発音が良い人は何が違うのか?
日本生まれ日本育ちの人でも、ネイティブと遜色ないほど綺麗な英語を話す人がいます。
一方で、TOEIC満点を取るような英語上級者の人でも、ゴリゴリのサムライアクセントで話す人はいます。
つまり、発音の良さは英語の4技能(リーディング・リスニング・スピーキング・ライティング)のレベルに比例しない独立した能力だと言えます。
では、発音がいい人は、そうでない人と何が違うのでしょうか?
そこで今回は、こちらのトピックについて、詳しく解説していきたいと思います。
- 英語の発音がいい人に共通する7つの特徴
- 今日から真似できる習慣
それでは、始めていきましょう。

英語の発音がいい人に共通する7つの特徴
発音がいい人の特徴は主に7つあります。
発音がいい人の特徴は7つ
- 音声変化(リエゾン・リダクション)を自然に使っている
- 母音と子音をしっかり意識して発音している
- ストレス(強弱)とリズムをつけられる
- 横隔膜を使った“通る声”で話す
- 自分の弱点音を知っている
- 耳がいい(リスニング感度が高い)
- 英語を“音”として扱っている(文字から入らない)
それぞれ解説していきます。
音声変化(リエゾン・リダクション)を自然に使っている
これができているとぐっと英語っぽく聞こえるという要素が音声変化(リエゾン・リダクション)です。
例えば、
- want to(ウォントゥ)→ wanna(ワナ)
- kind of(カインドオヴ)→ kinda(カインダ)
- going to(ゴウイングトゥ)→ gonna(ゴナ)
というように、決まった形の時に両方をくっつけて中の音を省略して発音することが多々あります。
さらに、
I’m going to(アイムゴウイングトゥ)→ I’m gonna(アイムゴナ)
をもっと縮めて、
I’mma(アイマ)または、I’mna(アムナ)
と発音することもあります。
これは、教科書の綺麗な英語ばかり読んでいるとなかなか吸収することができません。
では、どこで学べるかというと、
- 海外ドラマ・映画
- YouTube
- ポッドキャスト
など、ネイティブの人がカジュアルに喋っている音声素材です。
- ニュース
- Audible
は、比較的フォーマルな英語で、そこまで崩さずに話すことが多いので、音声変化を学ぶのにはあまり向いていません。

母音と子音をしっかり意識して発音している
英語は日本語に比べ、母音と子音の種類が多く、そのままカタカタ読みしてしまうと、正確に表現することができません。
そのため、英語の発音をよくするには、まず英語の音の種類をすべて覚えるところから始める必要があります。
また、その時重要なのは、口の形です。
たとえ英語の音を聞き分けられても、口の形を覚えていないと、その音を忠実に再現することができません。
特に多くの日本人が苦手とする、
- LとR
- BとV
- THの音(θ/ð)
といった、日本語にない音の違いをしっかりマスターする必要があります。
ちなみに私は、こちらの2冊の本を使って発音を学び直しました。
ストレス(強弱)とリズムをつけられる
発音において、軽視されがちなのがストレス(強弱)とリズムです。
実は、ネイティブと非ネイティブを分ける一番大きな要素はここにあります。
日本語は均一のリズムで発音する言語なので、どうしてもフラットになってしまいがちです。
しかも、英語では発音の良し悪しだけにとどまらず、強弱の付け方によって意味まで変わってきます。
例えば、
I didn’t say he stole the money.
という文の場合、どの語を強く読むかで意味が7通りになります。
- I didn’t say he stole the money.
→ 盗んだとは言ってない(別の意味かも) - I didn’t say he stole the money.
→ 言ったのは私ではない - I didn’t say he stole the money.
→ 言ってはいない - I didn’t say he stole the money.
→ 言ったわけではない(示唆しただけかも) - I didn’t say he stole the money.
→ 彼が盗んだとは言ってない - I didn’t say he stole the money.
→ そのお金だとは言ってない(別のお金の話かも) - I didn’t say he stole the money.
→ お金ではない何かを盗んだと言っただけかもしれない
このように、ネイティブの人は、音の正確さ以外のところでも重要な情報を拾っています。

横隔膜を使った“通る声”で話す
英語と日本語を両方話す人が、話す言語を変えると声質まで変わるのに気づいたことなないでしょうか。
それは、英語と日本語の発声方法が根本的に違うからです。
日本語はどちらかというと、声帯を震わせて口元で発声するイメージ(胸式呼吸)ですが、英語は横隔膜を使って(腹式呼吸)体全体で響かせるように発声します。
英語は息で発声する言語なので、一度に使う空気量が多いです。
そのため、一気にお腹に空気を溜めて、一息で文章を言い切る必要があります。
それが、リエゾンやリダクションを多用する理由の一つでもあります。
逆に、音は多少間違っていても、通る声で話していれば、相手に聞き取ってもらえる確率が上がり、結果的に会話がスムーズになります。
ただ、勘違いしてはいけないのが、通る声=大きな声ではないということです。
あくまでも、喉をリラックスさせて、声を太く響かせる必要があります。
自分の弱点音を知っている
発音の上達が早い人は、自分はどの音が苦手かを知っています。
これは、自分が音読している声を録音して、客観的な立場から分析するのが非常に効果的です。
おそらく、発音がネイティブ並みにいい人のほとんどは、この地道な作業を行なってきたと考えられます。
今では、自分の声を自動で録音してくれる便利なアプリがたくさんあります。
ちなみに私は、Elsa Speakというアプリで発音練習をしています。
ただ、こちらのアプリは比較的上級者向きなので、これから英語を本格的に学んでいくという初心者の人は、次のような総合型のスピーキングアプリをおすすめします。
耳がいい(リスニング感度が高い)
発音がいい人は、皆共通してリスニング能力も高いです。
それは、英語には「聞き取れる音しか発音できない」という大原則があるからです。
この逆の「発音できるようになると聞き取れるようになる」というプロセスは起こり得ません。
つまり、彼らは音をコピーできるだけの“いい耳”を持っています。
「英語耳」を鍛えるには、
- 精聴
- シャドーイング
- オーバーラッピング
などで、英語の音を細かく分解して耳に覚えさせるトレーニングが必要です。
ちなみに、私が本格的に英語の学び直しを始めた頃、こちらの3冊で精読精聴を行ったところ、英語力のベースが大幅に底上げされました。

英語を“音”として扱っている(文字から入らない)
発音のいい人は、いい耳を持っているのと同時に、英語を「音」から認識する意識が強いです。
ところが、日本の英語教育では、「文字→音」の順番で習うので、どうしても音への意識が薄れ、文字ありきで英語を理解しようとします。
しかし、日本語を含め、本来言語は必ず音から入ります。
昔は、言語を話すことはできても、読み書きができない人はいっぱいいましたが、逆のケースは聴覚障害を持っているという場合を除き、まずあり得ません。
英語を音として認識しながら、文字とリンクさせる方法としておすすめなのは、AudibleとKindleの同時進行です。
また、海外ドラマや映画を英語字幕でみるのもおすすめですが、こちらは難易度が高くやや上級者向きです。


歌が上手い人に発音がいい人が多いのはなぜ?
英語の発音がいい人という話題でよく出てくるのが、「歌手の人は発音がいい」という話です。
私もこれは感じていて、特に有名なのはONE OK ROCKのTAKAさんで、ネイティブの人からもネイティブと間違われるほどです。
考えられる理由は明確で、彼らは、
- 音を聞き分ける能力が高い(耳がいい)
- 「腹式呼吸」や「声を響かせる」といった発声技術のレベルが高い
- リズム感とイントネーションが自然と身についている
というように、そもそも英語をうまく発音するベースができていると考えられます。
私も、英語の歌を歌っている時は、普段よりも格段に発音が良くなると感じる時があります。
それは、メロディに載せて通る声で発声しているので、自然と腹式呼吸や強弱やイントネーションが強化されているためだと考えます。
もちろん、「歌が上手い=英語の発音がいい」ということにはなりませんが、英語も「メロディ的」にとらえて発音すると、何かコツを掴むかもしれません。
英語耳を鍛えたい人はこちら
まとめ

英語の発音がいい人の特徴【まとめ】
- 音声変化(リエゾン・リダクション)を自然に使っている
- 母音と子音をしっかり意識して発音している
- ストレス(強弱)とリズムをつけられる
- 横隔膜を使った“通る声”で話す
- 自分の弱点音を知っている
- 耳がいい(リスニング感度が高い)
- 英語を“音”として扱っている(文字から入らない)
発音は他の技能に比べ、感覚的な要素が強く、発音の良し悪しはセンスである程度決まっているように思うかもしれません。
しかし、発音は才能ではなく地道な習慣によって身につけることが可能です。
正直、発音矯正は英語学習の中でも最も地味な部類に入ります。
しかしながら、トレーニングの効果がはっきりとわかるのも発音練習で、やればやるほど、みるみると良くなっていきます。
ちなみに、私が日本人で最も発音がいい人だと思ったのは、ソニー前CEOの平井一夫さんです。
もはや発音云々ではなく、単純に英語を話している姿や内容がカッコよく、私の一番憧れている人です。
少しでも彼に近づけるよう、練習していきたいと思います。
あなたは誰に憧れていますか?
ただ、発音をよくする本当の目的は、「伝わる音で、自分らしく話すこと」だと思っています。
ですので、ネイティブの発音にこだわるのではなく、「自分らしさを100%表現できる英語」を目指してトレーニングしましょう。
それではまた、次の記事でお会いしましょう。

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