当ブログでは、英語の学習方法として洋書多読を最も推奨しています。
特に英語中級者の人が上級者を目指すには外すことのできないメソッドの一つです。
基本的には、多読三原則は初心者に厳しすぎる?10年続けてわかった本当の意図にて説明した多読三原則に沿って多読を進めたいところですが、やり方を間違えると得られる効果が低くなったり、挫折の原因になってしまう可能性があります。
やり方といっても、ちょっとしたコツを押さえて、あとは多読を存分に楽しむだけです。
今回は、実際に多読を行うにあたり、意識すべき3つのポイントを紹介します。
洋書多読の効果を最大限に引き出すコツ①【英語を英語のまま読む】
日本語に変換しない
英語多読の良いところのひとつに、日本語が全く介在しないというものがあります。
当たり前ですが、日本人向けに出版された英語関連の書籍には、必ず日本語の解説が付いています。
それどころか、英語を学ぶための本なのに、英語より日本語の割合の方が多い場合がほとんどです。
これでは、英語を学んでいるのか、英語という題材で日本語を学んでいるのかわからなくなってしまいます。
もちろん、全くの英語初心者の人がゼロから英語を勉強するという場合でしたらその方がいいでしょう。
しかし、ある程度英語の基本をマスターしている場合は、なるべく日本語は介さないようにした方がいいです。
なぜなら、実際にネイティブの人と英語で会話をするときや、映画や海外ドラマを字幕なしで楽しもうと思ったら、日本語をはさんでいる暇などないからです。
なので、負荷は高いですが、普段から英語を英語のまま処理する訓練をする必要があります。
訓練と言ったのは、脳にこの回路を生成するのにセンスや地頭の良さは関係ないからです。
もちろん、意味の解釈の仕方や本質を見極める力などはその人のセンスや経験に影響されるよ
単純に正しい方法で数をこなしていけば、誰でもできるようになります。
いわゆる世間で言われている英語脳というものです。
そして、わからない単語はとりあえず無視してとにかく読み進めていくこの多読は、英語脳を作る上で非常に相性が良いです。
精読ですと、わからない単語はしらみつぶしに調べて意味を完全に理解する必要があります。
基本的に単語の意味を調べる場合は英英辞書を使用することをおすすめしますが、それでも理解できない場合は、英和辞書を使うことになるので、精読ではどうしても日本語が介在する機会が増えます。
なので、ボキャビルや文法の勉強は別途精読で行い、多読では読書体力をつける(長文を読むことに慣れる)、英語脳を育てる、という方に主眼を置きながら進めましょう。
英単語と日本語の意味をセットで覚えない
英語と日本語は言語間距離が最も遠い部類に属しており、そもそもの文章構造が全く違うので、一対一で文章を訳せないケースが多々発生します。
こちらのサイトによると、英語と日本語の言語間距離は、1.00〜3.00のスコアで最低ランクの1.00です。
https://www.semanticscholar.org/
ちなみにこちらの表は、英語が第一言語の人がある言語をマスターするのに要する時間の目安です。
同じ距離間の言語であれば、どちらからの習得でもレベルに有意な差は無いと考えられているので、日本語を母国語とする人が英語をマスターするのにおおよそ2,400〜2,760時間の学習が必要ということになります。
https://www.semanticscholar.org/
また、英語圏の国と日本とでは、文化的な背景が全く違うため、言語以前にそもそも我々日本人にはそのような感情や表現がない、または希薄な場合があります。
なので、逐一英語を日本語に直訳する癖がついていると、
- どうもニュアンスがぼやける
- 単語自体の意味は分かるが結局何が言いたいかピンとこない
ということが多々あります。
また、日本語の意味は同じでも英語では、そこに込められた感情や程度、使用する場面などが違う場合があります。
例えば、友人と遊びに行った日の別れ際に、「じゃあ、気をつけてね!」と言いたいとします。
「気をつけて」だからこれだな、、、
Be careful!
と、何の疑いもなく言ってしまい、
はわわわわ、、、何に??
と、相手を驚かせてしまいかねません。
これは本当に危険があったときに注意を促す時や、予測される危険や失敗を認知させる時に使う表現です。
普段から洋書を読んでいたり、映画・海外ドラマが好きでよく見ている人であれば、これが不自然ということが一発でわかりますので、同じ「気をつけて」でも別れ際に使う常套句として、
Take care!
と、反射的に正しい表現を選ぶことができるのです。
なので、英単語の意味と日本語訳を対で覚えるのではなく、場面や感情と紐付けて覚えるようにしましょう。
英語は文節・チャンクで理解する
これは前項の内容に少し似ているのですが、英語を単語単位で意味を捉えようとするのではなく、文脈単位で理解をしながら読み進めていくということです。
英語は単語ごとに分解してしまうと、全体的な状況を把握しづらくなってしまいます。
どちらかと言うと、文節や文の塊(チャンク)で捉えながら読み、パターンで覚える方が自然です。
そのうちに英語特有の細かいニュアンスや意味の違いを本能的に感じることができるようになります。
そして、チャンクで覚えるもう一つの利点として、修得したフレーズをそのままアウトプットでのフォーマットとして流用できるということがあります。
逆に単語を1万語知っていてたとしても、どのように使われるかを知らなければ、相手が言っていることも理解できませんし、アウトプットもうまくできません。
なので、多読を行う際は文字の連なりや前後の文章との関係性を意識して進めましょう。
洋書多読の効果を最大限に引き出すコツ②【返り読みはしない】
頭の中でネイティブのナレーターが朗読しているように読む
多読をしてる時は自然と心の中で文章を声に出して読んでいるかと思います。
しかし、この時に自分の声をイメージしてしまうと、心の中の声とは言えど、カタカナ英語のような発音になってしまったり、難しい単語のところではつっかえてしまうということが起こります。
なぜ、心の中の声なのに、自分の声でネイティブ並みの流暢な発音を再現できないのでしょうか?
それは脳が[自分がネイティブのように流暢に話している]という情報を持っていないからです。
心の中の声なのでいかようにもイメージできそうですが、基本的に脳は見たり聞いたり経験したものしか顕在意識でイメージできません。
なので、すでに発音が完璧で自分の声でも問題ない人はいいのですが、そうではない大多数の英語学習者の人は、心の中でうまく発音できない自分にストレスを感じてしまい、本来の目的である多読に集中できないという状態に陥ってしまいます。
では、どのようにイメージすればいいかというと、ネイティブのナレーターが朗読しているようにイメージしながら文字を追うということです。
私たちの脳は、ネイティブの人が綺麗な発音で発声しているところを見たり聞いたりした経験があるので、抵抗なくイメージできます。
夢の中で英語を喋ってる人を見た時みたいな感じブヒな!
うん、自分以外の人が喋っているところを想像する方が簡単だからね
また、内容によって性別や年齢を柔軟に変えることができ、よりその世界に没頭できます。
朗読をイメージしながら読み進めるということは、すなわち返り読みをしなくなると言うことです。
また、なるべくネイティブのナチュラルスピードをイメージするので、結果的に読むスピードが上がります。
ネイティブの人が朗読している声をうまくイメージできないと言う人は、Audible(オーディブル)などを用いて、多聴の学習も取り入れましょう。
わからないことをその都度解決しようとしない
前章でわからない単語は飛ばして、前後の文脈から想像して読み進めるという説明をしましたが、内容の理解についてもこのルールが適用されます。
ある程度本を読み進めていると、英語の意味は全てわかるが内容が腑に落ちない、という状況に遭遇します。
そもそも、我々日本人と英語圏の国々の人では、文化的背景も違いますし、人種的な違いもあるため、どうしても理解の範疇を超えたものが出てくる時があります。
たとえ日本語に訳しても、ネイティブの人に詳しく解説してもらっても、解せない時があります。
一番顕著に出るのはジョークです。
特に日本の独特のセンスのお笑いやバラエティで育った我々は、それの何が面白いのか全く理解できないことがあります。
なので、理解ができないことがあっても、何度も返り読みや文章を遡ったりしてその都度解決しようとはせず、とりあえず先に進みましょう。
読み進めていくうちに、
ああ、なるほど、そういうことか
と疑問が解消することも多々あるので、気長に構えましょう。
自分のペースで内容を咀嚼しながら読む
返り読みをせずにどんどん先に進みましょう、というのが基本的な多読のルールですが、かと言って理解度を無視して文章だけを追いかける状態になるのは良くありません。
わからないことは飛ばすと説明しましたが、内容の把握を無視して文字だけをなぞるということではありません。
あくまでも、自分のペースでしっかりと内容を咀嚼しながら進めるということです。
なので、その時の理解度に応じて読むスピードを落としたり、時には一度立ち止まったりして、理解が置いてけぼりにならないように注意してください。
考え込んだり、少し戻って再読しないといけないような難解なものだけを飛ばすように心がけよう
洋書多読の効果を最大限に引き出すコツ③【速読・斜め読みはしない】
効率を求めた読み方はしない
英語多読の目的は、あくまでも自然な英文を吸収することであり、効率よくアイデアや情報を取り入れることではありません。
なので、日本語で読む新聞やビジネス書のような速読や斜め読みはしないようにしましょう。
前章で説明したように、文章を読むときはネイティブのナレーターが朗読するように、あくまでもナチュラルスピードで、あまり速度に緩急をつけずに読むようにしましょう。
そうすることによって、不思議なことにリスニングの能力も向上します。
文字を認識しながら、その音も脳内再生することによって、文字と音の情報が脳内で紐付きます。
そして、実際のリスニングをした時に、単語やチャンクが以前より粒立って聞こえるようになり、リスニング初心者の頃の[全部の音が繋がって雑音にしか聞こえない]という状態を脱することができます。
とはいえ、上級者になっていくほど、自然と速読に近い読み方になっていきます。
ネイティブの人は一度に認識できるチャンクの幅がものすごく広く、ほとんど行単位で読んでいるような感じなので、結果的に我々のような非ネイティブからすると異常な速さで内容を理解しているように見えます。
映画やドラマでメモや手紙に書かれた重要な文章が一瞬映る時があるけど、読むのが全然間に合わないブヒ、、
そうだね、いずれは速読の練習も必要になってくるかもしれないね
著者の意図やキャラクターの感情などを味わうように読む
例えばビジネス本であれば、その著者がその一文で何を一番伝えたいのか。
その思想や見識に感銘を受けた時、自分の行動やマインドセットにどのようにして落とし込めるのか。
あるいは小説であれば、その登場人物の心理的な葛藤、どん底からの再生、魂の成長を通して、自分は何を感じ、どう捉えるのか。
内容を咀嚼すると同時に、その時に浮かんでくる感情や意識の変化を静かに見つめながら読み進めていくことも大事です。
私はこの部分が読書が持つ最大のベネフィットだと思っています。
もちろん、動画やリスニング音源でも同様のことは起こるかもしれません。
しかし、この読書という極めて能動的で孤独な活動は、文字情報のみという制約のもと、
- 己のイマジネーション
- これまでの経験
- クリエイティビティ
などを総動員して自分の心の中にひとつの世界を作り上げていきます。
今の自分に足りないものや必要なものに強烈に気づかされるのも読書です。
まさに己の心と一対一で向き合わざるを得ないという側面が最も色濃く出るのが読書だと感じています。
このように自分の心や潜在意識の深い部分まで浸透させることによって、その生きた英語がダイレクトに自分の血となり肉となります。
うわべだけの英語では決して経験できない言語を超えた領域との相互作用により、より深いレベルでの理解が得られると確信しています。
洋書多読を始めてみたいけど、
何から読んでいいかわからない
そんな人におすすめなのが、Amazonが提供するサブスクプラン、
月額980円で対象の本が読み放題!
100万冊以上という圧倒的な数の洋書を取り揃えており、合わないと思ったらどんどん次の本にいくことができるので、多読と非常に相性が良いです。
当ブログでも紹介した多読初心者におすすめNo.1のHolesもKindle Unlimited対象作品だよ!
たとえ月に1冊しか読まなかったとしても、通常購入するよりも安い場合がほとんどなので、月に1冊は確実に読むという人にとってはお得でしかありません。
現在、月額無料キャンペーンを行なっており、いつでも解約可能なので、洋書多読をノーリスクで試せるチャンスです。
まずは何冊か試しに読んでみて、洋書多読が自分に合っているかどうか確かめてみましょう。
\200万冊以上の洋書・和書が読み放題!/
お得な2ヶ月お試しプラン(499円)もあります。
目的意識を明確にすることが大事
洋書多読は最も効果のある英語学習方法の一つですが、万能ではありません。
多読を行う際は、
- 何のために多読を行うのか?
- 多読によってどの能力を伸ばしたいのか?
- なぜ多読を他の学習より優先させたいのか?
など、目的意識をはっきりさせて行うことで、その他の学習方法との棲み分けも容易になります。
私の場合は、多読によって主に、
- インプット量を稼ぐ
- 英語への耐性を強化する
- 読書体力(集中持続力)を付ける
- 英語以外の知識や気付きを得る
- 没頭することによるストレス解消効果
などのメリットを得るために行なっているため、今回紹介したようなことを意識しています。
当然、目的の違いによって多読へのアプローチも変わってきます。
例えば、多読によってボキャビルを優先して行うことを考えている人は、もっと辞書を使う頻度を上げて、全体的な内容の把握はそこまで重要視しないかもしれません。
あるいは、実用書やハウツー本を読んで、自らのアウトプットに落とし込もうとしている人は、頻繁にメモを取り、前のページに戻って図表や手順を何度も確認しながら読み進めるかもしれません。
まずは自身の多読に対する目的意識を明確にし、どのような進め方が一番フィットするのかを自分なりに考えてみるのもいいかもしれません。