洋書要約シリーズ記念すべき第一弾はこちら、Atomic Habits。
新しいことを始めてもなかなか続かない。わかってはいるけどなかなかやめられない悪習慣。自分は何て意思が弱いんだと自己嫌悪に陥ることはありませんか?
安心してください。それはあなたの意思が弱かったのではありません。あなたのやり方が間違っていただけです。
この本を読めば、きっとあなたも習慣にコントロールされる人生から、習慣をコントロールして理想の自分に近づく人生にシフトチェンジできます。
![](https://m.media-amazon.com/images/I/81Z+AlCF3tL._SY522_.jpg)
出版は2018年ですが、自己啓発書のベストセラーとして現在でも売れ続けています。
内容は極めて普遍的な概念なので、時代に左右されず、いつまでも読み続けられる一冊です。
今回は〈基礎編〉ということで、習慣とはどういうものかということを中心に解説していきます。
- 習慣が大きな結果を生む理由
- 毎日1%成長する
- 習慣は諸刃の剣
- 最初のうちは変化を感じることができない
- 小さな習慣は大きなシステムの一部
- 目標は設定せず、仕組み作りに注力する
- 習慣を正しく理解する
- なぜ悪習慣を断ち切り、良い習慣を継続するのが難しいのか
- 変化のレベルは3つのフェーズに分けられる
- 望む結果に対する変化:Outcome Change
- 過程やプロセスの変化:Process Change
- セルフイメージの変化:Identity Change
- 何を達成したいかではなく、何になりたいかが重要
- 習慣が自己を形成する
- すべての行動がなりたい自分へと繋がっている
- あなたの習慣はあなたのセルフイメージに引っ張られる
- 現状を変えるための究極の2ステップ
- どのような人間になりたいか決める
- 小さな成功体験を積み重ねて自分自身に証明する
- 習慣化するための4ステップ
- 習慣が形成される仕組み
- すべての習慣は4つのフェーズに分類される
- Step 1:Cue(きっかけ・動機)
- Step 2:Craving(欲求)
- Step 3:Response(反応)
- Step 4:Reward(報酬)
なぜ小さな変化は大きな結果を生むのか
英語学習、筋トレ・ダイエット、楽器の演奏など、継続的な努力や技術を要するアクティビティには次のような共通点があります。
- 最初のうちは変化を感じる事ができない
- ある地点を境に急に変化する
例えば、
- リスニングを毎日続けていると、急に英語がクリアに聞こえるようになる
- 筋トレを数ヶ月続けていると、如実に身体が変化し始める
- 難しいギターのフレーズを毎日練習していて、急にコツを掴んで弾けるようになる
いわゆるブレークスルーというものです。
なぜこのようなことが起きるかというと、習慣の積み重ねというのは、株式投資の複利の原理と似ているからです。
まさに、習慣の積み重ねとは自己投資です。
望む結果を得たいと思っているのであれば、1日1%成長する事を意識して、それを毎日継続する事です。
最初のうちはほとんど変化が見られません。
しかし、複利の原理が働いているので、毎日コツコツと1%の成長を続けていれば、雪だるま式に成長の塊が増大し、1年後には約38倍成長している計算になります。
今日の時点を1とすると、1×1.01=1.01になります。
すると、明日は1.01から1%成長するので、昨日の1%よりも成長度が若干上がっています。
1.01×1.01 = 1.021
1.021×1.01 = 1.030301
1.030301×1.01 = 1.04060401
1.01365 = 37.78
最初の数ヶ月は誤差の範囲を出ませんが、半年後あるいは1年後には変化が如実になっていきます。
しかし、たとえ毎日1%ずつ成長したとしても、最初は目に見える変化を感じることができないので、これで合っているのか不安になったり、つまらなくなってやめてしまおうかと思い始めます。
こちらの表は期待される成長線と実際の成長線のギャップを表したものです。
![](https://gen-log.com/wp-content/uploads/2024/03/Atomic-Habits-Chart.png)
このように、最初のうちはポテンシャルの潜伏期間があるので忍耐が必要です。
そして、腐らずに継続していれば、いつか臨界点に達して、ブレークスルーが起こり、そこからの成長は加速度的に伸びていきます。
私たちの成長は1本の木に例えられます。
木を植えるにはまず種を蒔いて、水をやり続ける必要があります。
最初のうちは見た目に何の変化もありません。
しかし、一度芽が出ると、そこからはぐんぐん天に向かって伸びていきます。
![](https://gen-log.com/wp-content/uploads/2024/03/tree_growing.png)
ここまでは良い変化のことについて述べましたが、当然悪い変化も同様です。
最初の数回であれば悪影響が出ませんが、長期的に継続しているといつのまにか負のループを抜け出せない状態になってしまいます。
例えば、
- 読書をしようと思ったが、このショート動画を見終わってからと繰り返しているうちに1時間が経過していた
- ジムに行こうと思ったが、雨が降っている、外は寒いなど言い訳をしてサボっているうちに段々行かなくなる
- ボディメイクのため自炊に挑戦していたが、段々面倒になり、結局はウーバー生活に逆戻り
習慣は、良い行動を選択し続ければ大きな結果につながりますが、望まない行動を選択し続けてしまうと、とことん落ちてしまうという諸刃の剣のような強力な性質を持っています。
我々は日々を生きていく中で、常にどちらの1%を選択するかということを試されています。
多くの人はどうしても甘い誘惑に抗えず、楽な方や今までの悪習慣の方に押しやられてしまうでしょう。
そして、
![](https://gen-log.com/wp-content/uploads/2023/07/Me_03_crying.png)
自分はなんて意思が弱いんだ…
と自己嫌悪に陥ってしまうでしょう。
でも、安心してください。習慣に意思の力は必要ありません。
意識すべきは、私たちが今経験している結果(能力・見た目・収入など)はすべて、数ある小さな習慣の集合体で成り立っているということです。
ここにこの本のタイトルが集約されています。まさにAtomic(原子・最小単位)Habitsです。
私たちの肉体は無数の原子から構成されています。
それと同じく、私たちの精神・アイデンティティ・能力も小さな習慣から形成された塊です。
別の言い方をすると、習慣というのは大きなシステムの一部です。
目標を立てたけど、どうしても長続きしないという人は、あなたの意思が弱いのではなく、あなたのシステムに問題がある可能性があります。
目標を立てることは大事ですが、一度目標を定めたら、あとはどうすれば今日1%成長できるかということに集中し、それを達成するためのシステム(環境)作りに注力すべきです。
挫折するのは、あなたのレベルが低いのではなく、あなたのシステムがそのレベルに達していないということです。
では、我々が日々迫られる1%の選択を誤らないようにするにはどうすれば良いのでしょうか?
次の章で詳しく解説していきます。
- 毎日1%成長する
- 習慣は諸刃の剣
- 最初のうちは変化を感じることができない
- 小さな習慣は大きなシステムの一部
- 目標は設定せず、仕組み作りに注力する
習慣を正しく理解する
なぜ悪習慣を断ち切り、良い習慣を継続するのが難しいのでしょうか?
これには主に2つの理由があります。
- 変えようとしているものが間違っている
- 間違った方法で変えようとしている
私たちは何かを変えようと思った時、闇雲に行動だけを変える努力をしてしまいがちですが、それですとほとんどの場合うまくいきません。
まずは習慣とは何かを理解する必要があります。
人が変わる時、変化のレベルは次の3層に分けられます。
- Outcome Change:望む結果に対する変化
- 体重を落としたい、本を出版したい、大会で優勝したいなど
- 目標設定はこのレベルで行われる
- Process Change:行動やプロセスの変化
- ジムで新しいトレーニングメニューを追加する、仕事の生産性を上げるために机を整理整頓するなど
- 習慣化はこのレベルで行われる
- Identity Change:セルフイメージの変化
- 自分はどういう人間か、どのように世界を見ているか、どのように自分自身と他人を判断しているかなど
- 根本的な観念の変化はこのレベルで起こる
それぞれの変化のレベルはすべて重要であり、どのレベルを重視するべきということではありません。
問題はその順序です。
ほとんどの人は、こうしたい、これが欲しい、という目先の結果(Outcome)から行動(Process)を変えようとし、もしこのまま続けていればいつかこうなれるだろうな(Identity)という希望を抱きます。
しかし本来は、私は何になる、こういう人間になる、という理想の自分(Identity)になることを決めてから行動(Process)を変え、結果的に目先の目標(Outcome)を達成するというのがが正しい流れです。
すなわち、行動を変えるということはアイデンティティを変えるということです。
例えば、
- 本を読むのが目標ではなく、読書家になるのが目標
- マラソンをするのが目標ではなく、ランナーになるのが目標
- 楽器を演奏するのが目標ではなく、ミュージシャンになるのが目標
というように、まずは何になりたいかを定める必要があります。
そうすれば、おのずと行動が変化し、気づいた頃には求めた結果を手に入れているという状況になります。
さらに、行動とアイデンティティには相互関係があり、行動を変えて習慣にすると、アイデンティティも変わります。
いったんこの正のループが発生すれば、あとは一直線に理想の自分に向かっていきます。
逆に、あなたのアイデンティティに変化がなければ、いくら行動を変えようとしても、古いセルフイメージに引き戻されるので、何かと理由をつけて正当化し、元の自分に戻されます。
これが、悪い習慣を断ち切るのが難しく、良い習慣を続けるのが難しい理由です。
- どのような人間になりたいか決める
- 小さな成功体験を積み重ねて自分自身に証明する
習慣化のための4ステップ
この章ではどのようにして習慣が形成されるかという仕組みについて解説します。
まず、習慣の根本的な考え方は次の2つです。
- 習慣とはある行動を十分な回数繰り返し行うことで自動化すること
- 習慣の最大の目的はある問題を最小限の労力とエネルギーで解決すること
ある行動が習慣化されていない段階では、その行動を起こすたびに、選択と判断を迫られ、脳の神経回路が活発に動いている状態です。
全ての工程を意識的に行う必要があるため、ワーキングメモリを消費し、労力とエネルギーを必要とします。
しかし、同じ行動を一定回数繰り返していると、意識的な判断を必要としなくなり、ついには全ての工程を全自動で行うことが可能になります。
では、どのように行動のループが発生し、習慣となるのでしょうか?
習慣は次の4つのステップを経て繰り返されます。
- Cue(きっかけ・動機)
- Craving(欲求)
- Response(反応)
- Reward(報酬)
この4ステップは全ての習慣の根幹であり、例外はありません。
Cueは、最終目標であるReward(報酬)のヒントとなる情報です。
また、Cravingを起こすトリガーとなるものです。
我々の意識は常に周りの環境から情報を収集し、報酬につながるものはないかと分析しています。
これは太鼓の昔から我々人類に備わる生存本能で、過去の経験から求めているもの(食物・水・性交渉など)が得られる場所のヒントとなるサインを察知する能力です。
これらは極めて直接的な欲求ですが、現代における間接的な欲求(金・名声・権力・交友関係など)にも適用されます。
なぜなら、Rewardは物理的な対象物ではなく、そこから得られる状態や感覚だからです。
Cravingは、Cueを察知して、実際に感情が動くフェーズです。
あくまでも感情なので、実際の行動そのものを欲しているわけではなく、そこから得られる感情や感覚を欲しているということです。
例えば、
- タバコを吸いたくなるのは、タバコを吸う行為をしたいのではなく、一服してホッとする感覚を欲しているため
- 歯を毎日磨くのは、その行為自体がしたいのではなく、磨いた後の口の中がさっぱりした感覚を欲しているため
- テレビをつけるのは、テレビ自体ではなく、そこから得られる楽しみを欲しているため
というように、Cravingは人それぞれ違い、Cue自体に意味はありません。
CueはCravingに紐づくことによって初めて意味を持ちます。
Responseは、Cravingが原動力となって、実際に行動(または思考)に移すフェーズです。
実際に行動するかどうかはCravingの大きさによりますが、次の条件を満たさなければResponseに移行しません。
- そのRewardを得るために費やす労力やエネルギーが自身の許容範囲内である
- そのRewardを得るための能力が自身に備わっている
Rewardは、すべての習慣の終着点であり、他の3つのフェーズの出発点です。
CueはRewardを察知することであり、CravingはRewardを欲することであり、ResponseはRewardを手に入れるようとすることです。
あなたはそのRewardで欲求を満たすと同時に、どのようにして獲得できたかということを成功体験から学習し、Cueとしてあなたの脳に保存されます。
そして、次に似たような条件下に置かれると、そのCueがトリガーとなって、Cravinng→Response→Rewardという一連の流れが再現されます。
![](https://gen-log.com/wp-content/uploads/2023/08/Gen_02_smiling.png)
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おやつの装を破る音が聞こえただけでよだれが出てくるブヒ……
![](https://gen-log.com/wp-content/uploads/2023/07/Me_02_smiling.png)
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完全にCueになってるね!
人間の脳は常にどの行動(Response)が報酬(Reward)に繋がったかモニタリングをしながら、サイン(Cue)を見つけたらどのように行動すれば成功するのかを記憶しているので、次に行動に移すときは前回よりも少ない労力とエネルギーで実行することが可能です。
このようにして習慣のループがどんどん加速していきます。
![](https://gen-log.com/wp-content/uploads/2024/03/Habit-loop.png)
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一度ハマると抜けられそうにない習慣のループですが、実は脆弱性があります。
この4つのフィーズのどれか1つでも不十分な状態に陥ると、ループが解消されるということです。
- Cueが取り除かれると、アクションが起こらない
- Cravingを小さくすれば、行動を起こすモチベーションが上がらない
- 行動自体(Response)を難しくすれば、アクションを実行できない
- Rewardで満足できないと知れば、それ以上アクションを起こそうと思わない
この法則を知っていると、
- 悪い習慣を断ち切りたいときは、意図的にどれか一つのフェーズを機能不全にする
- 良い習慣を継続したいときは、それぞれのフェーズを強化する、または維持するように努める
というように、対処方法が明確になります。
では、実際にはどのようにして習慣をコントロールすればいいのでしょうか?
本書では具体的な方法を次の4つの法則に基づいて提唱しています。
良い習慣を継続するには | |
---|---|
第一の法則(Cue) | Make it obvious(明確にする) |
第二の法則(Craving) | Make it attractive(魅力的にする) |
第三の法則(Response) | Make it easy(簡略化する) |
第四の法則(Reward) | Make it satisfying(楽しみにする) |
悪い習慣を断つには | |
---|---|
第一の法則の反対(Cue) | Make it invisible(見えなくする) |
第二の法則の反対(Craving) | Make it unattractive(魅力をなくす) |
第三の法則の反対(Response) | Make it difficult(難しくする) |
第四の法則の反対(Reward) | Make it unsatisfying(満足させなくする) |
![](https://gen-log.com/wp-content/uploads/2024/04/1126_atomic-habits-1st-law.png)
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自己啓発書を英語で読む最初の一冊にちょうど良い難易度
![](https://gen-log.com/wp-content/uploads/2024/06/Conclusion-7.png)
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内容が濃いので、かなりざっくりとした説明にはなりましたが、本書では豊富の実例と丁寧な解説がありますので、もし興味があれば実際に手に取って一読してみることをお勧めします。
非常に簡潔で平易な英語で構成されているので、洋書をあまり読まないという人でもすんなり内容が入ってくるかと思います。
日本語の翻訳本も出ているので、先にこちらを読んでから原書に挑戦しても良いでしょう。
ビジネス書としてはかなり分厚い部類に入りますので、そこまで時間を取れない、内容をサクッと吸収したい、という人にはAudibleでの音声学習がおすすめです。
翻訳本は9時間ほど、原書は5時間半ほどで聞き終わりますので、文字を読むよりも圧倒的に時間を短縮できます。
- 毎日1%成長するように心がける
- 変化は後からやってくる、初めのうちは我慢が必要
- 目標は設定せず、環境整備に注力する
- 何を達成したいかではなく、何になりたいかが重要
- まずはどのような人間になりたいかを決める
- 小さな成功体験を積み重ねてセルフイメージを向上させる
- 習慣のループはCue → Craving → Response → Reward
![](https://gen-log.com/wp-content/uploads/2024/01/828_audible-kindle-1.png)
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