コロケーション・イディオム・句動詞は何が違うのか?
英語学習を続けていると必ず出会うのが、
- コロケーション
- イディオム
- 句動詞
ですが、どれも複数の単語の組み合わせで成り立っているという共通点があり、

いまいち違いが分からないな…
という人も多いかと思います。
そこで、今回お話しするテーマがこちら、
- コロケーション・イディオム・句動詞の違い
- 英語学習における優先度ランキング
それでは、始めていきましょう。
コロケーション・イディオム・句動詞の違い
コロケーション・イディオム・句動詞はどのような違いがあるのでしょうか?
コロケーション・イディオム・句動詞の定義を簡単に説明すると次のようになります。
3つの定義の違い
- コロケーション
- 一般的に使われている自然な単語の組み合わせ
- イディオム
- 本来の意味とは異なった固有の意味を持つフレーズ
- 句動詞
- ある前置詞や副詞とセットにすることで特定の意味になる動詞
詳しく解説してきます。
コロケーションとは
コロケーション(Collocation)の定義は、一般的に使われている自然な単語の組み合わせです。
例えば、「決断する」は英語で、
Make a decision
と言いますが、
Do a decision
とは言いません。
このように、それぞれの表現には、この意味の場合はこの単語を使うという決まった形があります。
コロケーションの形は、基本的に次の4つのパターンになります。
コロケーションの形はこの4つ
- 【動詞】+【名詞】
- 【形容詞】+【名詞】
- 【副詞】+【動詞】
- 【副詞】+【形容詞】
いくつか例文を紹介します。
- 動詞 + 名詞
-
- Take a shower
(Do a showerとは言わない) - Make progress
(Do progressとは言わない)
- Take a shower
- 形容詞 + 名詞
-
- Heavy rain
(Strong rainとは言わない) - Strong coffee
(Powerful coffeeとは言わない)
- Heavy rain
- 副詞 + 動詞
-
- Strongly recommend
(Fully recommendとは言わない) - Fully understand
(Strongly understandとは言わない)
- Strongly recommend
- 副詞 + 形容詞
-
- Extremely happy
(Highly happyとは言わない) - Highly successful
(Strongly successfulとは言わない)
- Extremely happy
このように、英語にはそれぞれの表現で決まった単語の組み合わせがあります。
実際に英語で会話をしたときに、間違った組み合わせを使ってしまっても、相手の人が意味を汲み取ってくれる場合がほとんどですが、ネイティブの人たちにはかなり不自然に聞こえているということを自覚する必要があります。
イディオムとは
イディオム(Idiom)の定義は、本来の意味とは異なった固有の意味を持つフレーズです。
例えば、
Break the ice
というフレーズがありますが、これは「氷を砕く」ではなく「(初対面での会話などで)まずは場を和ませる」という意味のイディオムです。
他にもイディオムの例として、次のようなものがあります。
- Let the cat out of the bag(秘密を暴く)
- She let the cat out of the bag about the surprise party!
- Piece of cake(非常に簡単なこと)
- The test was a piece of cake!
- Hit the sack(就寝する)
- I’m so tired, I’m going to hit the sack.
このように、本来の意味とは全く違った意味になる固有のフレーズがイディオムです。
句動詞とは
句動詞(Phrasal verb)の定義は、ある前置詞や副詞とセットにすることで特定の意味になる動詞です。
例えば、
Look up
という句動詞は、「見上げる」というそのままの意味もありますが、「調べる・検索する」という意味にもなります。
他にも句動詞の例として、次のようなものがあります。
- Give up(やめる)
- He gave up smoking last year.
- Run into(遭遇する)
- I ran into an old friend yesterday.
- Take off(離陸する・脱ぐ)
- The plane took off at noon.
- He took off his jacket.
このように、ある前置詞または副詞と組み合わせることによって、本来の動詞の意味から独立した意味を持つのが句動詞です。
そのため、組み合わせる単語によって意味が大きく変わるという特徴があります。
例えば、lookを使用した句動詞の場合、
- Look up(検索する)
- Look into(調査する)
- Look out(用心する)
となり、組み合わせる副詞によって意味が大きく変わります。
先ほどのコロケーションは、組み合わせる単語を間違えてもなんとなく通じますが、句動詞は組み合わせる単語を間違えたり、省いてしまうと全く意味が伝わらないので注意が必要です。
コロケーション・イディオム・句動詞の英語学習における優先度
コロケーション・イディオム・句動詞はどれを優先的に学習すればいいのでしょうか?
これら3つは英語学習をする上でどれも重要ですが、優先順位をつけるとすれば、
- コロケーション
- 句動詞
- イディオム
という順序になります。
理由について、それぞれ解説していきます。
コロケーション:すべての英語レベルにおいて必須
この3つの中で最も優先的に学んだ方がいいのがコロケーションです。
理由は3つ
- 英語はブロックで構成されている
- 簡単な表現でもコロケーションがある
- コロケーションは言い換えができない
詳しく解説していきます。
英語はブロックで構成されている
英語の文章は、それぞれ決まったブロックが組み合わさってできています。
このブロックは、家を建てるときのレンガに例えることができます。
規格通りのサイズや材質で作られたレンガを、正しい順序で組み合わせていくことによって、安定感があって居心地の良い家を建てることができます。
これが、毎回違った形や、一部分が欠けているレンガだった場合、完成する家はとてもいびつで居心地の悪い家になるでしょう。
同じようなことが、ネイティブと話しているときにも起こります。
彼らは、決まったパターンのブロックを予測しながら会話をしているので、いちいちイレギュラーなものが挟まれるとストレスや違和感を感じてしまいます。
そのため、英語が上手いという印象が一番強くなるのは、コロケーションを正しく使えているときです。
これが、他の2つよりもコロケーションを優先すべき理由の一つです。
簡単な表現でもコロケーションがある
ほとんどの英語表現にはコロケーションが決まっています。
例えば、
- Do homework
(Make homeworkとは言わない) - Make a mistake
(Do a mistakeとは言わない)
といった簡単な表現でさえ、決まった言い方があります。
なので、実は英語学習の早い段階からコロケーションに触れており、英語初心者の人も無意識ながらすでにコロケーションを学習していることになります。
したがって、コロケーションは他の2つよりも普遍的な要素であり、優先的に学ぶ必要があると言えます。
コロケーションは言い換えができない
それぞれの名詞で同じ意味を表現するコロケーションの数は限られています。
例えば、一般的な会話で「濃いコーヒー」を表現するのは、
- Strong coffee
しかなく、
- Powerful coffee
- Deep coffee
とは言いません。
また、似たような表現として、
- Bold coffee
- Rich coffee
というコロケーションもありますが、これらはコーヒーの専門家が使う業界的な表現であったり、よりフレーバーにフォーカスした表現になります。
したがって、「濃いコーヒー」ということをシンプルに伝えたい場合、実質的には「Strong coffee」しか選択肢がなく、他の表現に言い換えができないということになります。
そのため、コロケーションを覚えることは、英語学習において大きなウェイトを占めているということが言えます。
コロケーションは英語初心者から積極的に取り組むべき
コロケーションは一度見ただけではすぐに身につかず、日々の多読や多聴を通して地道にパターンを増やしていくしかないので、他の2つに比べて、習得するまでに時間がかかります。
また、一度間違ったコロケーションで単語を覚えてしまうと、変な癖がついてしまい、後から直すのが大変です。
なので、英語初心者の人でも、なるべくコロケーションを意識しながらボキャブラリーを増やしていくことをお勧めします。
句動詞:中級者〜上級者にとって特に重要
その次に優先度が高いのは句動詞です。
ポイントは3つ
- 句動詞は世界共通の標準的な英語表現
- 句動詞を効果的に使えると小慣れ感が出る
- 句動詞を知っているとリスニング力が飛躍的に向上する
詳しく解説していきます。
句動詞は世界共通の標準的な英語表現
句動詞は地域性がなく、世界中どこでも通じる標準的な表現です。
そのため、アメリカ英語やイギリス英語といった違いを気にせずに安心して使うことができます。
その汎用性の高さが、句動詞を優先的に学ぶべき理由の一つです。
句動詞を効果的に使えると小慣れ感が出る
コロケーションと違い、句動詞は違う表現で言い換えができるので、優先度はやや下がります。
しかし、句動詞をうまく使えると「教科書英語」からの脱却ができ、英語を話しているときの小慣れ感が出て、とてもおしゃれな英語に聞こえます。
また、句動詞のパターンの引き出しが多いほど、表現の重複を避けることができ、流暢でスマートな英語を話すことができるようになります。
なので、
- 英語力にある程度自信が付いてきたが、教科書英語から抜けられない
- 中級者の壁にぶち当たり、停滞期が続いている
という人は、積極的に句動詞を意識して覚えていくと、新たな景色が見えるかもしれません。
句動詞を知っているとリスニング力が飛躍的に向上する
日常的な会話やコンテンツでは、直接的で硬い表現よりも、よりカジュアルで聴き馴染みのいい句動詞が好んで使われる傾向にあります。
そのため、句動詞を知らないと、その部分の音が認識しづらくなり、リスニングに弊害が出てきます。
また、句動詞の意味を知らないと、そのままの意味に捉えてしまい、内容と辻褄が合わなくなります。
そうすると、矛盾が生じるところでいちいち引っかかってしまいます。
例えば、
I’ll pick up the groceries on my way home.
という文章を聞いたときに、「受け取る」という意味の「pick up」という句動詞を知らず、そのままの「拾う」という意味で捉えてしまい、内容が噛み合わなくなってしまうという感じです。
したがって、句動詞を学ぶことは、リスニングで聞き取れる範囲が大幅に広がるということにも繋がります。
句動詞を学ぶには、リアルな英語を大量にインプットするのが鍵
句動詞は、フォーマルな文章よりも、カジュアルな会話や、早く簡潔に喋る必要があるスピーチなどで多用される傾向があります。
そのためリアルな英語環境では、教科書で覚えた硬い表現よりも、学校で習わないような砕けた表現の方が目にする機会が多いです。
また、句動詞は文脈によってその意味が大きく変わるので、一つの意味を覚えただけでは完結しません。
例えば、
turn up
という句動詞がありますが、
Please turn up the volume.
という文脈では、「(音量を)上げる」という意味になりますが、
She didn’t turn up to the meeting.
の文脈だと、「現れる・到着する」という意味になります。
そのため、句動詞を学ぶには、
といった素材から、リアルな英語を大量にインプットして、場面ごとの正しい使い方と意味を吸収していく必要があります。
イディオム:上級者がさらに英語を深く理解するために重要
イディオムは地域性が強く、使用できる状況が限定的なため、他の2つに比べると優先度は低めです。
しかし、イディオムを学ぶことには様々なメリットがあります。
ポイントは3つ
- 話す英語に深みや彩りが感じられるようになる
- 文化的なレベルで英語が理解できる
- 普通に言うよりも感情が伝わりやすい
詳しく解説していきます。
話す英語に深みや彩りが感じられるようになる
イディオムをうまく使えると、句動詞の時よりもさらに英語がおしゃれに聞こえ、ほぼネイティブと変わりない感覚で喋ることができるようになります。
ネイティブの人は、いろんなシチュエーションでイディオムを折り込んでくるので、どういった表現が適切か不適切かというのが感覚的に理解できるようになってきます。
そのため、イディオムを覚えることは流暢さの向上につながり、より自然な英語を話す手助けになります。
文化的なレベルで英語が理解できる
イディオムを学ぶことによって、
- 文化的な背景
- 歴史
- 言語の土壌
といったことを深く理解することができます。
例えば、「歯を食いしばって耐える」という意味の、
Bite the bullet
というイディオムがありますが、これは昔兵士が戦場で負傷して手術をするときに、弾丸を噛んで耐え忍んでいたというところから来ています。
このように、イディオムには短いセンテンスの中にもストーリーが感じられ、よりクリエイティブに英語を操ることができるようになります。
また、我々日本人英語学習者にとって理解が難しいのが、ネイティブのユーモアセンスですが、イディオムを学ぶことによって、彼らの文化や歴史を深く理解し、やがて彼らのジョークやウィットに富んだ言葉の面白みもわかるようになってきます。
普通に言うよりも感情が伝わりやすい
イディオムを使って表現すると、プレーンな英語で普通に表現するよりも、感情が伝わりやすいということがあります。
例えば、「非常に簡単なこと」という意味で、
It’s very easy
と、単純に言うよりも、
It’s a piece of cake
というイディオムで言った方が、

めっちゃ簡単!
という感情がより伝わりやすく、ネイティブにとってもその方が自然に聞こえます。
イディオムは必須ではないが、覚えて損はなし
正直、イディオムを全く知らなくても、あまり不自由を感じずに英語を流暢に扱うことは可能です。
しかし、イディオムを知っているのと知っていないのでは、あなたのスピーカーとしての印象がだいぶ違ってきます。
また、コロケーションや句動詞と違い、イディオムにはそれぞれ独特の趣があり、イディオムを一つ一つ覚えていくことは、どこかコレクションを集めていくようなワクワク感があります。
そのため、実際の会話の中でイディオムをうまく使えた時は、他の二つとは比べ物にならないくらいの高揚感を得ることができます。
ちなみに、こちらの本はイディオムを集中的に学べて、文化や歴史の豆知識も知ることができるのでおすすめです。

おわりに

今回は、
- コロケーション
- イディオム
- 句動詞
の違いについて解説しましたが、英語を話すと言うことに関しては、これらの違いを理解することはあまり重要ではありません。
それよりも、とにかくたくさんの英語に触れて、自然な表現を理屈抜きに吸収していくことの方が大事です。
しかしながら、学習時間が限られている社会人の英語学習者にとっては、後半の部分で解説したように、それぞれの優先度を意識して英語学習をすることは有益かと思うので、それぞれの違いや特徴を掴んで、自身の英語学習に活かしてもらえたら幸いです。
それではまた、次の記事でお会いしましょう。
