多読は実際にどのように行えばいいのか?
多読はどのように読んでも良い自由度の高い学習です。
多読三原則という多読の基本理念のようなルールもありますが、実際どのように行うかという技術的なところまでは踏み込んでいません。
そのため、
いざ多読を始めてみたけど、本当にこのやり方で合っているのか不安…
という人もいるかと思います。
そこで、今回お話しするテーマがこちら、
- 多読を効果的かつスムーズに行うコツ
それでは、始めていきましょう。
洋書多読のコツ①:英語を英語のまま読む
日本語で解説が書かれている英語関連の本を読んでいるときは、英語のことについて日本語脳で考えているので、どうしても本文の英語も日本語で解釈しながら読んでしまいます。
このような書籍に載っている英語の例文は分量が少ないので、それでもなんとか対応できます。
一方、洋書多読は、日本語が全く介入せず、処理する英語の分量も圧倒的に多いので、英語を英語のまま捉える英語脳で読んでいかないと、とても間に合いません。
では、英語脳で英語を理解するにはどうしたらいいのでしょうか?
ポイントは3つ
- 英単語と日本語の意味をセットで覚えない
- 英語はチャンクで理解する
- コロケーションとコアイメージを意識する
詳しく解説していきます。
英単語と日本語の意味をセットで覚えない
英語と日本語は言語間距離が最も遠い部類に属しており、そもそもの文章構造の違いや、民族的な感情の違いから、
- 一対一で文章を訳せない
- そもそも日本語にはそのような表現がない
というケースが度々見られます。
さらに厄介なのは、日本語訳は同じでも、英語では意味合いが全く違うフレーズが存在するということです。
例えば、友人と遊びに行った日の別れ際に、「気をつけて」という意味で、

Be careful!
と、何の疑いもなく言ってしまい、

はわわわわ、、、何に??
と、相手を驚かせてしまいかねません。
【be careful】は、危険を知らせる時に使う表現です。
普段から洋書を読んでいたり、映画・海外ドラマが好きでよく見ている人であれば、別れ際に使う常套句として散々出てくる、

Take care!
を反射的に選ぶことができます。
このように、英単語の意味を日本語の意味で覚えるのではなく、場面や感情と紐付けて覚えるというのが重要です。
英語はチャンクで理解する
英語を英語で理解するためには、単語単体で意味を当てはめていくのではなく、文節(チャンク)ごとに全体的な状況を捉えながら、文脈の中でその単語の役割を理解する方が自然です。
漢字一つに多くの情報が含まれている日本語の場合、単語一つでも十分意味が伝わってしまうことが多いです。
しかし、英語の場合は、単語ひとつに含まれる情報量が乏しいので、
文脈という一つの集合体になってはじめて意味を成す
ということがほとんどです。
そのため、英語脳で英文を読むためには、チャンクで文章を捉える癖をつけることが重要です。
コロケーションとコアイメージを意識する
英文を分解したときに、チャンクと単語の中間に位置するのがコロケーションです。
例えば、
make a decision
という表現に出会ったとき、コロケーションを意識せずに、makeとdecisionを単語単位で分解して捉えていると、なかなか状況を理解できません。
しかし、【make a decision】というひと塊りの決まり文句として捉えることができれば、難なく「決断する」という状況をイメージできます。
また、コロケーションや単語を英語的な感覚で理解するために重要なのがコアイメージです。
多読での単語の覚え方は、
- 多読を通して何度も同じ単語に出会う
- 意味はわからないが、だんだんコアイメージが固まってくる
- 辞書を引かなくても大体の意味がわかるようになる
- いつのまにかアクティブワードとしてアウトプットできるようになる
という流れです。

不安な場合は、3と4の間で辞書を使っても構わないよ
このように、多読の場合は、単語の意味を文面通りに理解するのではなく、
情緒的な感覚を感じられるようになる
ということが重要です。
コロケーションとコアイメージについてもっと知りたいという人は、
の記事で詳しく解説をしているので、ぜひ読んでみてください。
洋書多読のコツ②:返り読みはしない
多読は、細かいところは気にせずに、わからないところは飛ばして、テンポよく読み進める学習法です。
そのため、返り読みをするということは、
わからないところがめちゃくちゃ気になっている
ということになり、多読の本質を捉えられていない可能性があります。
精読に慣れている人は、どうしても無意識に返り読みをする癖がついてしまっているかもしれません。
では、どうすれば返り読みをしないようになれるのでしょうか?
ポイントは3つ
- ネイティブのナレーターが朗読しているイメージで読む
- わからないことを受け入れる
- 内容を咀嚼しながら読む
詳しく解説していきます。
ネイティブのナレーターが朗読しているイメージで読む
多読をしてる時は、無意識に頭の中で文章を声に出して読んでいるかと思います。
しかし、この時に自分の声をイメージしてしまうと、頭の中の声にも関わらず、
- カタカナ英語のような発音になってしまう
- 難しい単語のところでつっかえてしまう
ということが起こってしまいます。
それを防ぐための方法は、
ネイティブのナレーターが朗読しているのをイメージしながら文字を追う
ということです。
そうすることで、自分の実力以上の英語を脳内で再生することができます。
さらに、朗読をイメージしながら読み進めることによって、返り読みをしなくなるという効果もあります。
また、ネイティブのナチュラルスピードをイメージするので、読書スピードを一定水準に保つことができます。
ネイティブの人が朗読している声をうまくイメージできないと言う人は、Audible(オーディブル)やポッドキャストなどで、多聴の学習も取り入れましょう。
わからないことを受け入れる
わからない単語は飛ばして読み進めるというのは、内容の理解に対しても同じことが言えます。
洋書を読んでいると、英語の意味はわかるが、内容が腑に落ちないという状況にたびたび遭遇します。
そもそも、日本人と英語圏の国々の人では、文化的・人種的背景の違いがあるため、どうしても理解の範疇を超えたものが出てくる時があります。
違いが一番顕著に出るのは、ジョーク(ユーモアセンス)です。
特に、日本の独特のセンスのお笑いやバラエティで育った日本人は、英語のジョークの面白さが全く理解できないことがあります。

ピンとこなくても、とりあえず先に進もう
したがって、
わからないことはそのまま受け入れる懐の深さ
を持って多読に取り組みましょう。
内容を咀嚼しながら読む
「返り読みをせずにどんどん先に進む」というのを意識しすぎて、
- 理解度を無視して文章だけを追いかける状態
になってしまうのは注意しなければなりません。
ペースは維持しつつも、
しっかりと内容を咀嚼しながら進める
ということが大事です。
テンポは大事ですが、
しっかり文章を自分の中に落とし込めているか
ということも確認しながら、自分のペースで多読を進めていきましょう。

考え込んだり、少し戻って再読しないといけないような難解なものだけを飛ばすように心がけよう
洋書多読のコツ③:丁寧に速く読む
多読の効率を上げるには、読書スピードを上げて、時間あたりのインプット量を増やす必要があります。
だからと言って、速読や斜め読みをするのは、英語学習としての多読の趣旨から外れます。
したがって、英語多読を行う場合は、
文章を丁寧に、かつ速く読む
という技術が必要になってきます。
では、どうすれば丁寧に速く読めるようになるのでしょうか?
ポイントは2つ
- 効率を求めた読み方はしない
- 意識や感情の変化を感じながら読む
詳しく解説していきます。
効率を求めた読み方はしない
英語多読の目的は、あくまでも、
- 自然な英文を吸収すること
であり、
- 効率よくアイデアや情報を取り入れること
ではないので、日本語の新聞やビジネス書のような、速読や斜め読みはしないようにしましょう。

ナチュラルスピードで、文章を丁寧に追っていけばOKだよ
とはいえ、上級者になっていくほど、自然と速読に近い読み方になっていきます。
ネイティブの人が一度に認識できるチャンクの幅は広く、ほとんど行単位で読んでいるような感じなので、非ネイティブの人からすると、異常な速さで内容を理解しているように感じます。
意識や感情の変化を感じながら読む
多読を通して、英語を自分の言葉としてストックしていくには、
自分の意識や感情に紐づけながら読む
ということが非常に有効です。
例えば、ビジネス本であれば、
- 著者はその一文で何を一番伝えたいのか
- その思想や見識を自分の中に落とし込めるのか
など、自分の中に起こった意識の変化を感じることができます。
あるいは、小説であれば、
- 心理的な葛藤
- どん底からの再生
- 人としての成長
など、登場人物の経験を疑似体験することによって、感情の変化を感じることができます。
そうすることによって、英語がただの文字の羅列ではなく、自分にとって意味のある情報として、脳に深くインプットされます。
おわりに

多読を行う際は、
- 何のために多読を行うのか
- 多読によってどの能力を伸ばしたいのか
- なぜ多読を他の学習より優先させたいのか
など、目的意識をはっきりさせることで、他の学習との棲み分けも容易になります。
私の場合は、
- インプット量を稼ぐ
- 英語への耐性を強化する
- 読書体力(集中持続力)を付ける
- 英語以外の知識や気付きを得る
- 没頭することによるストレス解消効果
といった効果を期待しているので、今回紹介したような意識で多読を行っています
当然、目的の違いによって、多読へのアプローチも変わってきます。
例えば、多読によってボキャビルを優先して行うことを考えている人は、もっと辞書を使う頻度を上げて、全体的な内容の把握はそこまで重要視しないかもしれません。
あるいは、実用書やハウツー本を読んで、自らのアウトプットに落とし込もうとしている人は、頻繁にメモを取り、前のページに戻って図表や手順を何度も確認しながら読み進めるかもしれません。
まずは、自身の多読に対する目的意識を明確にし、どのような進め方が一番フィットするのかを自分なりに考えてみましょう。
それではまた、次の記事でお会いしましょう。

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