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即時報酬と遅延報酬の違い|『Atomic Habits』徹底解説

の記事では、やる気に頼らない仕組みを作ることによって、誰でも無理なく習慣が続けられるというお話をしました。

では、そもそも私たちの「やる気」は、どこから湧いてくるものなのでしょうか?

この問題を解決するには、我々の報酬システムに備わった「即時報酬」と「遅延報酬」という、二種類の報酬経路を理解しなければなりません。

そして、遅延報酬型の習慣から即時報酬を得ることによって、習慣自体に価値を見出し、習慣を続けやすくすることができます。

そこで、今回は、

というテーマについて、詳しく解説していきたいと思います。

それでは、始めていきましょう。

今回紹介する本はこちら

習慣で人生を変えたい人へ

Atomic Habits
Tiny Changes, Remarkable Results

英語の難易度:

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ページ数:319ページ

著者:James Clear

発売日:2018年10月16日

日本語訳版はこちら

ジェームズ・クリアー式
複利で伸びる1つの習慣

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ページ数:328ページ

著者:ジェームズ・クリアー

翻訳:牛原 眞弓

発売日:2019年10月12日

本記事の内容は、本書を読んで私自身が解釈・要約したものであり、著者の意図や原文を忠実に再現したものではありません。また、理解を深めやすくするため、一部の実例などに変更・補足を加えている場合があります。

Contents

即時報酬と遅延報酬とは

まず、即時報酬と遅延報酬を簡単に説明すると、こうなります。

報酬の種類は2つ

  • 即時報酬 = 何かを実行した瞬間に得られる報酬
  • 遅延報酬 = 行動実行から獲得までにタイムラグがある報酬

現代社会に住む私たちのストレスの原因の多くは、この報酬獲得のタイミングのギャップに苦しめられているからです。

詳しく見ていきましょう。

即時報酬

即時報酬とは、何かを実行した瞬間に得られる報酬です。

例えば、あなたがサバンナで生活していると想像してください。

日中、常に考えることは、

  • その日の食料や寝床の確保すること
  • ライオンや虎などの捕食者を避けること

といった、今目の前で起こっていることに対しての選択がほとんどです。

このように、即時報酬では、行動と結果が直結しています。

You live in what scientists call an immediate-return environment because your actions instantly deliver clear and immediate outcomes.

Atomic Habits, P187
即時報酬の説明イメージ(サバンナでの生活)
サバンナでは今を生き延びることに必死

遅延報酬

一方、遅延報酬とは、その行動を実行して、ある程度時間が経ってから現れる報酬です。

現代社会で生きる我々の選択のほとんどは、遅延報酬に基づいて決定されています。

例えば、

  • 会社でどんなにいい仕事をしても、昇給やボーナスが得られるのは数ヶ月後
  • 筋トレを始めても効果が出るのは数ヶ月後
  • 老後のために貯金を始めても、十分な金額を得るのは数十年後

など、今日選択した行動から報酬を得るまでにタイムギャップがあります。

我々の祖先であるホモ・サピエンスが誕生してからおよそ20万年ですが、それまで長らく続いた即時報酬型の環境から遅延報酬型の環境に変わったのは、ほんの500年前くらいのことです。

人類にとってこの変化はごく最近のことであり、我々の脳はこの変化に順応できていません

それゆえ、

  • 喫煙を続けると後々健康に悪影響を及ぼすことがわかっているにも関わらず、脳がニコチンを今欲しているため、ついタバコを吸ってしまう
  • 過食は肥満の原因と分かっていても、今起こっている空腹を満たすために、つい食べ過ぎてしまう

ということが起こってしまいます。

逆に、筋トレやダイエットなど、良いとされている習慣の多くは、行動と結果が直結していないため、その行動自体を純粋に楽しむということが難しいです。

そのため、良い習慣を継続するには、その行動を行うこと自体に楽しみ達成感を見出す工夫が必要です。

You live in what scientists call a delayed-return environment because you can work for years before your actions deliver the intended payoff.

Atomic Habits, P187

擬似的に即時報酬を作る方法

遅延報酬型の習慣を続けるには、その習慣を行うこと自体に価値を見出す必要があります。

つまり、その行動をすることで得られる新たに即時報酬を作り出すということです。

擬似的な即時報酬を作るためのポイントは3つあります。

擬似的即時報酬のポイントは3つ

  • 報酬獲得のタイミングは行動の終了時であること
  • Habit StackingCueを強化させる
  • 何かを禁止する習慣に効果を発揮する

遅延報酬型習慣の弱点は、行動終了時に報酬が得られないことです。

そこで、行動終了時に報酬が得られるような付加価値(ご褒美)を設定することによって、擬似的に即時報酬を得た時と同じ状態を作ることができます。

この時、Habit Stackingを応用して、習慣の終了時のご褒美を固定することによって、Cueが強化され、新たな習慣の形を形成します。

また、悪習慣をなかなか辞められない理由の一つに、その行動をしなかったことに対する報酬がないことが挙げられます。

例えば、

  • その一本のタバコを今吸わなかったとしても、何も起こらない
  • 一ヶ月禁酒に成功しても、多少の体調の変化はあれど、劇的なことは何も起こらない

といった感じです。

ドーパミンによって制御されている我々の脳は、

報酬がない = 価値がない

と認識します。

そのため、このテクニックは、何かを禁止する習慣と特に相性が良いです。

Immediate reinforcement can be especially helpful when dealing with habits of avoidance, which are behaviors you want to stop doing.

Atomic Habits, P191

やったつもり貯金

これらのポイントを活かした実践法の一つとして、本書で紹介されているテクニックが、「やったつもり貯金」です。

その名の通り、何かをやったつもりでその代金と同額のお金を貯金していくというシンプルな方法です。

まず、貯まったお金で何が買いたいかを決めます。

例えば、レザージャケットが欲しいという場合は、「レザージャケット」と書いたラベルを瓶に貼り、その中にお金を入れていきます。

「やったつもり貯金」イメージ(瓶の中にお金が入っているイラスト)
未来の報酬を今感じる「やったつもり貯金」

そして、

  • 毎朝飲んでいたスターバックスラテを買わなかったら500円貯金
  • Netflixのサブスクを一ヶ月キャンセルしたら2,500円貯金

というように、擬似的な即時報酬を作り出すことによって、したいことをできなかったという欠乏感よりも、欲しいもののために一歩前進したという幸福感を感じることができ、「何かをしない」ことに対しての満足感を得られます。

えいじ

じゃあ、げん丸くんにおやつあげたつもり貯金でもしょうかな

げん丸

ブヒーー!そんな殺生な。。

In a perfect world, the reward for a good habit is the habit itself. In the real world, good habits tend to feel worthwhile only after they have provided you with something. Early on, it’s all sacrifice.

Atomic Habits, P190

まとめ

即時報酬と遅延報酬【まとめ】

  • 即時報酬 = 何かを実行した瞬間に得られる報酬
    • 行動と結果が直結している
  • 遅延報酬 = 行動実行から獲得までにタイムラグがある報酬
    • 人間の脳は遅延型報酬に適応していない
    • 習慣を継続には、行動自体に価値を感じる工夫が必要
  • 擬似的な即時報酬を作るためのポイント
    • 報酬獲得のタイミングは行動の終了時
    • Habit StackingCueを強化
    • 何かを禁止する習慣に効果を発揮
  • やったつもり貯金」で遅延報酬を即時報酬に変換する
    • 何かをやったつもりでその代金と同額のお金を貯金していく
    • 「しなかったこと」に対する報酬を作り出す

遅延報酬を即時報酬に変換する方法は、あくまでも習慣を変える初期段階に短期間行うテクニックです。

言葉はあまり良くありませんが、所詮「小手先芸」にすぎません。

最終的には、その習慣によって形成されたアイデンティティ自体が習慣を強化していくので、このテクニックに頼らずとも習慣を継続することが容易になります。

世の中の「禁〜」や「〇〇断ち」とつく習慣の苦しみはすべて、アイデンティティのギャップから生じます。

つまり、「なりたい自分のセルフイメージ」と「現状に留まらせたいエゴ」が戦っている状態です。

最初はエゴの声が大きく、引き戻されないようにするのが大変ですが、なりたい自分だけに集中して、アイデンティティを強化していけば、それをしない自分が当たり前になります。

次回は、「ハビットトラッカーで習慣を記録する」というテーマについて、深掘りしていきます。

それではまた、次の記事でお会いしましょう。

Tips for You…『実践のヒント』

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