なぜ習慣にはドーパミンが欠かせないのか?
の記事では、行動のトリガーとなるCueの出現をコントロールすることで、習慣をコントロールできるようになるというお話をしました。
では、なぜ私たちは、一旦Cueを察知してしまうと、その行動を止めることができないのでしょうか?
それは、我々の行動は、Cueを認識した時に放出される神経伝達物質「ドーパミン」によって支配されているからです。
しかし、ドーパミンはうまく扱えば、習慣化の強力な味方となります。
そこで、今回は、
- 習慣とドーパミンの関係
について、深掘りしていきたいと思います。
それでは、始めていきましょう。
『Atomic Habits』シリーズ記事一覧
- 完全要約版|The Complete Summary
- 習慣とは|The Fundamentals
- 習慣化の法則【1】|Make It Obvious
- 習慣化の法則【2】|Make It Attractive
- 習慣化の法則【3】|Make It Easy
- 習慣化の法則【4】|Make It Satisfying
- 習慣のその先へ|Advanced Tactics
習慣で人生を変えたい人へ

Atomic Habits
Tiny Changes, Remarkable Results
英語の難易度:
ページ数:319ページ
著者:James Clear
発売日:2018年10月16日
日本語訳版はこちら

習慣とドーパミンの関係
ドーパミンとは
習慣を理解する上で欠かすことができないのが、脳の報酬系回路に関与しているドーパミンという神経伝達物質です。
我々の脳は、何千年という長い狩猟採集生活の中で生き延びるために、
- 塩分
- 糖分
- 脂肪分
を多く含んだハイカロリーな食物、すなわち強い刺激に高い価値を置くように作られてきました。
現代の世界では、彼らのようにサバンナで生き延びる必要はありませんが、この機能は今でも踏襲されており、我々の脳は常に高刺激なものを求めるようにできています。
- ドラッグ
- ジャンクフード
- テレビゲーム
- SNS
など、依存性の高い習慣はすべて、高レベルのドーパミンと結びついています。
Every behavior that is highly habit-forming—taking drugs, eating junk food, playing video games, browsing social media—is associated with higher levels of dopamine.
Atomic Habits, P106
習慣はドーパミンによって強化される
著者は本書で、習慣についてこのように表現しています。
Habits are a dopamine-driven feedback loop.
Atomic Habits, P106
直訳すると、
習慣とは、ドーパミン駆動フィードバックループである。
ということになりますが、これはどういうことかというと、
- 初めての報酬(Reward)を得た時にドーパミンが放出される
- ドーパミンさらに得るために、Cueを学習する
- Cueを察知しただけで、ドーパミンが放出されるようになる
- Cueで期待した報酬(Reward)が予定通りに得られると、Cueが強化される
というように、私たちはドーパミンを原動力として行動を起こし、それによってドーパミンをさらに欲するというループが生まれます。
こちらのグラフは、ある実験でドーパミンスパイクが起こるタイミングを測定した結果を表したイメージです。

- A:習慣化される前
-
ある報酬(Reward)を初めて経験した時にドーパミンが放出される
- B:2回目
-
Cueに気づき、行動(Response)を起こす前(Craving)の時点でドーパミンが放出されるが、予定通りに報酬(Reward)を得た時には初回ほどドーパミンレベルは上がらない
- C:Cueを認識した後に期待した報酬が得られない時
-
Cueに気づき、行動(Response)を起こす前(Craving)の時点でドーパミンが放出されるが、期待していた報酬(Reward)が得られないとわかるとドーパミンレベルが一気に下降する
- D:Cueを認識した後に期待した報酬が予測より遅れてきた時
-
Cueに気づき、行動(Response)を起こす前(Craving)の時点でドーパミンが放出され、予測の時間が過ぎると一旦ドーパミンレベルは下がるが、期待した報酬(Reward)を得るとすぐにドーパミンレベルが上がる
ドーパミンは何かしらの欲求が満たされた時に放出されますが、2回目以降はその欲求が満たされることを予見するだけでもこのドーパミンスパイクが起こることが解っています。
むしろ、一度習慣のループが形成されると、実際に行動を起こす直前でドーパミンレベルがピークに達し、その後順調に報酬(Reward)を獲得した時にはドーパミンスパイクは起こりません。
私たちの脳は、やりたいこと(liking)よりも、欲していること(wanting)を優先するようにできているので、高刺激な習慣に依存するほど、その他の低刺激で地味な習慣を続けることが困難になります。
したがって、習慣化のための最初の一手は、高刺激でジャンクな習慣を辞めることです。
Desire is the engine that drives behavior. Every action is taken because of the anticipation that precedes it. It is the craving that leads to the response.
Atomic Habits, P108

まとめ


習慣とドーパミンの関係【まとめ】
- 脳は強い刺激に高い価値を置くように作られている
- 依存性の高い習慣はすべて、高レベルのドーパミンと結びついている
- 習慣 = ドーパミン駆動フィードバックループ
- 初めての報酬(Reward)を得ることによってドーパミンが放出される
- 2回目以降はCueで報酬(Reward)を期待するだけでもドーパミンスパイクが起こる
- 脳は「やりたいこと(liking)」よりも、「欲していること(wanting)」を優先する
- 習慣化のためには、まず高刺激でジャンクな習慣を辞めること
ドーパミンの威力はかなり強力で、我々の意志力だけでは到底太刀打ちできません。
私も、ついついYouTubeのショート動画やインスタグラムのリールを延々と見続けてしまうことがあります。
最初は、
えいじ10分だけ見よう…
と思っていても、一度アプリを開いてしまったら最後、その後1時間は見続けることになってしまいます。
毎回、ドーパミンの恐ろしさを痛感すると同時に、
えいじこれを生産性のあることに活かせたら最強だな
と実感しています。
ドーパミンは決して悪者ではありません。
問題は、私たちがその特性を活かせるかどうかです。
次回は、「習慣とご褒美を紐付けてドーパミンを味方につける方法(Temptation Bundling)」について、詳しく解説したいと思います。
それではまた、次の記事でお会いしましょう。

『Atomic Habits』シリーズ記事一覧
- 完全要約版|The Complete Summary
- 習慣とは|The Fundamentals
- 習慣化の法則【1】|Make It Obvious
- 習慣化の法則【2】|Make It Attractive
- 習慣化の法則【3】|Make It Easy
- 習慣化の法則【4】|Make It Satisfying
- 習慣のその先へ|Advanced Tactics
大事なことに集中する
朝を制するものは人生を制する
英語を習慣化するには学習プランが大事
休日の朝は集中読書でSmall Winを勝ち取ろう
\英語脳を最速で作りたいなら/
無料体験後は月会費1,500円。いつでも退会できます。

