英語中級者以上の人には多読を中心にでボリュームを稼ぐことを最優先にした学習をおすすめしています。
しかしながら、精読精聴もある程度並行して行うことで、多読を行う際にも良い影響を与えます。
多読と同様、精読にも適している素材の条件というものがあります。
- 文章が長すぎない(10〜15分程度で読めるもの)
- ある程度トピックが絞られている文章
- 興味深い内容
- ある程度フォーマルでニュートラルな英語
- 無駄がなく洗練された文章
- 音声素材が入手可能(必須ではない)
これらの条件に最も合致しているのは、現在TEDをおいて他にありません。
また、TEDを使った精読精聴は、一度で4つの能力が向上する非常に効率的で万能な学習方法です。
- 精読によるリーディング力の向上
- 精聴によるリスニング力の向上
- ボキャビルによる語彙力の向上
- 興味深く内容の濃いトピックによるインテリジェンスの向上
もはや英語学習者の人には説明不要かと思いますが、今回はTEDを使用した英語学習を最大効率で行う方法を紹介します。
TEDを使用した具体的な英語学習方法
準備するもの
パソコンまたはタブレット端末
スマホでの学習も可能ですが、かなり効率が落ちるのでパソコンの使用をおすすめします。
パソコンに比べると操作性は落ちますが、タブレット端末であれば何とか使用に耐えるかと思います。
今回はパソコンでの作業を前提に説明するよ
最近ではスマホで何でもできてしまうので、パソコンは持っていないという人も少なくないと思います。
しかし、本気で英語を習得したいと思っているのであれば、安価でシンプルなPCでいいので一台購入を検討することをおすすめします。
自己投資としては決して損はしない買い物だと思います。
ただし、ウィンドウをいくつか同時に開いて行う必要があるため、画面のサイズはできるだけ大きい方がストレスを感じずに済むので、そこはあまりケチらないようにしましょう。
スペースの関係で難しい場合もあるかと思いますが、可能であればノートパソコンよりデスクトップPCを推奨します。
私は現在27インチのiMacを使用していますが、かなり快適です。
Google Chrome
使用するブラウザはGoogle Chromeを推奨します。
他のブラウザでも基本的な操作は問題ありませんが、Chromeであればこのあと紹介するアドオンをはじめ、便利なアドオンが色々あるので、特にこだわりがなければおすすめです。
Oxford Advanced Learner’s Dictionary(アドオン)
辞書は精読する上で欠かせません。
普段英和辞典に慣れている人は、英英辞典は少しハードルが高いと思うかもしれません。
しかし、中級者の人が上級者を目指すにあたり、どこかのタイミングで必ず英英辞典メインに移行する必要があります。
最初は難しいと感じるかと思いますが、慣れてくると日本語を介さずすべて英語で完結することの方がストレスフリーになってきますので、しばらく我慢して使ってみましょう。
もちろん、それでもわからない場合は、遠慮なく英和辞典を使用しましょう。
いくつか英英辞典を試しましたが、今のところOxford Advanced Learner’s Dictionaryが難易度と単語のイメージのしやすさのバランスがいいと感じています。
Longmanは英語が少し平易すぎて単語のイメージを掴みにくいんだよね
COBUILDもいいけど、少しクセがあって慣れが必要ブヒな
ダウンロードはchrome ウェブストアから「Oxford Advanced Learner’s Dictionary」と検索して、「Chromeに追加」ボタンを押してください。
暗記アプリ
今回はボキャビルも行うので、暗記アプリが必須となります。
一番有名なAnkiやGoodnotesをはじめ、あらゆる暗記アプリがあるので、ご自身に合ったものを使用してください。
私は現在、RemNoteというアプリを使用していますが、かなりおすすめです。
インターフェイスや操作性がNotionに非常に近く、複雑な操作やシステムは皆無です。
極限までシンプルですが、非常に洗練されており、国産アプリによくみられる野暮ったさは全くありません。
まだ比較的新しいサービスなので、現在は無料で使用できますが、うれしいことに広告が一切ありません。
今後人気が出てきたら、有料版が出るかもしれません。
素材選び
実際に視聴する前に、まずは素材を選ぶ必要があります。
どの動画を選んでも問題ありませんが、慣れないうちはあまり再生時間の長いものは避けた方が無難です。
基準としては、だいたい10分から15分程度の動画を選ぶと良いでしょう。
やってみるとわかりますが、どの動画も内容が凝縮しているため、15分でも結構長いと感じ、20分以上のものはかなり長いと感じるかと思います。
再生時間は各サムネイルの右下で確認できるよ
さらに短い5分程度でより優しい内容のTED-Ed videosから選ぶのも悪くないブヒよ
実際の学習手順
初見の視聴では、スクリプトは表示せず、最初から最後まで停止せずに再生します。
このターンは音声と映像のみに集中し、全体的な内容の理解に努めます。
また、わからない単語や聞き取れない部分があっても、意識がそこに置いていかれないように気をつけます。
一瞬でも意識が引っかかると、直後の音声がまるで頭に入ってきません。
実世界の会話では、いちいち相手の話を遮って意味を調べたり、何回ももう一度言ってくださいということはなかなかできません。
初見である程度理解・想像しつつ、わからないところに引っかからないよう訓練をする必要があります。
また、わからない箇所や苦手なことを明確化するという意味でも有効です。
動画下の「Read transcript」ボタンを押してスクリプトを表示させます。
- 単語の場合はOxford Advanced Learner’s Dictionaryアドオンを使用
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- 該当の単語の上で右クリック
- この時ドラッグで単語を選択しなくても自動的に単語が選択される
- すでに文章が選択状態の場合は単語が選択されないので、外の余白部分をクリックして選択解除するか、新たに該当の単語を選択しなおす
- Oxford Dictionary: xxxxをクリック(xxxxは選択した単語)
- ポップアップウインドウが開く
- 意味を確認し、それでもわからなければGoogleやその他の辞書で確認する
- 単語帳に転記する
- 単語の意味や定義自体を転記するのではなく、実際の文章を転記して単語の使用状況から意味を紐づけしたり想起できるようにするのがおすすめ
- 該当の単語の上で右クリック
- イディオムやスラングの場合はGoogle検索の方が確実
-
複数の単語で構成されている表現や慣用句は辞書だとヒットしにくいので、Googleで直接検索しましょう。
- 固有名詞、難しい病名や動植物の名前は無理して覚えなくても良い
-
精読といえど、あらゆる単語を徹底的に調べていると効率が悪くなるので、覚えなくてもあまり支障がないものはスルーしても問題ありません。
一通りわからない単語や表現の意味を確認したら、今度はスクリプトで文字を追いながら頭から動画を再生します。
この時点ですでに細かい部分の意味は全て把握しているという前提なので、このターンではそれを踏まえた上で全体的な内容を理解できているかの確認です。
調べる単語に漏れがあったり、理解度が乏しい場合は、再度辞書やGoogleで確認します。
細かい単語や表現を全て把握し、全体の理解もある程度できていることを確認したら、今度はスクリプトを見ずに再度頭から動画を再生します。
このターンでは音声に集中し、聞き取れない箇所はないか確認します。
聞き取れない箇所があった場合は、再度スクリプトを確認し、音声と文章をリンクさせて、聞き取れるようになるまで繰り返しその部分を再生します。
再生スピードも変更可能ブヒよ
TEDの素晴らしい機能の一つに、スクリプトの文章をクリックすると、その部分から再生できるというものがあります。
この機能があることによって、ストレスなく何度も同じ文章を聞き直すことができます。
ある程度納得できるところまで聞き取れるようになったら終了です。
TEDでの学習をより効率的に行うためのヒント
シャドーイングや音読は必須ではない
今回紹介した方法は、より小さい負荷(労力と時間)でいかに効率よく学習効果が得られるかというところを重視して組んだ内容です。
そのため、負荷が大きいシャドーイングや音読はしていません。
もし、ある程度効果を感じていて、そこまで苦にならないということであれば、最後に少し行っても良いでしょう。
完全に理解できなくても気にしない
精読精聴といえど、毎回100%理解できる訳ではないので、いくら意味を調べても内容を理解できないという場合は、あまり固執せずに先に進みましょう。
得られる効果に対する時間やエネルギーのバランスを常に意識して学習を進めることが重要です。
面白くないと思ったらやめても良い
TEDを使った学習は、トピック選びが重要です。
全く興味のない内容だと、かなり学習効率が落ちるので、トピック選びはある程度慎重に行いましょう。
しかし、いくら慎重に選んでも、時には興味をそそられない動画に出会うこともあるかと思います。
そんな時は、あまり固執せずに、スパッと切り上げて、次の動画を探しましょう。
短時間で集中して行う
TEDを使った精読精聴は多読や多聴などの学習に比べ、かかる手間と精神的な負荷が高く、長時間行うのにはあまり向いていません。
また、基本的にパソコンで行わないと、著しく学習効率が落ちるので、場所と時間を選びます。
なので、ある程度決まった時間に30分や1時間など、一日の学習計画の中に固定で組み込むことをおすすめします。
各手順を分割して行うのもアリ
この学習法は同じ動画を何度も視聴することになるので、結構な精神的負担を伴います。
しかし、あまり頑張りすぎると挫折してしまいますので、負荷を分散させるのもおすすめです。
一度に全ての手順を行うのではなく、各手順を15分くらいのセクションに分割して毎日少しずつ行います。
例えば、下記のような予定で1週間の学習予定を組んでいきます。
- 月曜日:初回再生
- 火曜日:スクリプトを通して読む
- 水曜日:わからない単語や表現の意味を調べて単語帳アプリに転記する
- 木曜日:わからない単語や表現の意味を調べて単語帳アプリに転記する
- 金曜日:わからない単語や表現の意味を調べて単語帳アプリに転記する
- 土曜日:スクリプトを見ながら頭から通しで再生する
- 日曜日:スクリプトなしで頭から通しで再生する
このような形で分散して行えば、毎回フレッシュな状態で臨めます。
毎日少しずつ同じ文章に触れているので、記憶の定着率も上がってきます。
動画選びは電車の中やその他スキマ時間にスマホでピックアップしておくと、スムーズに学習に取り掛かることができるよ
スキマ時間の多聴に再度活用する
一度精読精聴の学習を終えた動画は、再度多読の素材として活用するのもおすすめです。
1エピソードの再生時間も短く、サクッと復習ができるので、非常に使い勝手が良いです。
この場合は、パソコンを使用する必要はなく、スマホでどこでも実行可能です。
ボキャビルを並行して行っている場合は、相乗効果でさらに記憶の定着が促されます。
TEDを利用して着実に英語力を積み上げていこう
精読は同じ文章を繰り返し読む必要があるので、どうしても苦痛に感じたり、本当に効果があるのかと疑ってしまうことがあるかもしれません。
しかし多読と同様、精読も正しい方法で継続して行えば、着実に英語力が積み上がっていきます。
そんな地味な精読ですが、できれば楽しみながら行いたいものです。
TEDのコンテンツはどれも内容が濃く興味深い内容ながらも、テンポが非常に良く簡潔に構成されているので、繰り返し視聴してもあまり苦になりません。
1週間に1本の動画の学習を終えるペースで十分ですので、コツコツと英語力を積み上げていきましょう。