今回は、Atomic Habits上級編ということで、習慣のその先に見えるものは何かということを深掘りしていきます。
基礎編、実践編をまだ読んでいないという人はまずはこちらの記事を読むことをお勧めします。
生まれ持った才能について
才能に合った道を選ぶ
どんな人にも生まれながらにして得る才能や条件というものがあります。
恵まれた体格、整った顔立ち、親の経済力、忍耐強さなどの先天的な条件は変えることができません。
そして条件によっては、いくら自分がやりたいと思っても、身体的または経済的理由で挑戦することすらできない場合もあります。
また、ある人は特定の分野で際立った才能を持って生まれてきます。
しかし、たとえ天賦の才を持っていたとしても、あらゆる場所で輝けるわけではありません。
例えば、
- マラソンの金メダリストが短距離走に挑戦してもいい結果は得られない
- ボディビルのチャンピオンが水泳に挑戦してもいい結果は得られない
というように、それぞれの分野での適正というものがあるので、どんなに天才でも選ぶ領域を間違えると宝の持ち腐れとなってしまいます。
あのバスケの神と呼ばれたマイケルジョーダンさえ、野球に挑戦したときは活躍することができなかったしね
でも大谷翔平はサッカーやバスケをやっていてたとしても天下を取っていそうブヒな!
何かで成功を収めたいと思って何かに挑戦しようと思った時、ただ単に「好きだから」や「かっこいいから」という理由だけでその道を選んでしまうと、成功する確率が著しく下がってしまいます。
特に成功を目指していないという場合であれば構いません。
しかし、これから自分の好きなことのいくつかを犠牲にし、時間と労力を注いでその何かを達成しようと思っているとしたら、まず最初に成功する確率が最大値になる正しい領域を見つけることが重要です。
ただ勘違いしてはいけないのは、先天的な条件はあなたの運命を決めるものではなく、あくまでも可能性の領域を決めるだけです。
自分の才能に適していようがいまいが、成功するには習慣の力が必要です。
しかし、自分の才能に適している領域であればあるほど、行う習慣が苦になりにくく、楽しみながらできるという傾向があります。
鍵となるのは、自分の得意分野で勝負し、努力を正しい方向に定めるということです。
正しい方向の条件は2つあります。
- ワクワクすること
- 生まれ持った才能にマッチしていること
この二つのどちらが欠けてもいけません。才能と熱量がハマっていることが重要です。
あなたの性格はどのように習慣に影響するのか?
あなたの遺伝子は確実に習慣に影響を与えています。
眼に見える領域ではなく、もっと奥深く潜在意識レベルですべての行動・選択の決定を担っています。
例えば、結婚や離婚、ドラッグやアルコールなどの依存症まで、あなたがどのような道を選ぶのかというは、すでにある程度遺伝子レベルで決まっています。
そこで、習慣や行動のプランを立てる前にまずはあなたの性格を分析して、適切な行動指針を打ち出す必要があります。
もっとも信ぴょう性のある性格分析の指標のひとつにBig Five(ビッグファイブ)というものがあります。
この指標を使って、まずはあなたはどういう人間なのかということを可視化しましょう。
- 経験に対しての寛容度
- 好奇心旺盛・独創的 ←…→ 用心深い・一貫性
- 真面目さ
- 几帳面・効率的 ←…→ 気楽・自由奔放
- 社交性
- 社交的・活力的 ←…→ 一人が好き・人見知り
- 同調性
- 友好的・同情的 ←…→ 挑戦的・公平
- 神経の傾向
- 不安症・神経質 ←…→ 自信がある・落ち着いている・安定している
この5つの項目はすべて生まれつきの性質です。
習慣は必ずしも性格だけで決まるわけではありませんが、ある一定の方向性を示していることは疑いようがありません。
まずは自分という人間を客観的に分析し、その性格に合った習慣を模索する必要があります。
例えば、極度の人見知りの人にとってはグループに属して他人と一緒に何かをするというのは苦痛でしかないので、一人で黙々と習慣を積み上げていく方が向いるでしょう。
一方、人と関わるのが好きな人は、逆に人の目がないと挫折してしまい、誰かと一緒にやった方がモチベーションを保てて習慣を継続しやすいということがあります。
このように、ネットや自己啓発書から学んだ知識をこれは良さそうだとそのまま適用すると、自分の性格に合っていない場合があるので、まずはその内容が自分に合っているかどうかを考察する必要があります。
大事なのは、その習慣を行うことによって、自分が楽しい・嬉しいと感じることができるかということです。
心のワクワクを大切にすればいいブヒな!
そうだね!逆に理論上はいいと思ったものでもモヤモヤ感がある場合は合っていない可能性があるから、注意して自分の心を観察しよう
勝負できる土俵で勝負する
成功するための前提条件として、まずは得意なことを選ぶということです。
得意なこととはすなわち、やっていて苦にならないことです。
ここで注意したいのは、好きなことと得意なことは必ずしも一致しないということです。
とはいえ、いくら得意でも嫌いなことであったり、楽しいと感じないことは続きません。
では、どのようにして自分が勝負できる道を判断すればいいのでしょうか?
次の質問に答えてみてください。
- あなたには楽しいと感じるが、ほかの人にはそうではないものは何か?
- 時間を忘れて夢中になれるものは何か?
- ほかの平均的な人よりも、あなたの方が多くのリターンを得られるものは何か?
- あなたがあなたらしくいられるものは何か?
かなり的は絞られてきたのではないでしょうか?
しかしながら、いくら得意なものでも、ある一定のレベルまで達すると必ず壁にぶち当たります。
そこからさらに上を目指すかどうかは、あなたの才能を見極めて判断する必要があります。
残念ながら、すべての人が自分の得意な分野で勝負できるとは限りません。
時には自分の才能の限界を見極め、早々に撤退する勇気も必要です。
しかし、だからと言って完全にその道を諦める必要はありません。
あなたがその分野でのベストになれないのであれば、今あるスキルを組み合わせて、誰もやったことがないことを生み出せばいいのです。
こうすることによって、生まれつきの才能のハンデをある程度無効化できます。
真の成功者とは、何かのゲームでトップになる人ではなく、新しいゲームを創造する人です。
才能を最大限に活かすにはどうすればいいのか?
私たちの才能はいかにハードワークをしないで取り組むことができるかではなく、何にハードワークをして取り組むべきかということを教えれくれます。
あなたの性格とスキルにフィットしたものを選び、それにエネルギーと時間という貴重なリソースを投資して、易しいと感じるものでハードワークをするというのが正解です。
いくらあなたに才能があっても、それに取り組まなければ、成功というのはあり得ません。
例えあなたにボディビル世界チャンピオンになる素質があったとしても、実際のチャンピオンがこなす量のトレーニングをしてみないことには、本当にあなたに才能があったのかどうかはわからないのです。
要するに、才能があるが故に人よりも努力することができるということです。
言い換えると、才能があるとはその分野で誰よりも努力ができる特権を得たということだけなので、努力なしにポテンシャルを最大限発揮できるという魔法でもチートでもありません。
結局、才能を最大限活かすには最大限に努力するほかありません。
得てして真の成功者は己の努力をいたずらにひけらかさないので、我々凡人は彼らは運が良かっただけと片付けてしまいます。
しかし、彼らの成功は毎日やるべきことをやってきたという自信と自分はできるという信念に裏付けされたものであって、決して運だけで辿り着けるような境地ではありません。
モチベーションの保ち方
絶妙な難易度のバランスを保つ
難易度というのはモチベーションを保つ上で最も重要な要素の一つです。
簡単すぎてもつまらないし、難しすぎても嫌になってしまいます。
ものすごく頑張ればギリギリ勝てそうというのが最適なレベルです。
我々の脳はチャレンジが大好きなので、自分の能力の最大値を使う必要があることを行なっているときに、最高のモチベーションを感じます。
習慣を始めたばかりの頃は何よりも継続して行うことを優先しますが、ある程度習慣化された後は小さな成長を続けることが重要になります。
小さな向上と挑戦の連続があなたをその習慣に留めさせます。
このちょうどいい塩梅のゾーンのことをGoldilocks Zone(ゴルディロックスゾーン)といいます。
このゾーンに入るといわゆるフロー状態に入ることができ、集中力とモチベーションが切れることなく持続します。
そのためには常に新しい達成可能な挑戦を模索し、同じことの繰り返しにはならないようにすることが大切です。
退屈と感じた時の集中力の保ち方
アスリートやスポーツ選手において、偉大な選手とそうでない者の違いは、いかに退屈な練習を毎日淡々とこなすことができるかどうかです。
これは決して成功している人が退屈を感じにくい性質を持っているということではありません。
彼らも我々と同様、同じことを繰り返していれば退屈を感じますし、それによって起こるモチベーションの低下も経験します。
しかし、それでもやる方法を見つけるのが彼らなのです。
成功を目指している人にとって一番怖いのは失敗ではなく退屈です。
才能があるないに関わらず、誰にでも辞めたいと思う瞬間は訪れます。
プロとアマチュアの違いは、スケジュールにコミットするか、成り行きで過ごすかです。
やると決めたものはやり抜くのがプロってことブヒな
うん、逆にその時の気分でやるかどうかを決めるのがアマチュアだね
救いとなるのは、たとえモチベーションが下がった状態で行なったことでも、それを行なったことに対しては決して後悔はしないということです。
なので、とにもかくにもやるべきことはやるという基本的なことが一番大事ということになります。
成功するには退屈を愛する覚悟が必要です。
習慣の副作用
行動の自動化によって、ミスを発見しづらくなる
習慣化することによって、技術・スピード・流暢さなど全体的なクオリティが向上し、最終的には全ての工程がほぼ自動化し、労力や意思の力を必要とせずに実行することができるようになります。
しかしこの自動化には落とし穴もあります。
それは、行動を自動化することによって小さなミスを発見しづらくなるということです。
習慣化されていない最初の段階では、一つ一つの工程を意識的に行い、不備はないか確認しながら行います。
しかし、もう十分うまくできるというレベルまで達すると、それ以上の向上をしなくなります。
ある研究では、一度マスターレベルまで達すると、その後少しずつパフォーマンスの質が下降していくということがわかっています。
何かをマスターするには習慣は絶対に必要ですが、一方で意識的な練習も継続して行う必要があります。
習慣の自動化による技術向上の鈍化を防ぐにはどうすれば良いか?
この習慣の自動化による技術向上の鈍化を防ぐには、定期的に内容や目的を振り返るのが効果的です。
例えばこのような質問をあるタイミングで自分に問いかけます。
- 今年うまくいったことは?
- 今年うまくいかなかったことは?
- 何を学んだ?
行なった習慣について毎回フィードバックするのはよくありませんが、全く振り返らないのもよくありません。
このようにして、ある期間ごとにその習慣を振り返り、改めて分析することで、知らずに行なっていた間違いや欠陥に気づくことができます。
習慣を振り返ってアップデートするということは行動の変化を再認識すること、すなわちアイデンティティの変化を認識するということです。
あなたの成長を阻む固定観念をどのように壊していくか?
習慣を成功させていくにつれて理想のアイデンティティに近づいていきますが、そのことが次のレベルへの成長を阻んでしまう場合があります。
初心者の頃は失敗やそれに対するアドバイスにも真摯に向き合います。
しかし、段々と上達していくに従って、何かうまくいかないことがあっても、プライドが邪魔をして素直に弱点を認めることができず、真の成長を阻害してしまいます。
ある程度習慣をマスターすると、一つの方法に固執して他の方法を認めなくなります。
解決策はアイデンティティをなるべく小さく保つこと、すなわち謙虚になることです。
こうするべき、これが最善、という凝り固まった考えは人生の変化に対して対応できなくなってしまいます。
「私は何者だ」という強固なアイデンティティに固執するのではなく、「私はどのようなタイプの人間だ」という柔軟性のあるアイデンティティを持つことを心がけることです。
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習慣の変化=アイデンティティの変化=現実世界の変化
何かで成功したい、何かをマスターしたい、と思った時、習慣というのは欠かせません。
しかしこの習慣というのは、時に己のコントロールの効かないところまで拡大してしまうほどのパワーを持っています。
習慣を使いこなすには、習慣とはどういうものかを深く知る必要があります。
ただ単純に同じ行動を繰り返すことだけが習慣でありません。
その行動の水面下には脳科学や複利効果など様々な要素が絡んで、バックグラウンドで同時多発的に進行しています。
さらには、この行動の繰り返しにより人間が動かされるというところに儀式的な精神性すら感じます。
そして一番大事なのは、習慣を続けることではなく、習慣を通してアイデンティティを形成するということです。
まずは、どうありたいかということを念頭に置いて、その都度正しい行動を選択していれば、大きく道を外れることはありません。
最後に習慣についておすすめの書籍を一つ紹介します。
本書でも度々引用されていますので、興味のある人は一読することをお勧めします。