第二の法則:Make It Attractive

自分の習慣を客観的に把握したら、今度は良い習慣を続けるために、習慣自体を魅力的にするのが効果的です。
方法は3つ
- ドーパミンを理解する
- 習慣とご褒美を紐付ける(Temptation Bundling)
- 他者と関わる
詳しく解説していきます。
すべての行動の源ドーパミン
習慣を理解する上で欠かすことができないのが、脳の報酬系回路に関与しているドーパミンという神経伝達物質です。
我々の脳は、何千年という長い狩猟採集生活の中で生き延びるために、
- 塩分
- 糖分
- 脂肪分
を多く含んだハイカロリーな食物、すなわち強い刺激に高い価値を置くように作られてきました。
現代の世界では、彼らのようにサバンナで生き延びる必要はありませんが、この機能は今でも踏襲されており、我々の脳は常に高刺激なものを求めるようにできています。
- ドラッグ
- ジャンクフード
- テレビゲーム
- SNS
など、依存性の高いものはすべて、高レベルのドーパミンと結びついています。
ドーパミンは何かしらの欲求が満たされた時に放出されますが、その欲求が満たされることを予見するだけでもこのドーパミンスパイクが起こることが解っています。
むしろ、一度習慣のループが形成されると、実際に行動を起こす直前でドーパミンレベルがピークに達し、その後順調にRewardを獲得した時にはドーパミンスパイクは起こりません。

クリスマスはプレゼントを開ける時よりも、期待に胸膨らませて起きた朝が一番ワクワクしてるブヒな!

そうだね、旅行も計画している時が一番ワクワクしてるもんね
私たちの脳は、やりたいこと(liking)よりも、欲していること(wanting)を優先するようにできています。
そのため、高刺激な習慣に依存するほど、その他の低刺激で地味な習慣を続けることが困難になります。
習慣を制するには、ドーパミンを起因とした脳の報酬システムを理解し、活用してくことが鍵となります。
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習慣とご褒美を紐付ける(Temptation Bundling)
あなたが日々の生活を送る中で、
- ニュースをチェックする
- SNSをチェックする
- NetflixやYoutubeなどの動画コンテンツを見る
- スマホでゲームをする
- お菓子を食べる
など、意思の力を全く必要とせず、何の苦労もなく、ただ単純にやりたいからやっているだけ、という習慣が1つくらいはあると思います。
そこで、これらの習慣にこれから取り組む習慣を紐づけることで、導入時の心理的障壁を小さくしようというのが、このテクニックの狙いです。
私は[新しい習慣]を行なった後に[楽しみにしている習慣]をします
というように、「このタスクが完了すれば、これをやっても良い」というマイルールを決めます。
さらに、第一の法則で説明したHabit Stackingと組み合わると、さらに強固なフォーメーションになります。
私は[すでに行なっている習慣]を行なった後、[新しい習慣]を行い、[楽しみにしている習慣]をします
例えば、
- 私は[洗顔をした]あとに[10分間の瞑想]を行い、[SNSをチェック]します
- 私は[コーヒーを一杯飲んだ]あとに[英語の勉強]を行い、[スマホでゲーム]をします
といった感じです。
また、純粋に楽しみにしている習慣というのは、単体で行うと罪悪感を感じやすいものが多いのですが、

これさえ終われば、あれをやって良いんだな
と、心置きなく好きな習慣を楽しむことができ、双方でストレスを感じずに続けることができるというメリットがあります。
他者と関わる
元来、人間は群れで生きる社会的な生き物なので、
- 他者に認められたい
- 他者からよく思われたい
- 他者といい関係を築きたい
という欲求が本能的に備わっています。
狩猟採集を行っていた時代の人たちにとって、群れから仲間外れにされることは死に直結していたからです。
この本能を意図的に利用し、他者との関わりを通じて、習慣をより魅力的にしようというのがこのテクニックの狙いです。
まず、対象とする社会的グループは3つあります。
- The close(近しいグループ)
- The many(大人数のグループ)
- The powerful(影響力のあるグループ)
それぞれ解説していきます。
1. The close:近しい人を模範とする
前章で、環境を整えることが重要と説明しましたが、物理的な環境だけではなく、社会的な環境も我々の行動に大きな影響を与えます。
我々は周りの人々の行動を見て、自分の起こす行動を決めています。
- 両親
- 友人
- 配偶者
と、その時最も近くで過ごしている人が取っている行動を、自分も無意識に行っています。
行動のみならず、
- 話し方
- 態度
- 考え方
など、その対象となる人物との距離が近ければ近いほど、その人の特徴に寄せていく傾向があります。
すなわち、一緒に過ごす人というのは、自分が所属している文化ということになります。
そして、良い習慣を形成するには、その習慣が当たり前に行われている文化に所属することが最も効果的です。
今の自分にとっては挑戦となる習慣でも、周りの人が当たり前のように行っていれば、

そんなに大したことじゃないんだな、自分でもできそうな気がしてきたぞ
というように、自分の当たり前レベルを底上げしてくれます。
例えば、
- ジムで身体が引き締まっている人に囲まれていれば、自然とトレーニングを毎日するようになり、食事にも気を使うようになる
- 読書クラブに所属すれば、当たり前のように毎日読書し、呼吸をするかのように活字を追うことができるようになる
というように、自然と周りに引っ張られていきます。
そして、あなたのアイデンティティも、
- ジムにいる私たちはトレーニー = 私はトレーニー
- 読書クラブにいる私たちは読書家 = 私は読書家
と、抵抗なくシフトチェンジできます。
そして面白いことに、一度アイデンティティが確立すると、もはやそのように振る舞わずにはいられなくなるのです。
しかし、いくら良い影響があるからといって、今の自分からあまりにもかけ離れたグループだと、そもそも入っていけなかったり、入ったけどなかなか馴染めなかったりと、現実問題として無理が生じる場合があります。
そんな時は、何かひとつでも今の自分と共通点があるグループに所属するとうまくいく確率が上がります。
例えば、アニメが好きなら、
- オタクジムに行ってみる
- コスプレイヤーを目指して仲間と一緒にボディメイクをする
など、何か一つでも今の自分を感じられるものがあると、継続率が高くなります。
- 望んでいる習慣をすでに当たり前のようにやっているグループ
- 何かしら今の自分と共通点があるグループ
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2. The many:大多数に迎合する
人間の生存本能として、より強い群れ、すなわちより大きな群れに所属しようとする傾向があります。
群れにおいて数は力であり正義です。
何かの問題に対して、例えあなたがAという明確な答えを持っていたとしても、周りの大多数の人たちがBといえば、最終的には自分もBが正しいのではないかと思ってきます。
確証がある答えでもこのように揺らいでしまうのですから、不確定な問題についてはとりあえず大勢に従っておけば間違いないと思考停止状態になるのは自然なことです。
そこには、
- 仲間として認められたい
- 仲間外れにされたくない
という意識が作用します。
人間の意識は本能的にその他大多数に受け入れられたいと思っています。
この本能を利用して、半ば強制的に望む習慣をやらざるを得ない状況を作り出します。
周りのみんながやっているのに、自分だけやっていなかったら居心地が悪くなります。
そのため、面倒臭いと思っていても、

周りに溶け込まない不快感よりはマシだ…
と感じ、渋々でもやるようになります。
そして、渋々でも継続しているうちに、徐々に心理的障壁が低くなっていき、いつのまにかやることが当たり前になって習慣化されます。
しかし、数が多ければ多いほど影響力が強く、自身の判断能力を無効化されてしまうので、所属するグループ選びには注意が必要です。
所属するグループは、自分の理想とするセルフイメージに近い人たちが集まるグループを選ぶ必要があります。
そうすれば、たとえ思考停止状態に陥ったとしても、正しい道へとあなたを導いてくれるでしょう。
逆に、悪影響があるグループからは即座に離脱しましょう。
気づいた頃には、自身のコントロールが効かないところまで落ちてしまう危険性があります。
基本的な判断基準として、変えようと思っている習慣が、
- そのグループの意に反しているのであれば、その変化は自分にとって魅力的にならない
- そのグループに受け入れられることであれば、その変化は自分にとって魅力的になる
ということを覚えておけば、間違ったグループを選択せずに済むでしょう。
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3. The powerful:成功者の真似をする
もうひとつ人間の習性として、
- 権力者
- ステータスの高い人
- インフルエンサー
など、影響力のある人や成功者に憧れるというものがあります。
成功したいと願った時、多くの人はすでに成功している人の行動を真似しようとします。
我々の行動は、意識的・無意識的に関わらず、自分の中にあるロールモデルをイメージして選択されています。
なぜかというと、すでに成功している人の行動は、結果を出して世間に認められたことであり、
その行動を模倣することによって、自分も世間に認められるような行動をしている
という自己承認欲求を満たすことができるからです。
逆に、こうはなりたくないという逆ロールモデルがあれば、

あの人と同じことは絶対にやるまい!
というモチベーションにつながります。
人間は社会的な生き物なので、多かれ少なかれ、
- 他人にどう思われるか
- 他人にどう映っているか
ということを気にする性質を持っています。
このように、世間に認められるということは人間の根本的な欲求であり、この本能をうまく利用すれば、習慣をより魅力的なものにすることができます。
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悪習慣を正す方法
良い習慣を身につける一番の近道は、悪い習慣をやめることです。
ここでは、第二の法則を用いた具体的な悪習慣のやめ方について解説していきます。
習慣の原因を探る
あなたが日頃無意識に行っている習慣はなんでしょうか?
- 一息つきたい時にタバコを一服
- 毎朝ヤフーニュースをチェックする
- 目的なくSNSを閲覧する
- 暇さえあればスマホでゲームをする
- マッチングアプリで無限にスワイプしてしまう
など、思い当たる節があるかと思います。
では、そもそもなぜこれらの行動をせずにはいられないのでしょうか?
そう聞かれると、あなたはこう答えるかもしれません。

理由?特にありません、ただ単純にしたいからです
本当にそうでしょうか?
実際には、すべての習慣には根本的な動機があなたの意識の奥深くに存在し、それが習慣という形で表面に現れているのです。
例えば、
- ストレスを解消したい
- 不確実なものを減らしたい
- 他の人と繋がっていたい
- ステータスと威信を手に入れたい
- 最愛の人を見つけて家族を作りたい
のような、すべての行動に対する欲求の根幹となるものです。
実際の例を挙げると、次のような形です。
- ストレスを解消したい = 一息つきたい時にタバコを一服
- 不確実なものを減らしたい = 毎朝ヤフーニュースをチェックする
- 他の人と繋がっていたい = 目的なくSNSを閲覧する
- ステータスと威信を手に入れたい = 暇さえあればスマホでゲームをする
- 最愛の人を見つけて家族を作りたい = マッチングアプリで無限にスワイプしてしまう
このように、あなたはこれらの行動自体をしたいのではなく、その奥に潜んでいる欲求をその行動を通して満たそうとしてるだけなのです。
意味を持たないただの行動でしかないものが習慣となるのは、あなたの潜在的な欲求と結びつき、これをすればこの欲求が満たされるということを学習してCueと認識するからです。
実際には欲求が満たされなくても、それをすることによって、欲している未来を予測できるだけでも、欲求が満たされた時と同じ状態になります。
そして、それを繰り返すことによって、どんどん依存性が増していき、Cravingが強化されていきます。
したがって、やめたいと思っている習慣がある場合は、その習慣に対する感情を書き換えて、その習慣はあなたの助けにはならないと脳に覚えさせる必要があります。
習慣に対する感情を書き換える
人間が行動を起こすのは、不足の状態から充足の状態に変化したいと思った時です。
選択される行動自体はそれほど重要ではなく、そこから得られるであろう結果が重要なのです。
そのため、改めたいと思っている習慣があるのであれば、その習慣に対する根本的な欲求を明確にして、それを満たす新しい習慣にシフトすれば良いだけです。
まず、悪い習慣に対する感情を書き換えるために、その習慣を行うことで生じるネガティブな感情やデメリットなどを書き出します。
そして、それを踏まえた上で、
- お金
- 時間
- エネルギー
など、貴重なリソースを消費してでも、この習慣を続ける価値が本当にあるのかと自分に問い続けます。
そうすると、

こんなにマイナスしかないと知っているのに、それでも続ける自分って一体…?
と、この習慣を続けることが馬鹿らしくなり、だんだん違和感や拒絶感を感じてきます。
また、一つの習慣をやめることによって、時間的・経済的な余裕が生まれるので、新しい習慣にもチャレンジしやすくなります。
一方、継続が難しい良い習慣に対しては、ポジティブな項目を書き出して、この習慣を行う意義を再確認します。
- きつい
- めんどくさい
- お金がもったいない
というようなネガティブな感情をポジティブな感情と入れ替えます。
そうすることによって、自分の中にある抵抗ややらない理由を探す癖を直します。
また、その取り組もうとしている習慣を「やらなければならない(have to)」ではなく「することができる(get to)」というマインドにシフトすることも大切です。
例えば、このような感じです。

今日もジョギングしなきゃな…
ではなく、

さあ、今日も持久力とスピードを向上させるか!
というように、昨日の自分よりも少し成長できる機会を得たと思えば、その習慣を行えることに感謝し、また、自分はそれができるレベルまで来たんだな、と自尊心を満たすことにもつながります。