すべてを失って初めて気づく、本当に進むべき道—
今月から、しばらくお休みしていた映画・海外ドラマの字幕なし多観を再開したので、備忘録も兼ねて、作品を通して得た気づきや受け取ったメッセージ、あるいは惜しかった点など、正直な感想をシェアしていこうと思います。
また、後半部分で英語教材としての評価もしているので、そちらも参考にしていただければと思います。
今回紹介する映画はこちら、
The Life List
ライフリスト
作品の印象としては、心温まるヒューマンストーリーですが、主人公の葛藤や成長を通して、
- あなたが本当にやりたかったこと
- 自分軸で生きることの大切さ
- いつからでも挑戦できるということ
といった、様々な気づきを得られる映画でもあります。
自分は一体何のために日々生きているのだろう…
という葛藤を感じているという人には、特に刺さる作品ではないかと思うので、ぜひ最後までお付き合いいただければ嬉しいです。
それでは、始めていきましょう。
作品紹介

The Life List
ライフリスト
- 上映時間:2時間5分
- 監督・脚本:Adam Brooks
- 制作:Netflix
- 公開日:2025年3月28日
- 原作:The Life List(小説)
- 公式サイト:https://www.netflix.com/jp/title/81246107
あらすじ
本作の主人公アレックスは、30代前半の女性で、母親が経営する化粧品会社のマーケティングエグゼクティブとして働いています。
彼女の母親エリザベスはすでに思い病気を抱えており、程なくして天国へと旅立ってしまいます。
母親の死後、アレックスは弁護士を介した遺産相続のミーティングに立ち会います。
彼女が期待していたのは、家族との思い出が詰まった家の相続でしたが、その期待は裏切られます。
その代わりに、エリザベスはアレックスにあるミッションを与えました。
それは、彼女が13歳の時に書いた「Life list(人生のリスト)」をコンプリートすること。
そのリストには、
- タトゥーを入れる
- 運転を習う
- ピアノを習う
- スタンドアップコメディの舞台に立つ
- 良い先生になる
- 真実の愛を見つける
といった、くだらないことからチャレンジングなことまで、13歳当時のアレックスが人生で経験したかったことの全てが書かれていました。
そして、各ミッションを達成するごとに、母親が残したビデオメッセージのDVDを受け取ることができます。
この話を弁護士から言い渡された直後は、気が動転し、ただただ落ち込むアレックスでしたが、やがてこのミッションに本気で取り組むことを決意します。
そして、アレックスは生まれて初めて、自分の人生と本気で向き合うことになるのです。
というお話ですが、題材的には「The Bucket List(邦題:最高の人生の見つけ方)」と「P.S. I Love You」が合わさったようなイメージの、自己成長がテーマの作品です。
【ネタバレあり】ストーリーの感想
全体的に、落ち着いた雰囲気で、テンポよく物語が進んでいくので、とても見やすい映画だと思います。
主人公のアレックスがリストをコンプリートしていく過程を通して、「自己成長」や「人生のやり直し」というのを疑似体験でき、ワクワクしながらも、自分の心のコアな部分を優しく突かれているようなエモーショナルな作品です。
本作のメインテーマは、
- 自分軸で生きる
- 心の声に従う
- 喪失と再生
といったところなので、年齢的には30〜40代の人により刺さるのではと感じました。
しかし、本作のタイトル「The Life List」と銘打っているわりには、リストのミッション達成の様子ががそこまで丁寧に描かれていません。
どちらかというと、彼女の恋愛や失恋を通して得た気づきや感情の変化によって、物語が進行していくような印象です。

個人的には、もう少し先生と生徒との成長の様子を見たかったかな
しかし、ストーリーの構成上、その恋愛模様もリストの進捗状況とリンクさせる必要があり(特に最後のTrue loveに繋げるため)、少し強引な感も否めませんでした。
例えば、「The Bucket List」では、人生最後の時間を、悔いを残さないように、やってみたかったことを思いっきり楽しむというところを徹底して描いていましたし、「P.S. I Love You」では、深い喪失のどん底から少し這い上がっては落ち、また少し這い上がっては落ちを繰り返しながら、徐々に最愛の人の死を受け入れ、前を向いていく過程が丁寧に描かれていました。
この辺の緻密さが名作と言われる所以なのかもしれません。
また、余命いくばくもないはずのエリザベスが、最後まで元気そうだったところに少し違和感を覚えました。
演出的には、DVDが進むにつれて、徐々に弱っていって、最後のDVDでは必死に声を振り絞るくらいの方が、もっと込み上げるものがあったかと思います。
しかしながら、全体的には比較的うまくまとまっており、個人的には最後まで楽しんで観ることができました。
【ネタバレあり】ピックアップフレーズ
ここでは、本作の中で印象的なフレーズやインサイトをいくつか紹介したいと思います。
ネタバレ要素も含みますので、

まっさらな状態で本作を楽しみたい!
という人はスキップしてください。
There are facts, and then there’s what’s true.
The Life List (2025)
これはアレックスが生き別れになった実の父親に会った時に言われた一言で、
There are facts, and there’s truth.
とするところを、あえて、
There are facts, and then there’s what’s true.
としてるところに、英語の奥深さを感じます。
ニュアンス的には、
事実はどうあれ、人々が心の中でそうだと思っていることが真実だ
という感じです。
つまり、「何が起こったかよりも、起こったことをどう捉えるかが大事だ」という、真理をついた一言です。
Life is beautiful, and messy, and complicated. And sometimes it doesn’t look the way you think it’s supposed to look—and that is okay.
The Life List (2025)
これは生前のエリザベスが最後のビデオメッセージでアレックスに残した言葉で、「人生の不条理さを受け入れよう」「執着を手放そう」という、本作のメインテーマとも言える核心をついたフレーズです。
そして、最後に力強く「and that is okay」と強調することで、
それが人生。考えても仕方がない。であれば、せいぜい自分の心のままに生きて人生を存分に楽しむだけ
というメッセージが、この短い一言の中に込められています。

字幕なしで見てみた感想
ストーリー展開も単純明快で、難しい単語や表現もあまり出てこないので、字幕なしでも内容の8〜9割程度は理解することができました。
ただ、やはり文化的なハンデがあり、その面白さが肌感覚で伝わってこないシーンもいくつかありました。
例えば、リストの中の1つに、「Moby-Dickという本を読む」という項目があるのですが、電車の中でアレックスとたまたま対面の席に座っていたギャレット(後にアレックスの同僚だったということが判明)と、その件について、
I know what you’re thinking. What’s a girl like me doing with a book like this?
と、自虐ネタのような会話を交わすシーンがあるのですが、この「Moby-Dick」という本から受けるイメージが自分の中にないため、

おそらく、初対面のギャレットとの会話のきっかけに、「私みたいな小娘がこんな古典的な本を読んでどうするのって思ってるんでしょ?」と、おどけて見せたんだろうな
という解釈までに留まり、そのユーモアを肌感覚では理解することはできませんでした。
また、思わず吹き出してしまったシーンは、アレックスが弁護士のブラッドからDVDを手渡される時に交わした会話で、
Bred: Do you have a DVD player?
Alex: My boyfriend has an Xbox.
Brad: Yeah, that’ll work.
というやりとりがあるのですが、その後のでかいゲームのコントローラーを持ってDVDを見ているシーンも含め、妙な懐かしさが込み上げて、ほっこりしました。
全体的にはエモーショナルなトーンの作品ですが、このようなわかりやすいコメディ要素が随所に散りばめられているおかげで、中だるみすることなく最後まで作品を楽しむことができました。

英語教材としての評価

英語の難易度 | |
---|---|
ストーリーの難解度 | |
会話シーンの多さ |
「The Life List」の英語教材としてのおすすめ度は星3.5個です。
映画ですが、
- 会話量はそこそこある
- アクションシーンや情緒的なシーンはほとんどない
- 一本道のストーリー
- 海外ドラマに近い感覚
なので、英語学習素材としては、とてもバランスの取れた作品ではないでしょうか。
また、本作には原作小説があるので、この映画が気に入ったという人は、本の方も読んでみてはいかがでしょうか?

それではまた、次の記事でお会いしましょう。

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-
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