やる気に頼らない仕組みを作る｜『Atomic Habits』徹底解説

モチベーションに頼らない仕組みづくりとは？

の記事では、新しい習慣は2分以内で終わるような簡単なことからスタートしようというお話をしました。

しかし、負荷を限界まで低く設定しても、それでも行動に移せない人もいます。

そんな人には、やる気に頼らない仕組みを作って、行動までのプロセスを自動化し、その習慣を強制的に実行させることが有効です。

本書では、

の二つのテクニックを紹介しています。

今回は、この2つのテクニックについて、詳しく解説していきます。

それでは、始めていきましょう。

コミットメント・デバイス Commitment Devices

「コミットメント・デバイス」は、未来の予測される行動にあらかじめ制限をかけてしまう方法です。

このテクニックは、

• 悪習慣をできない仕組みにする
• 良習慣をやらざるを得ない仕組みにする

という2つのアプローチで、辞めたい習慣とサボりたくない習慣のどちらにも適用できます。

それぞれ解説していきます。

悪習慣をできない仕組みにする

障害となっている悪習慣をできない仕組みを作って、セルフコントロールの力に頼らずに、「その行動をする」という選択肢を最初から排除してしまいます。

例えば、

• 夜更かしをしないために、オートタイマーでルーターの電源を強制的に落とし、就寝時間以降はインターネットに繋げないようにする
• 食べ過ぎないように、食材のまとめ買いはせず、1食分ずつ購入する
• 買い食いを防ぐために、外出する時は財布を持ち歩かない

など、予測される行動をあらかじめ制限する方法です。

良習慣をやらざるを得ない仕組みにする

やるべき習慣をつい先延ばししてしまうという場合は、

• ヨガクラスを予約して、先に料金を払ってしまう
• 商談先の相手にメールをし、先に電話をかける日時を伝えてしまう

など、それをやらないと損をしたり、恥をかくという状況を強制的に作り出せば、やらざるを得なくなります。

このように、コミットメントデバイスは、良い習慣を不可避にし、悪い習慣を不可能にすることによって、習慣化の成功確率をアップさせてくれます。

Commitment devices increase the odds that you’ll do the right thing in the future by making bad habits difficult in the present.

Atomic Habits, P171

ワンタイム・アクション Onetime Actions

これまで、環境の整備や方法論で習慣をコントロールする方法を紹介してきましたが、いずれの方法も基本的には毎回セッテングしたり、多少のモチベーションを必要とするものでした。

しかし、一度仕組みを作って終えば、半永久的にその習慣を行うことができる究極の方法が「ワンタイム・アクション」です。

例えば、

• 食べ過ぎ防止のために、小さい器にする
• 良質な睡眠を確保するために、テレビを寝室から取り除く
• 生産性を上げるために、スマホの通知をオフにする
• 腰痛防止のために、スタンディングデスクを買う
• 毎月給料から自動定額入金で貯金する

など、道具や技術の力を借りて、強制的に望む状況を作り出します。

現代は技術やサービスが進歩し、かなりの範囲で自動化が可能になってきています。

あなたのパフォーマンスを最大限に保つために、自動化できるものにはできる限り頼りましょう。

When working in your favor, automation can make your good habits inevitable and your bad habits impossible. It is the ultimate way to lock in future behavior rather than relying on willpower in the moment.

Atomic Habits, P175

まとめ

やる気に頼らない仕組み【まとめ】

自己啓発の分野では、「やる気」や「モチベーション」を重視する傾向が見られますが、実際の自己成長の過程において、これほど当てにならないものはありません。

どんなに好きなことでも、毎日やっていれば飽きてくることもあるし、やりたくないと思うこともあります。

そして、やる気に頼る習慣の本当の弊害は、その都度発生する「やるか、やらないか」という意思決定により、脳のリソースが大きく消耗することです。

同じ習慣をやるにしても、「やるか、やらないか」迷った後に行うのと、「やる」という選択肢しかない状態で臨むのでは、パフォーマンスに明らかな差が出てきます。

したがって、「コミットメント・デバイス」や「ワンタイム・アクション」の実際の価値は、この「意思決定のポイントを減らせる」ところにあります。

「なかなか習慣が続かない…」という人は、生活動線やツールなど、環境全般を今一度確認してみましょう。

次回は、「即時報酬と遅延報酬」というテーマについて深掘りしていきたいと思います。

それではまた、次の記事でお会いしましょう。

洋書多読を続けたい人のためのワンタイム・アクション