当ブログで最も重要な英語学習として紹介している英語多読ですが、基本的なルールの一つとして、辞書を引かないというものがあります。
しかし、これから多読を始めようと思っている初心者の人は、
それで本当に語彙は増えていくのかな…?
と、不安になっているかと思いますが、結論として、
辞書を使わない多読でも語彙は着実に増えていきます。
今回は辞書を使わない英語多読でも語彙が増えていく理由を解説していきます。
また、例外的に辞書を使った方がスムーズにいくケースもいくつかあるので、そちらも合わせて解説していきます。
英語多読で辞書を使わない方がいい理由
まず、多読を始める前に押さえておきたいのは、NPO多言語多読が提唱する多読三原則です。
詳しくはこちらの記事、多読三原則は初心者に厳しすぎる?10年続けてわかった本当の意図を参照してください。
その中の一つに「辞書は引かない」というものがあります。
ここでは、なぜ英語多読で辞書を使わない方がいいのかということについて深掘りしていきたいと思います。
英語多読で辞書を使わない方がいい理由は主に5つあります。
- 話の流れを止めずに内容の理解を優先する
- 推測する力を強化する
- すらすら読めるようになる
- 楽しむことでモチベーションを維持できる
- 辞書に依存しない癖をつける
詳しく解説していきます。
話の流れを止めずに内容の理解を優先する
多読の主な目的は文脈を通して総合的に内容を掴むことですが、知らない単語が出てくるたびにその都度流れを止めて辞書を引いていると、全体的な内容の把握が困難になります。
なので、文脈の中に1つ2つ知らない単語や表現があっても、全体の流れを掴むのにあまり支障がなければ、とりあえずぼんやりと存在を認識しつつ、どんどん先に進みましょう。
最初は不安だと思いますが、慣れるとそこまで気にならなくなります。
むしろ、内容を大体理解できているのに辞書をいちいち引く方が不毛に感じてきます。
推測する力を強化する
文脈の中で知らない単語に出会うことで、前後の文章から意味を推測する力が身につきます。
この能力は実際に英語をライブで読まなければならない状況で役に立ちます。
例えば、海外で咄嗟に英語のマニュアルや規則の用紙を渡されて、チェックをしておいてくださいと言われた時など、いちいち辞書を使って精読している暇はありません。
文脈から推測する力はある程度訓練しないと身につかないので、普段から推測する癖をつけておかないと、いざこのような場面に遭遇したときに、頭が真っ白になってまるで内容が入ってきません。
将来起こりうるパニックを防ぐためにも、普段からある程度辞書に頼らずに文章を読む練習をしておく必要があります。
すらすら読めるようになる
多読の主な効果は文章を澱みなくすらすら読めるようになることです。
集中して読書を続けていると、だんだん周りの世界が遮断されるような感覚になり、ゾーンに入ります。
そうすると、文章が何の抵抗もなく自分の中にスーッと入っていく感覚を覚えます。
おそらくほとんどの人は多読を始めた頃、1ページ読むのも一苦労で、3ページ読んだらお腹いっぱいという感じかと思いますが、このフロー状態で文章を吸収する感覚を覚えると、何の抵抗もなくあっという間に10ページ20ページと読み進めることができるようになります。
しかし、いちいち辞書を引くために集中を切りながら読むスタイルだと、なかなかこのゾーンに入ることができません。
文章を一気に大量に読むということは、想像以上に大きな恩恵があります。多読の場合は思い切って文章量を稼ぐことにフォーカスしてみましょう。
楽しむことでモチベーションを維持できる
多読の最大の魅力は単純に楽しいということです。
内容が面白いので夢中になって読むことができ、努力をしている・勉強をしているという感覚が全くありません。
しかし、辞書を引くほどに本来の魅力は下がっていき、やがて退屈な作業に思えてきてしまいます。
なので、多読では意味を完璧に理解することよりも、楽しみながら読了することを目的にして達成感を重視しましょう。
辞書に依存しない癖をつける
知らない単語に出会ったときに常に辞書を使う癖がつくと、辞書への依存度が高まり、辞書がないと英語が読めないというメンタルブロックがかかってしまいます。
英語が流暢に喋れたり、英文をすらすら読める人は、このメンタルブロックが外れています。
実際には彼らとあなたの英語の実力は見た目以上に差がないことがほとんどです。あるのは辞書がなくても何とかなるという自信と文脈から内容を瞬時に推測するセンスです。
なので、辞書を使わない多読は英語に対しての自信をつけるという意味でも効果が高いです。
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英語多読で辞書を使わずに語彙が増える理由
ではなぜ英語多読で辞書を使わずに語彙が増えていくのでしょうか。
その理由は主に4つあります。
- 同じ単語に繰り返し出会う回数が増える
- すでに持っている語彙を強化する
- 類義語・対義語・関連語を覚える
- アクティブワードが増える
詳しく解説していきます。
同じ単語に繰り返し出会う回数が増える
単語は単語帳やフラッシュカードなどの単純な暗記で覚えるよりも自然に覚えていく方が記憶の定着が良いので、一つの単語を深く理解するのは、別のシチュエーションで何度も出会う必要があります。
多読で辞書を引かないことによって読書スピードが上がり、同じ単語に繰り返し出会う回数が増え、結果的に語彙が増えていくスピードが上がります。
多読で語彙を増やす上で重要なのは、
この単語なんか見たことあるな
という既視感です。この気づきから、その単語に興味を持ち、より意識するようになることによって、徐々に顕在意識に定着していきます。
特にそのトピックに関連した重要語は何度も出てくるので、自然と優先位順に単語を覚えていくことになり、バランスよく語彙力が上がっていきます。
すでに持っている語彙を強化する
全体的な内容や文脈にフォーカスすることで、すでに知っている語彙の定着を強化したり、その単語の持つニュアンスや正しい使い方を自然に身に付けることができます。
これは単語単体で覚える方法だとなかなかできません。
そもそも、語彙というのは辞書で意味を調べたときに完結するのでありません。辞書はあくまでも語彙を増やす補助的な役割です。
語彙が増えていく最も重要なプロセスは、一度出会った単語を生きた英語の中で何度も出会いながら、少しずつ自分の中でその単語に対してのコアイメージやコロケーションを学んでいくところにあります。
この部分の意識を変えると多読の重要性がより腑に落ちるかと思います。
類義語・対義語・関連語を覚える
多読では文脈単位あるいは段落単位で意味を捉えていくので、新しい単語が出てきたときに、周りにその単語の類義語や対義語、その他関連する単語が絡み合っている場合が多いです。
たとえその単語単体で意味がわからなかったとしても、周りの関連する単語がヒントとなり、その単語の全体像が見えてきて、ほぼ正確に意味を捉えられるということも少なくありません。
特に英語の文章では同じ単語の連続使用が嫌われる傾向があるので、同じ意味を伝えたい場合でも、あえて違う単語やフレーズで表現されている場合が多いです。
アクティブワードが増える
多読で何度も出会って自分の中にストックされた単語は、無意識下でフォーミングされた後、ある時アクティブワードとして自分の言葉としてアウトプットできるようになります。
特に暗記して覚えたという意識が全くないのに、急に出てくる時があります。
実際に私が経験した例ですが、ある時アメリカ人の知人と会話をしていたとき、話の流れの中で無意識に、
It’s embedded in my brain
(脳に刻み込まれている)
と口から出てきたことがあり、その知人は「その表現が自然に出てくるのはすごいね!なかなかネイティブでも出てこないよ!出てきてもengravedじゃない?」と驚いていました。
私は普段から心理学や脳科学に興味があり、関連する書籍やポッドキャストを聞いていたので、知らないうちに専門的な表現が自分の言葉(アクティブワード)として使えていたのだと思います。
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英語多読で辞書を使った方がいいケース
ここまで多読では辞書を使わない方がいいということを説明しましたが、例外的に辞書を使った方がいいケースもいくつかあります。
- 内容を理解するために欠かせない重要語に出会った時
- 何回出てきても全く推測できない時
- 新しい知識や専門用語を学ぶ時
- 発音を確かめたい時
- ある単語の使い方や定義を深く理解したい時
詳しく解説していきます。
内容を理解するために欠かせない重要語に出会った時
その単語の意味をわかっていないと全体的な内容が全く把握できないという場合、特に前後の文脈から全くヒントを得られないという場合は、素直に辞書を使って内容の理解を優先させた方がスマートです。
私の経験上、ストーリー上頻出する名詞がわからないと話についていけなくなる確率が高くなります。
なぜなら、大抵の場合名詞には類義語や対義語がなく、そのものを覚えるしか方法がないからです。
例えば、私が洋書多読一冊めに選んだHolesでは「canteen」という単語がこれでもかというほど出てくるのですが、当時はまだ推測力が高くなかったので、これが水筒という意味だというのをかなり後になってわかりました。
こんな単純な名詞でも意味がわからないと、結構内容が入ってこない場合があります。
逆に動詞や形容詞は意味が全くわからなくても、ある程度前後の文脈からの推測で内容を掴める傾向にあります。
副詞に至っては前後の名詞や動詞の意味がわかっていれば、完全無視でもいいくらいです。
例えば、次の文章の場合、
From 1945 to 1970, as GDP doubled, tripled or even quadrupled in some western economies, people’s wages often grew proportionally.
TED-Ed: What’s the best country to live in? | TED Talk
もし「proportionally」という単語がわからなくても、前の文脈から何となく「比例して」というニュアンスを感じることができます。
たとえニュアンスを全く感じることができなくても、「people’s wages often grew」の意味さえわかっていれば内容の理解に影響を与えません。
何回出てきても全く推測できない時
内容を理解する上ではあまり重要でない単語でも、何回も出てくる場合は単純に英語として重要語という可能性が高いです。
その場合、ある程度推測ができていればしばらくスルーでも大丈夫ですが、全く推測できない場合は素直に意味を調べた方がいい場合があります。
特に特定の本だけでなく複数の本の中で頻出する場合は、確実に重要語なので早めに意味を確認した方がいいでしょう。
ただし、数回出てきたくらいで辞書を引いているとキリがないので、せめて20回くらい出てきて初めて辞書を使うか検討しましょう。
新しい知識や専門用語を学ぶ時
ある分野の専門的な知識や何か新しい技術を身につける目的で本を読んでいる場合は、その内容を100%理解することを優先した方がいいので、わからない単語や専門用語が出てきたら素直にすぐ調べた方がいいでしょう。
幸い小説に比べ、実用書はこまめに辞書を引きながら読んでも、内容についていくのにあまり影響がありません。
文字だけではあまりイメージが湧かない場合は、Googleなどで画像や動画を参照しましょう。
発音を確かめたい時
その単語の意味を知っている・知っていないに限らず、どのように発音するのかを確かめたいときはその場で辞書を使って発音記号を確認したり、実際の音声を確認して、数回自分でも口に出してみるのもいいでしょう。
発音を知りたくなるということは、すぐに使ってみたいという思いの現れでもあります。特にスピーチやビジネスの場面で使う予定がある場合はなおさら正しい発音を身につける必要があります。
このように、発音に限らず実際に自分で使うことを強くイメージできる単語は優先的に調べましょう。
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ある単語の使い方や定義を深く理解したい時
ある単語について、ほぼ意味はわかっていて内容の理解には困らないが、もうひとつこの単語のもつニュアンスや使用するケースが掴めないというときには、辞書を使って定義や語源を調べたり、他の例文と比較しどのような場面で使われているのかなどを確認し、その単語のコアイメージを固めます。
ここまで気になるレベルだと、もはや無視できない単語となっているので、そのままにはせず一気に仕上げてしまいましょう。
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多読で辞書を使わないことは遠回りに見えて実は近道
実際にやってみるとわかりますが、多読で何回も出会ってじっくり覚えた単語というのは、いつまで経っても覚えています。
逆に単語帳などで一気に詰め込んで覚えた単語は忘れるのも早いです。たとえフラッシュカードで忘れないように訓練していても、多読で自然に身につけた単語には敵いません。
仮に単語帳で1年で1000語覚えたとして、その後何もしなければ一年後に覚えている数は絶望的に少なくなっています。
一方で多読で1年で100語しか増えていなくても、1年後もほとんどの単語を覚えています。
一見遠回りに見える多読ですが、着実に語彙が増えて定着していくので、長いスパンで見ると結果的には効率よく語彙が増えていくことがわかります。
しかしながら、全く辞書を使うなということでもありません。
今回紹介したケースを参考にして、適切な距離感と頻度で辞書を活用していってもらえればと思います。