に集中できません。
まず、電車から発せられる音自体が大きいので、英語音声が聞こえづらいです。
特に地下鉄やトンネルに入った時などは、全く聞こえなくなる時があります。
ある程度集中してリスニングする必要がある多聴では、たった1センテンスを聴き逃しただけでも理解度に影響が出るので、聞こえづらくなる状態が断続的に続く状況は好ましくありません。
いちいち巻き戻したりするのもストレスになるブヒな
また、ラッシュ時など車内が混雑した状況ですと、人の流動が激しく、周りにも常に気を配っている状態なので、集中を切らさずにリスニングし続けることが困難です。
電車で多聴をするのは、新幹線やロマンスカーなどの防音能力が高い車両で、座席を確保してゆったりできる時などに行うと良いでしょう。
路線バスも静かでのんびりしていて意外におすすめだよ
食事中
人によっては食事中も退屈な時間になることがあるかと思いますが、ながら聴きにはおすすめしません。
これは個々人の価値観によるところが大きいですが、私個人としては食事中は素直に食事を楽しんだ方が人生が豊かになると思っています。
そもそも食事というのは、内臓がフル稼働し、多くのエネルギーを必要とするので、本来ながらで何かをやるのには向いていません。
私も以前はテレビを見ながらダラダラ食事をしていましたが、数年前にテレビを処分して以来、基本的に食事中は無音で食事に専念するようにしました。
当然、味もよくわかり、消化も良くなり、栄養の吸収率も良くなります。
なによりごはんをおいしくいただけるブヒな!
そうすると、食材に対して感謝の心が自然に出てきて、今日も食べ物をいただけてありがたいという思いも湧いてきます。
食事に対する重要度は人それぞれかと思いますが、スマホやテレビに釘付けになりながら食事をしている人は、一度食事に向き合ってみることで何か気づきがあるかもしれません。
話は若干逸れましたが、食事中はリスニングをはじめ集中力を要することはせずに、ゆったり食事を楽しみましょう。
家族や友人との団欒は健康やメンタルに良い影響を与えるよ
ながら聴きでスキマ時間を有効活用しよう
本来多聴を行う時は、当然何も他の作業をせずリスニングに集中するのがベストです。
最低でも一日15分は集中してリスニングを行う時間を日々の学習予定に組み込みたいところです。
しかし、それでは到底ボリュームが足りないので、ながら聴きでスキマ時間を有効活用してリスニング量を稼ぎましょう。
多読や精聴などの能動的な学習と比べると効果はマイルドですが、英語に対する基礎体力の維持・増進には非常に効果的なので、ながら聴きといえど侮れません。
ながら聴きにはワイヤレスイヤホンが必須と言っても過言ではありません。
私は長らくiPhone付属の有線のイヤホンを使っていましたが、思い切ってAirpodsに変えてから、生活が一変しました。
おそらく、ワイヤレスのイヤホンを使っていなかったら、今のようにいつでも気軽にPodcastを聴くことはなかったでしょう。
決して安い買い物ではないですが、英語に真剣に取り組んでいる人にとっては、十分なリターンがある自己投資ではないでしょうか。
ちなみに私が愛用しているのはこちらのApple Airpods(第3世代)です。
今回紹介した例は私個人の経験から導いたものなので、人によって合う合わないがあるかと思います。
下記の基準に適合していれば、どんな作業でもながら聴きは可能なので、いろいろ試してみて、自分の生活スタイルにフィットする方法やルーティンを発見してほしいと思います。
- 頭を使わない単純作業
- 考えなくても体が自動的に動くような習慣的な作業
- 毎日のように行う作業
- 退屈だけど必ずやらなければならない作業
- 一回の作業時間が30分〜1時間程度