【洋書要約】Atomic Habits〈実践編〉習慣を制する4つの法則③簡略化する

今回は、Atomic Habits実践編第三弾ということで、習慣を制する第三の法則:Make it easy(簡略化する)について解説していきます。

Atomic Habits: An Easy & Proven Way to Build Good Habits & Break Bad Ones
習慣を制する4つの法則
  • 第一の法則(Cue):Make it obvious(明確にする)
  • 第二の法則(Craving):Make it attractive(魅力的にする)
  • 第三の法則(Response):Make it easy(簡略化する)
  • 第四の法則(Reward):Make it satisfying(楽しみにする)

第一の法則では、Cueを明確に意識し、意思の力を使わずに環境を整えることで、望む習慣と望まない習慣をコントロールしましょうという話をしました。

第二の法則では、より情緒的なアプローチでCravingに直接働きかけ、その習慣を行うこと自体を魅力的にする方法を説明しました。

第三の法則では、実際の行動(Response)をより少ない労力意志力で実行するテクニックについて、具体的な方法論を用いて提案しています。

それでは解説していきます。

本記事の概要
  • MotionとAction
    • Motionは動き出すこと
    • Actionは結果につながる行動を起こすこと
  • 時間ではなく回数×頻度
    • 習慣化(自動化)を決めるのは掛ける時間ではなくこなす回数とその頻度
  • 労力を最小限に抑える
    • 人間は最も簡単なものから取り掛かろうとする
  • 2分ルール
    • 簡単すぎると思うことからスタートする
  • コミットメントデバイス
    • 望む行動を不可避にし、望まない行動を不可能にする
  • ワンタイムアクション
    • 自動化できるものに頼る

当ブログで解説している内容は、本書を読んで私なりに解釈したものであり、著者の意図を忠実に反映したものではありません。また、実例の内容など一部わかりやすいものに変更している場合があります。

Contents

MotionとAction

自分を変えたいと思ったり、何か目標を達成したいと思った時、まずは実現するにはどうすればいいかリサーチするかと思いますが、多くの人は最適で完璧な方法を求めてしまいます。

例えば、

  • ダイエットであれば、最速で体重を落とす方法
  • 筋トレであれば、筋肥大を最大化するトレーニングメニュー
  • 副業であれば、絶対に儲かる完璧な方法

などです。

確かに理論上は効果を最大化できる方法なのでしょうが、今のあなたにとってはあまりにも非現実的なので、実際に行動に移すというところまでいきません。

この理想と現実の間に生じるギャップを防ぐには、MotionActionの違いを理解する必要があります。

どちらも「動き」に関する単語で、一見同じ意味の言葉にも思えますが、実際には大きな違いがあります。

Motionというのは、何かしようと思い立って、必要な情報をリサーチし、目標や計画を立てるところまでです。

Actionというのは、何かしらの結果につながる行動を起こすことです。

どちらも、「動き出す」というニュアンスがありますが、Motionが感情や思考などのメンタルの動き出しなのに対し、Actionは実際に体を使って実行するフィジカルな動き出しと言えるでしょう。

ダイエットを例に挙げると、トレーニング方法や食事について学ぶために何冊か本を買って読むというのはMotion、実際にヘルシーな食事を食べるのがActionということになります。

Motion(準備・下調べ・最適な方法の設計)は大事ですが、何冊本を読もうが、いくら専門家に話を聞こうが、Motionだけ行っている時点では得られる結果がゼロです。

げん丸

Motionは何も結果を生み出さないブヒな!

えいじ

うん、ある程度知識を得たらあとは実行あるのみだね!

何かを始めようと思ったととき、入念なリサーチは確かに必要ですし、必要だから行うのですが、それ以上に我々が下調べばかりを延々と繰り返して実際に実行に移さないのは、Motionを行うことで失敗のリスクなしで前進しているという感覚を得られるからです。

我々は皆、生まれながらにして失敗と批判を避ける名人です。

Motionを繰り返していれば、他者からのジャッジにさらされることなく満足感が得られるため、その沼から抜けられずに、「自分は進歩しているんだ」と自分を正当化し続けます。

しかし、それは前進しているのではなく、経験すべき失敗を先延ばしにしているだけに過ぎません。

もしあなたが本気で何かを変えたいと思っているのにも関わらず、なかなか始められないという場合、完璧に行うための準備がただの先延ばしの口実であることを自覚し、とにかく実際の行動に移す、そしてそれをひたすら繰り返すということを心がけましょう。

時間ではなく回数×頻度

習慣化について最も聞かれる質問のひとつに、

えいじ

何日続ければ習慣化できますか?

というものがあります。

しかしながら、その習慣に費やした日数(時間)というのはあまり重要ではありません。

習慣化を決めるのは、その習慣を何回繰り返したかという回数です。

極端な例ですが、同じ30日でも、その間に2回行ったのと200回行ったのでは、結果がまるで違います。

しかし、同じ回数行えば同じ結果が得られるかというと、そうでもありません。

同じ200回でも、30日間で行ったのと、300日間で行ったのでは、これもまた結果が違ってきます。

回数が一番重要ですが、そこに頻度という要素を掛けたものが、習慣化(自動化)するまでの速さとなります。

とくに始めたばかりであればあるほど、頻度が重要になってきます。

げん丸

質より量ってことブヒな!

えいじ

うん、最初はとにかく数をこなそう!

一度習慣化してしまえば、そのあとは頻度が落ちても省エネモードをキープできます。

自動車の運転などがわかりやすい例です。

最初の頃は、すべての項目をチェックし、全身に神経を張り巡らせて、常に緊張しながら運転しますが、一度習慣化(自動化)してしまえば、会話しながらや考え事をしながらでも、ある程度自動操縦モードでの運転が可能です。

運転する頻度が高ければ高いほど、自動化までのスピードは速くなります。

免許取り立ての頃いろんな人に、

えいじ

最初のうちはちょっとの距離でも毎日運転した方がいいよ

と勧められるのはこのためです。

そして、その後ある程度運転しない期間があっても、また一から思い出す必要はなく、以前のように運転することができます。

まずは集中期間を設けて一気に習慣を自動化させましょう。

労力を最小限に抑える

人間がこの世界で物理的な肉体を持っている以上、いかなる身体活動においてもエネルギーが欠かせません。

特に多くのエネルギーを消費するのが脳です。

我々の脳はできる限りエネルギーをセーブしたいので、目の前に複数のタスクがある場合、よりエネルギー消費が少ないタスクを選択しようとします。

例えば、他にやるべき事があるのにも関わらず、

  • スマホを延々とスクロールしてしまう
  • メールをチェックしてしまう
  • テレビをダラダラ見てしまう

ということが起こるのは、これらの行動が非常に低負荷でモチベーションを必要とせず、ほぼ労力ゼロで行えるからです。

ある意味、習慣と言われるもののすべては、あなたが本当に求めている結果を得るための障害であるとも言えます。

例えば、

  • ダイエットは痩せるための障害
  • 瞑想は心を落ち着かせるための障害
  • ジャーナルは思考をクリアにするための障害

というように、あなたはこれらの習慣から得られる結果が欲しいのであって、その行動自体をしたいからしているというわけではありません。

えいじ

障害 = 負荷という解釈もできるね

その習慣を行うことに対する負荷が高ければ高いほど、習慣化の難易度が上がります。

なので、いかにその習慣を簡単なものにして、たとえ気が乗らない時でもやるようになるか、というのが重要です。

では具体的にどのようにして抵抗を減らせば良いのかというところですが、やはりここでも環境の力に頼ることの重要性を唱えています。

有効な手段のひとつに、現在の生活の動線上に新しい習慣を組み込むというものがあります。

例えば、これからジムに通って身体を鍛えようと思った時、職場と自宅の間の通勤ルート上にジムがあれば、わざわざ違うエリアのジムに行くよりも、抵抗がかなり抑えられ、習慣化の成功率が上がります。

この場合、完全にいつもの通勤ルートと同じエリアにあるというのが肝で、たとえ1ブロック離れてるところでも、もうそこは通勤ルート圏外となるので、あなたの意識の中では「わざわざ行うこと」と判定されていしまいます。

また、身の回りにある邪魔なものや気を散らすものをできる限り排除する、というのも有効です。

例えば、

  • ダイエット中、友人と外食に行って食べるものを制限するよりも、最初から誘いを断る方が簡単
  • 集中したい時、スマホの通知を気にしないように心がけるよりも、スマホを見えないところに移動させる方が簡単

というような具合に、自身の忍耐力で勝負するよりも、潔くその抵抗の元から排除した方が賢明です。

さらに有効な手段として、未来に行う習慣のために、あらかじめ環境をセットしておくという方法があります。

例えば、

  • 絵を描きたいのであれば、鉛筆、ペン、スケッチブックなどの必要な道具を机の上の手の届きやすいところにセットしておく
  • ジムに行きたい場合は、トレーニングウェア、シューズ、バッグ、水筒などをあらかじめ用意しておく
  • ダイエットをしようと思っている場合は、週末に野菜やフルーツを切って、小分けにしておき、すぐに食べられるようにしておく

というように、あとはやるだけというところまで用意しておくと、取り掛かるまでの心理的ハードルがかなり下がるので、習慣化の成功率が上がります。

逆に悪習慣をやめたい場合は、その行動を行うまでのプロセスを複雑化したり、普段の行動範囲外に置いたりして、抵抗を大きくすることによって、やめることが容易になります。

例えば、

  • テレビを見すぎていると感じたら、見終わるたびにコンセントを外す
  • それでも十分な効果を得られなければ、さらにリモコンの電池を毎回抜く
  • それでも十分な効果を得られなければ、テレビ本体を毎回クローゼットにしまう

のような感じです。

げん丸

最後のやつはかなり極端ブヒな!

えいじ

はは、そうだね!ここまで来れば存在自体を忘れるレベルだね

決定的瞬間(Decisive moments)

習慣とは高速のインターチェンジのようなものです。

一度入り口に入ってしまえば、立ち止まったり、後戻りすることはできません。

そして、合流車線から徐々にスピードを上げていき、本線へスムーズに合流します。

この時、たとえ道を間違えたことに気付いたとしても、次のインターまでその流れを止めることはできません。

習慣も同じように、一度始めてしまったことをそのまま続ける方が、中断して何か別のことに着手するよりもはるかに簡単です。

例えば、

  • どんなにつまらない映画でも、途中で止めることができず、結局最後まで見続けてしまう
  • スナック菓子を食べ始めると、お腹がいっぱいにも関わらず延々と食べ続けてしまう
  • 一瞬だけスマホをチェックしようと思ったら、結局20分ダラダラとスクロールし続けてしまった

など、心当たりがあるのではないでしょうか?

一度行動を起こして流れを作ってしまうと、そこから軌道修正するのが途端に難しくなります。

なので、行動を起こす前に、よく考えて行動を選択する必要があります。

我々は一日を過ごす中で、たくさんの選択に遭遇します。

個々の選択は小さいものが多く、ほぼ無意識で選択してしまいがちですが、その選択ひとつひとつが今日という一日の良し悪しを決め、やがて未来の結果に大きなインパクトを与えます。

例えば、

  • 食事をテイクアウトで済ますか、料理をするか
  • 車で行くか、自転車で行くか
  • 宿題に着手するか、ゲームのコントローラーを手に取るか

など、日常のあらゆる場面で決定的瞬間(Decisive moments)が訪れます。

この決定的瞬間において採用される選択が未来のあなたの選択肢を決めます。

例えば、レストランに行くというのは決定的瞬間です。

なぜかというと、これからあなたが何を食べるのかというのを確定させるからです。

厳密にいうと、そのレストランで何を食べるのかという選択権はありますが、そのレストランに入った以上、そのメニューの中からしかオーダーすることしかできません。

ステーキハウスに行ったなら、サーロインかリブロースを選ぶことができますが、寿司は選ぶことができません。

この決定的瞬間での選択によって、その後の選択肢が制限されます。

私たちの行動は、一つ一つの習慣が導く方向によって制限されています。

なので、一日に何度も訪れる決定的瞬間をいかに制するかが非常に重要です。

習慣とは導入部分であり、最終地点ではありません。

ジムでトレーニングするのが習慣なのではなく、ジムに行くという行動及びその道のりが習慣なのです。

2分ルール

新しい習慣を始める時、スモールスタートを意識した方が良いということは、すでになんとなく知識として入っているかと思います。

しかし、実際に新しいチャレンジをしようと思った時に、その高揚感やワクワク感から、どうしても最初から色々やろうとしてしまいがちです。

その結果、負荷が高過ぎて続かなくなったり、計画だけして実行に移さないということになりかねません。

習慣化を成功させるには、この初動の部分が最も重要であり、離脱率が最も高い期間でもあります。

そこで著者は、最初は2分以内で終わるような簡単すぎると思うことからスタートする2分ルールを提唱しています。

例えば、

  • 1分瞑想をする
  • 1ページ本を読む
  • ランニングシューズを履く

など、物足りないと思うようなレベルのものから始めていきます。

新しい習慣を始める時は、難しい・面倒臭い・大変といったような、心理的な抵抗を感じてはいけません。

このフェーズでは、その習慣の技術の向上や自身のレベルアップは考えず、まずはその習慣を現在の生活の中に出現させるということが重要です。

そのために、最初はとにかくそのルーティン、特に導入部分を確立させることを最優先にします。

この期間では技術的な進歩はあまり期待できませんが、アイデンティティの強化は期待できます。

何もしていないのと、新しい習慣を意識して毎日2分行うのとでは、セルフエスティーム(自己肯定感)に雲泥の差があるからです。

そして、導入に慣れたら徐々に負荷を上げていき、スモールステップを繰り返していきます。

例えばランニングの場合、

  • ランニングシューズを履いてみる
  • 10分散歩をする
  • 1000歩ウォーキングをする
  • 5kmジョギングをする

というような感じで、徐々に負荷を上げていきます。

実際にジョギングをするまでに3ステップもありますが、このくらい慎重に負荷を上げていった方がスムーズにシフトしていくことができます。

そのようにして正しい方法でコツコツと習慣を積み重ねていれば、最終的にはマラソン大会に出るといった目標を持つまでになります。

習慣の導入部分においては、方法を最適化するのではなく、標準化することに注力しましょう。

コミットメントデバイス

習慣化を成功させるためには、その習慣をいかに簡単にして続けやすくするかというのも重要ですが、それよりも障害となっている悪習慣をやりにくくしてしまった方が効果的な場合があります。

例えば、

  • 22時に就寝することを目標にしている場合、オートタイマーで22時にルーターの電源を強制的に落とし、インターネットに繋げないようにする
  • 食べ過ぎを防止するために、食材をまとめ買いするのではなく、1食分ずつ購入する
  • 買い食いを防ぐために、外出する時は財布を持ち歩かない

など、予測される行動をあらかじめ制限してしまうという方法です。

また、ついついサボってしまうというような場合は、

  • ヨガクラスを予約して、先に料金を払ってしまう
  • 商談先の相手にメールをし、先に電話をかける日時を伝えてしまう

など、それをやらないと損をしたり、恥をかくという状況を強制的に作り出せば、やらざるを得なくなります。

このように、未来の予測される行動にあらかじめ制限をかけてしまうことをコミットメントデバイスと呼びます。

コミットメントデバイスは、良い習慣を不可避にし、悪い習慣を不可能にすることによって、習慣化の成功確率をアップさせてくれます。

ワンタイムアクション

習慣化を成功させるための鍵は、意思の力に頼らないということです。

これまで、環境の整備や方法論で習慣をコントロールする方法を紹介してきましたが、いずれの方法も基本的には毎回セッテングしたり、多少意思の力を必要とするものでした。

しかし、究極の方法として、1度その行動を行えば、その後半永久的に効果が持続し、常にその習慣を行わざるを得ない状況を自動的に作り出すワンタイムアクションというものがあります。

例えば、

  • 食べ過ぎ防止のために、小さい器にする
  • 良質な睡眠を確保するために、テレビを寝室から取り除く
  • 生産性を上げるために、スマホの通知をオフにしたりサイレントにする
  • 腰痛防止のために、しっかりとしたチェアまたはスタンディングデスクを買う
  • 毎月給料から自動定額入金で貯金する

など、道具や技術の力を借りて、強制的に望む状況を作り出します。

現代は技術やサービスが進歩し、かなりの範囲で自動化が可能になってきています。

あなたのパフォーマンスを最大限に保つために、自動化できるものにはできる限り頼りましょう。

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意思の力ではなく技術の力に頼ろう

第一の法則、第二の法則ともに習慣化の鍵は一貫してオートメーションなのですが、第三の法則ではではさらにいかにして意思の力を使わずに自動化をするかということに焦点を当てています。

人間の脳は基本的に怠けるようにできているので、どんなに自制心が強い人でも、意思の力だけで地道な努力を積み重ねていくのは至難の業です。

まずは、自分は怠け者だということを認めるところから始めると、おのずと抵抗なく習慣を続ける方法を模索し、苦労を感じることなく自身をレベルアップさせることができるのではないでしょうか。

習慣を制する第三の法則まとめ
  • MotionとAction
    • Motionは動き出すこと
    • Actionは結果につながる行動を起こすこと
  • 時間ではなく回数×頻度
    • 習慣化(自動化)を決めるのは掛ける時間ではなくこなす回数とその頻度
  • 労力を最小限に抑える
    • 人間は最も簡単なものから取り掛かろうとする
  • 2分ルール
    • 簡単すぎると思うことからスタートする
  • コミットメントデバイス
    • 望む行動を不可避にし、望まない行動を不可能にする
  • ワンタイムアクション
    • 自動化できるものに頼る
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