当ブログでは、多読を中心に英語学習を行なっていくことを推奨しています。
では、精読を全く行わなくても良いかというと、そうでもありません。
精読をある程度定期的に行うことで、多読をしている時にも精読的な捉え方が瞬時にできるようになります。
精読的な捉え方とはどのようなことかというと、
- 文法や構文を意識しながら読むことができる
- 文章を注意深く読む癖が付く
- わずかな表現の違いや違和感に気付くことができる
というように、多読でありながら、ある程度丁寧に個々の単語や表現を認識しながら読み進めることができるようになります。
精読を全く行わないと、この感覚を持ちながら多読を行うことが難しく、どうしてもなんとなく読む癖が付いてしまいがちです。
もちろん、全体の理解を優先するのが多読の目的なので、それでも問題がないのですが、全体の内容を把握しつつ、ある程度文章を分解しながら読めるようになると、さらに全体の理解が深まります。
今回は、精読の役割を正しく捉え、日々の学習に活かすコツをお伝えします。
多読(多聴)と精読(精聴)とは?
まず多読と精読とは何なのかを理解する必要があります。
その都度意味を調べながら、完全な理解を目指す精読・精聴。
わからない箇所は無視、または前後の文脈から推測して、どんどん先に進んでいく多読・多聴。
さらに「観る(リスニング+映像による状況理解)」をプラスした多観。
どちらも重要な勉強方法ですが、上級者を目指すには大量のインプットが欠かせないので、英語力が上がるにつれて、多読・多聴の割合を徐々に増やしていく必要があります。
では実際に何をすれば良いかというと、下記のようなメディアを使用し、英語を英語のまま「読む」「聴く」または「観る」をひたすら続けるだけです。
多読 | 洋書 雑誌 新聞 など |
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多聴 | Podcast(ポッドキャスト) Audible(オーディブル) YouTube など |
多観 | 動画ストリーミングサービス YouTube ケーブルテレビ(CNN、BBC、National Geographic) など |
英語を一から学び直す人や、高校レベルの英語に不安があると言う人は、あせらずに単語帳や参考書などを使用し精読・精聴を地道にこなしていくことをお勧めします。
ある程度英語力が付いてきたら少しずつ多読・多聴に移行しよう
精読は多読の4倍時間がかかる
では実際に精読と多読ではかかる時間にどの程度差があるのかというと、体感的には最低でも4倍くらいの差があります。
内容の難易度が上がるにつれて、さらに要する時間の差は広がります。
両者の違いは、単純に未知語を調べるかどうかというところだけかと思うかもしれませんが、実はアプローチの仕方そのものが全く違います。
- 精読の手順
-
- まずは通しで全文を読み、全体的な理解度を確認する
- 先頭に戻り、わからない単語やフレーズを一つ一つ確認していく
- ボキャビルを同時に進める場合は単語帳アプリなどに転記する
- 再度先頭に戻り、全体的な意味が理解ができているか確認する
- 多読の手順
-
- わからない単語や表現はそのままにして、とにかく読み進める
このように精読と多読では掛かる負荷と要する時間がかなり違ってきます。
精読をひたすら続けるのも決して無駄ではありませんが、ボリュームが重要視される中級者以上の英語学習者の人にとってはあまり効率のいい学習法ではありません。
多読と精読のバランスは8:2で十分
では、実際にどの程度の割合で精読を取り入れれば良いかというと、全体の学習の2割程度で十分ではないでしょうか。
中級者以上の人にとって、精読はあくまで多読の学習効果を多少底上げするようなスパイスのような位置付けなので、そこまで負荷を掛けて行わなくても問題ありません。
むしろ精読の割合を上げすぎると、ボリュームが稼げなくなるので、週1回1時間など時間を決めて集中して行うのが良いでしょう。
ただし、もう少しボキャビルに力を入れたい、リスニングが弱いので音と文章を徹底的にリンクさせたい、というような場合はもう少し精読の割合を増やしても良いかもしれません。
精読の素材はTEDがダントツでおすすめ
精読に適している素材の条件は下記のようなものがあります。
- 文章が長すぎない(10〜15分程度で読めるもの)
- ある程度トピックが絞られている文章
- 興味深い内容
- スピーチや記事などある程度フォーマルで内容が凝縮している文章
- 音声素材が入手可能(必須ではない)
これらの条件に見事に合致するのは今のところTEDしか見当たりません。
しかも無料で、日々新しい動画が更新されています。
TEDを1エピソード精読精聴するだけで、様々な学習効果を得ることができます。
- 精読によるリーディング力の向上
- 精聴によるリスニング力の向上
- ボキャビルによる語彙力増強
- 興味深く内容の濃いトピックによるインテリジェンスの向上
また、TEDに出てくる単語や表現は、難しそうに見えても実は一般的な表現を使っていることが多いので、その他の書籍で多読をしている時も高確率で出会います。
覚えたての単語が別の本に出てきた時はちょっと感動するよ
多読を行った素材で精読を行うのもアリ
一度多読で使用したお気に入りの本で精読するのもおすすめです。
- 一度多読しているので内容がすでに頭に入っている
- 再読することによってより深い理解や気づきを得られる
- お気に入りの本なので再読することが苦痛ではない
というように、全く新しい素材よりも、かなり効率的かつ楽しんで精読を行うことができます。
さらに、著者ごとに使用する単語や表現にはある程度共通性があるので、一冊しっかり精読をしておくと、今後同じ著者の別の書籍を読んだ時にも、初見ですんなり内容が入ってくるようになります。
ただし、長編小説で精読を行うとかなり時間がかかるので、半年や1年単位で腰を据えてじっくり行う必要があります。
しかし、必ずしも精読は全編行う必要はありません。
最初の数章や、お気に入りの章、多読した時には理解が難しかった章など、的を絞って行うのも悪くありません。
よくある多読と精読に対する認識の違い
日本での英語教育は精読が中心のため、どうしても精読的アプローチで英語学習を進めようとする人が多いと思います。
また、洋書を丸々読むといったような多読は、日本ではあまり馴染みがないため、精読と多読に対する位置付けの認識が正しくない場合があります。
よくある認識の違いとしては、次のようなものが挙げられます。
- 精読は集中して行い、多読は何となくさらっと読むもの
- 多読は英語に慣れるために行うもので、英語力そのものを向上させる効果はない
- 精読こそメインの学習方法で、多読は趣味程度の息抜きで行うもの
- 多読は英語上級者かネイティブが行うもので、一般的な英語学習者にはハードルが高い
しかし、実際はこちらが正しい認識です。
- 多読の方が高い集中度を必要とする
- 辞書を使わず一気に読み進めていくので、流れの中で内容を把握する必要がある
- 読む速度をなるべく一定にナチュラルスピードに近い形で読み進めるのが理想
- 読んだ文章から脳内でイメージを再生する必要がある
- むしろ精読の方が逐一止まって何度でも行うことができるので、多読に比べ求められる集中度はそこまで高くない
- 多読でこそ本物の英語を身につけることができる
- 一つの単語を習得するには、別のシチュエーションで何度も出会う必要がある
- 言語というのは単語単体の持つ意味よりも、文脈の中での役割が重要
- むしろ精読の方がゆっくり丁寧に行うため、英語に慣れるという意味合いが強い
- 多読こそメインの学習方法で、精読はあくまでも多読を補助するもの
- 精読は多読を行うための準備運動のようなもの
- 英語学習はボリュームが最重要要素、精読だけではボリュームが圧倒的に足りない
- 多読はどんなレベルからでも始められる
- 多読はむしろ中級者以上の人に爆発的な効果を発揮する
- 多読は中級者が上級者になるための必須学習法
- 一度洋書を完読する体験をすれば、そこまでハードルが高くないことに気づく
このように、多読と精読の位置関係を正しく認識して学習を続けていれば、遅かれ早かれブレークスルーが必ず訪れますので、自分を信じて地道に継続していきましょう。
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多読と精読の間に明確な違いはない
英語を学習している多くの人は、多読と精読を完全に切り分けて考えている場合が多いかと思います。
しかし、実際には多読と精読に明確な違いはありません。
どちらも同じ言語を使ったリーディングですし、精読では必要に応じて日本語の補助も入りますが、最終的には英語を英語のまま理解するという目的はどちらも変わりません。
あるのは、アプローチの仕方の違いと、より文章全体ににフォーカスするか、最小単位で単語や表現をケアしていくかの違いです。
多読を行っている時も、要所要所で精読なアプローチをすることもありますし、精読を行う際も全ての単語の意味を調べた後、必ず全体の内容の把握が必要になります。
なので、多読と精読の間にボーダーラインがあるのではなく、グラデーションでどちらの要素が強いかという具合です。
しかしながら、英語学習において一番重要なのは文脈を通した全体的な内容の把握とボリュームなので、精読はどうしてもその補助的な役割となります。
ですが、精読をある程度定期的に行うことによって、多読の効果にも良い影響を与えるので精読も軽視できません。
多読と精読を自分が心地よいと思うバランスで日々の学習を行なってもらえればと思います。