なぜ習慣は他の人を意識すると続くのか?
の記事では、新しい習慣と楽しみにしている習慣を組み合わせることによって、習慣が続きやすくなるというお話をしました。
もう一つ、習慣が続きやすくなる方法があります。
それは、すでにその習慣をしている人のグループに所属して、彼らの真似をすることです。
では、なぜ他の人と関わり、同じ習慣をすることが効果的なのでしょうか?
元来、人間は群れで生きる社会的な生き物なので、
- 他者に認められたい
- 他者からよく思われたい
- 他者といい関係を築きたい
という欲求が本能的に備わっています。
狩猟採集を行っていた時代の人たちにとって、群れから仲間外れにされることは死に直結していたからです。
この本能を意図的に利用し、他者との関わりを通じて、習慣をより魅力的にしようというのがこのテクニックの狙いです。
まず、対象とする社会的グループは3つあります。
- 近しい人(The close)
- 大勢の人(The many)
- 影響力がある人(The powerful)
今回は、この3つのグループを通して得られる習慣化の効果について、詳しく解説していきたいと思います。
それでは、始めていきましょう。
『Atomic Habits』シリーズ記事一覧
- 完全要約版|The Complete Summary
- 習慣とは|The Fundamentals
- 習慣化の法則【1】|Make It Obvious
- 習慣化の法則【2】|Make It Attractive
- 習慣化の法則【3】|Make It Easy
- 習慣化の法則【4】|Make It Satisfying
- 習慣のその先へ|Advanced Tactics
習慣で人生を変えたい人へ

Atomic Habits
Tiny Changes, Remarkable Results
英語の難易度:
ページ数:319ページ
著者:James Clear
発売日:2018年10月16日
日本語訳版はこちら

近しい人を模範とする|The close
一緒に過ごす人 = 自分が所属している文化
の記事では、環境を整えることが重要と説明しましたが、物理的な環境だけではなく、社会的な環境も我々の行動に大きな影響を与えます。
我々は周りの人々の行動を見て、無意識的に自分の起こす行動を決めています。
- 両親
- 友人
- 配偶者
と、その時最も近くで過ごしている人が取っている行動を、知らず知らず自分も行っています。
行動のみならず、
- 話し方
- 態度
- 考え方
など、その対象となる人物との距離が近ければ近いほど、その人の特徴に寄せていく傾向があります。
一緒に過ごす人 = 自分が所属している文化
その習慣が当たり前に行われている文化に所属する
そして、良い習慣を形成するには、その習慣が当たり前に行われている文化に所属することが最も効果的です。
今の自分にとっては挑戦となる習慣でも、周りの人が当たり前のように行っていれば、
えいじそんなに大したことじゃないんだな、自分でもできそうな気がしてきたぞ
というように、自分の当たり前レベルを底上げしてくれます。
例えば、
- ジムで身体が引き締まっている人に囲まれていれば、自然とトレーニングを毎日するようになり、食事にも気を使うようになる
- 読書クラブに所属すれば、当たり前のように毎日読書し、呼吸をするかのように活字を追うことができるようになる
というように、自然と周りに引っ張られていきます。
そして、あなたのアイデンティティも、
- ジムにいる私たちはトレーニー = 私はトレーニー
- 読書クラブにいる私たちは読書家 = 私は読書家
と、抵抗なくシフトチェンジできます。
そして面白いことに、一度アイデンティティが確立すると、もはやそのように振る舞わずにはいられなくなるのです。
今の自分と共通点があるグループに所属する
しかし、いくら良い影響があるからといって、今の自分からあまりにもかけ離れたグループだと、そもそも入っていけなかったり、入ったけどなかなか馴染めなかったりと、現実問題として無理が生じる場合があります。
そんな時は、何かひとつでも今の自分と共通点があるグループに所属するとうまくいく確率が上がります。
例えば、アニメが好きなら、
- オタクジムに行ってみる
- コスプレイヤーを目指して仲間と一緒にボディメイクをする
など、何か一つでも今の自分を感じられるものがあると、継続率が高くなります。
Nothing sustains motivation better than belonging to the tribe. It transforms a personal quest into a shared one.
Atomic Habits, P118
大勢の人に倣う|The many
社会に所属したいという本能
人間の生存本能として、より強い群れ、すなわちより大きな群れに所属しようとする傾向があります。
群れにおいて数は力であり正義です。
何かの問題に対して、あなたがAという明確な答えを持っていたとしても、周りの大多数の人たちがBといえば、最終的には自分もBが正しいのではないかと思ってきます。
自信がある答えでもこのように揺らいでしまうのですから、不確定な問題については、
えいじとりあえず大勢に従っておけば間違いない…
と思考停止することは自然なことです。
なぜなら、人間は本能的にその他大多数に受け入れられたいと思っているからです。
人の目を習慣に利用する
この本能を利用して、半ば強制的に望む習慣をやらざるを得ない状況を作り出します。
周りのみんながやっているのに、自分だけやっていなかったら居心地が悪くなります。
そのため、本当は面倒臭いと思っていても、
えいじ周りに溶け込まない不快感よりはマシだ…
と感じ、渋々でもやるようになります。
そして、渋々でも継続しているうちに、徐々に心理的障壁が低くなっていき、いつのまにかやることが当たり前になって習慣化されます。
所属するグループ選びは注意が必要
しかし、数が多ければ多いほど影響力が強く、自身の判断能力を無効化されてしまうので、所属するグループ選びには注意が必要です。
所属するグループは、自分が理想とするセルフイメージに近い人たちが集まるグループを選ぶ必要があります。
そうすれば、たとえ思考停止状態に陥ったとしても、正しい道へとあなたを導いてくれるでしょう。
逆に、悪影響があるグループからは即座に離脱しましょう。
気づいた頃には、自身のコントロールが効かないところまで落ちてしまう危険性があります。
基本的な判断基準として、変えようと思っている習慣が、
- そのグループの意に反しているのであれば、その変化は自分にとって魅力的にならない
- そのグループに受け入れられることであれば、その変化は自分にとって非常に魅力的になる
ということを覚えておけば、間違ったグループを選択せずに済むでしょう。
When changing your habits means challenging the tribe, change is unattractive. When changing your habits means fitting in with the tribe, change is very attractive.
Atomic Habits, P120
成功者になりきる|The powerful
人は権力や影響力に憧れる
もうひとつ人間の習性として、
- 権力者
- ステータスの高い人
- インフルエンサー
など、影響力のある人や成功者に憧れるというものがあります。
成功したいと願った時、多くの人はすでに成功している人の行動を真似しようとします。
ロールモデルを設定する
我々の行動は、意識的・無意識的に関わらず、自分の中にあるロールモデルをイメージして選択されています。
なぜかというと、すでに成功している人の行動は、結果を出して世間に認められたことであり、
その行動を模倣することによって、自分も世間に認められるような行動をしている
という自己承認欲求を満たすことができるからです。
逆に、こうはなりたくないという逆ロールモデルがあれば、
えいじあの人と同じことは絶対にやるまい!
というモチベーションにつながります。
世間に認められたいという本能
人間は社会的な生き物なので、多かれ少なかれ、
- 他人にどう思われるか
- 他人にどう映っているか
ということを気にする性質を持っています。
このように、世間に認められるということは人間の根本的な欲求であり、この本能をうまく利用すれば、習慣をより魅力的なものにすることができます。
えいじだけど、他人軸になってはいけないよ。あくまでも自分軸を貫こう
High-status people enjoy the approval, respect, and praise of others. And that means if a behavior can get us approval, respect, and praise, we find it attractive.
Atomic Habits, P122
まとめ

習慣を通して他者と関わる【まとめ】
習慣を強化する3つのグループ
- 近しい人(The close)
- 一緒に過ごす人 = 自分が所属している文化
- 理想のセルフイメージと近い人と過ごすとアイデンティティが変わり、行動が変わる
- 今の自分と共通点があるグループに所属するとうまくいきやすい
- 大勢の人(The many)
- 人間は本能的にその他大多数に受け入れられたいと思っている
- 自分が理想とするセルフイメージに近い人たちが集まるグループを選ぶ
- 悪影響があるグループからは即座に離脱する
- 影響力がある人(The powerful)
- 人は本能的に、影響力のある人や成功者に憧れる
- 成功者の行動を模倣することが、成功への近道
- 「世間に認められたい」という人間の根源的な欲求を習慣化に利用する
習慣は基本的に一人で行うものなので、そのままだとなかなか古いセルフイメージを更新するのに時間がかかってしまい、成長スピードが上がらないこともあるかもしれません。
最悪の場合、モチベーションを維持できずに、その習慣をやめてしまう可能性もあります。
そこで、その習慣と関わりのある人と一緒に過ごしたり、同じコミュニティに所属することによって、セルフイメージにブーストがかかり、一気に習慣化に成功することができるかもしれません。
しかし、この方法の向き不向きは個人差が大きく、外交的な要素を持っている人でないと、逆効果になる危険性があります。
また、他者と関わることを習慣化のツールとして使う分には有意義ですが、行動の目的が他者に依存してしまうのはよくありません。
なので、
- 自分のやるべきことをやる
- 目指すべきところを目指す
- なりたい自分になる
という本来の目的は外さずに、適度に刺激をもらって、与えられるような付き合い方ができれば素晴らしいのではないかと思います。
次回は、「悪習慣の原因を見つけて正す方法」について、深掘りしていきたいと思います。
それではまた、次の記事でお会いしましょう。

『Atomic Habits』シリーズ記事一覧
- 完全要約版|The Complete Summary
- 習慣とは|The Fundamentals
- 習慣化の法則【1】|Make It Obvious
- 習慣化の法則【2】|Make It Attractive
- 習慣化の法則【3】|Make It Easy
- 習慣化の法則【4】|Make It Satisfying
- 習慣のその先へ|Advanced Tactics
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