習慣はどのようにして繰り返されるのか?
の記事では、習慣を変えられないのは、間違った順序で習慣を変えようとしているからだというお話をしました。
そして、習慣を変えることが難しいもう一つの理由は、
習慣のループが形成されると、そこから抜け出せなくなる
ということです。
げん丸ループにハマったらどうすればいいの…?
鉄壁に見える習慣のループですが、決定的な弱点が一つあり、その脆弱性を突くことによって、ループを解消することが可能です。
そこで、今回は、
- 習慣のループが作られる仕組み
- 習慣のループから抜け出す方法
について、詳しく解説していきたいと思います。
それでは、始めていきましょう。
『Atomic Habits』シリーズ記事一覧
- 完全要約版|The Complete Summary
- 習慣とは|The Fundamentals
- 習慣化の法則【1】|Make It Obvious
- 習慣化の法則【2】|Make It Attractive
- 習慣化の法則【3】|Make It Easy
- 習慣化の法則【4】|Make It Satisfying
- 習慣のその先へ|Advanced Tactics
習慣で人生を変えたい人へ

Atomic Habits
Tiny Changes, Remarkable Results
英語の難易度:
ページ数:319ページ
著者:James Clear
発売日:2018年10月16日
日本語訳版はこちら

習慣のループを形成する4つのステージ

習慣のループは次の4つのステージをループすることで形成されます。
習慣形成4つのステージ
- Cue(きっかけ・動機)
- Craving(欲求)
- Response(反応・行動)
- Reward(報酬)
この4つのステージは全ての習慣の根幹であり、例外はありません。
その前に、まずは習慣の定義を説明します。
- 習慣とは、ある行動を十分な回数繰り返し行うことで自動化すること
- 習慣の最大の目的は、ある問題を最小限の労力とエネルギーで解決すること
ある行動が習慣化されていない段階では、常に選択と判断を迫られ、脳の神経回路が活発に動いている状態です。
しかし、同じ行動を一定回数繰り返していると、意識的な判断を必要としなくなり、やがて全ての工程をほぼ全自動で行うことが可能になります。
それでは、習慣のループを形成している4つのステージをそれぞれ解説していきます。
Cue(きっかけ・動機)
Cueは、最終目標であるReward(報酬)のヒントとなる情報です。
また、Craving(欲求)のトリガーとなるものでもあります。
我々の意識は常に周りの環境から情報を収集し、報酬につながるものはないかと分析しています。
これは太古の昔から我々人類に備わる生存本能で、過去の経験から、
- 食物
- 水
- 性交渉
など、求めているものが得られる場所のヒントとなるサインを察知する能力です。
これらは極めて直接的な欲求ですが、
- お金
- 名声
- 権力
- 交友関係
など、現代の間接的な欲求にも適用されます。
えいじRewardは物理的な対象物ではなく、そこから得られる状態や感覚だからね
Craving(欲求)
Cravingは、Cue(きっかけ・動機)を察知して、実際に感情が動くフェーズです。
あくまでも感情なので、実際の行動そのものを欲しているわけではなく、そこから得られる感情や感覚を欲しているということです。
例えば、
- タバコを吸いたくなるのは、タバコを吸う行為をしたいのではなく、一服して「ホッとする感覚」を欲しているため
- 歯を毎日磨くのは、その行為自体がしたいのではなく、磨いた後の口の中が「さっぱりした感覚」を欲しているため
- テレビをつけるのは、テレビ自体ではなく、そこから得られる「楽しみ」を欲しているため
というように、Cueそれ自体に意味はありません。
えいじCueがCravingに紐づくことによって初めて意味を持つよ
Response(反応・行動)
Responseは、Craving(欲求)が原動力となって、実際に行動(または思考)に移すフェーズです。
実際に行動するかどうかは、Cravingの大きさによりますが、次の条件を満たさなければResponse(反応)に移行しません。
Responseに移行する条件
- そのRewardを得るために費やす労力やエネルギーが自身の許容範囲内である
- そのRewardを得るための能力が自身に備わっている
習慣化をする上では、特に1つ目の条件(労力・エネルギー)をマネージメントするのが鍵となります。
げん丸つまり「めんどくさい」をコントロールするってことブヒな!
Reward(報酬)
Rewardは、あらゆる習慣の終着点です。
また、
- CueはRewardを察知すること
- CravingはRewardを欲すること
- ResponseはRewardを獲得すること
というように、他の3つのフェーズの出発点でもあります。
Reward(報酬)を得たあなたの脳内では次のようなプロセスが進行しています。
習慣のループ発生のプロセス
- Rewardによってあなたの欲求が満たされる
- 「どうやったら獲得できたか」という成功体験を学習する
- Cueとしてあなたの脳に保存される
そして、今後似たような条件下に置かれると、そのCueがトリガーとなって、
Craving → Response → Reward → Cue → …
という一連の流れがループとなって繰り返し再現されます。
げん丸おやつの装を破る音だけでよだれが出てくるブヒ…
えいじ完全にCueになってるね!
This four-step pattern is the backbone of every habit, and your brain runs through these steps in the same order each time.
Atomic Habits, P47
習慣のループから抜け出すには
では、どうすれば習慣のループから抜け出せるのでしょうか?
人間の脳は、どの行動(Response)が報酬(Reward)に繋がったかを、常にモニタリングをしながら、
サイン(Cue)を見つけたらどのように行動すれば成功するのか
という報酬までの道筋を記憶しています。
そのため、次に行動に移すときは、前回よりも少ない労力とエネルギーで実行することが可能になり、習慣のループがどんどん加速していきます。
一度ハマると抜けられそうにない習慣のループですが、実は脆弱性があります。
それは、
この4つのフェーズのどれか1つでも不十分な状態に陥ると、ループが解消される
ということです。
それぞれのステージに置き換えると、
- Cueが取り除かれると、アクションが起こらない
- Cravingを小さくすれば、アクションを起こす気にならない
- 行動自体(Response)を難しくすれば、アクションを実行できない
- Rewardで満足できないと知れば、それ以上アクションを起こそうと思わない
ということになります。
したがって、悪習慣のループから抜け出すには、意図的にどれか一つを機能不全にすることです。
えいじ逆に、良習慣を継続したいときは、それぞれのフェーズの強化・維持すればいいんだね
If a behavior is insufficient in any of the four stages, it will not become a habit.
Atomic Habits, P49
まとめ

習慣のループ【まとめ】
- Cue(きっかけ・動機)
- Reward(報酬)のヒントとなる情報
- Craving(欲求)のトリガーになる
- Craving(欲求)
- Cue(きっかけ・動機)を察知して、実際に感情が動くフェーズ
- Response(反応・行動)
- Craving(欲求)が原動力となって、実際に行動・思考に移すフェーズ
- Responseが実行される条件
- 費やす労力・エネルギーが許容範囲内である
- 十分な能力が自身に備わっている
- Reward(報酬)
- あらゆる習慣の終着点であり、他の3つのフェーズの出発点
- Cue = Rewardを察知すること
- Craving = Rewardを欲すること
- Response = Rewardを獲得すること
- あらゆる習慣の終着点であり、他の3つのフェーズの出発点
- 4つのフェーズのどれか1つでも不十分な状態に陥ると、ループが解消される
- 悪習慣のループから抜け出すには、意図的にどれか一つを機能不全にする
習慣のループは、太鼓の昔から我々のDNAに刻まれてきた人間の本能的な機能なので、意志の力では太刀打ちできません。
そのため、習慣を変えるには、戦略的に環境を調整していく必要があります。
本書では、習慣を変えるための戦略を、次の4つのアプローチから提案しています。
習慣を変える4つのアプローチ
- Make it obvious(明確にする)
- Make it attractive(魅力的にする)
- Make it easy(簡略化する)
- Make it satisfying(楽しみにする)
次回からは、この4つのアプローチに基づいた具体的なテクニックを詳しく解説していきます。
それではまた、次の記事でお会いしましょう。

『Atomic Habits』シリーズ記事一覧
- 完全要約版|The Complete Summary
- 習慣とは|The Fundamentals
- 習慣化の法則【1】|Make It Obvious
- 習慣化の法則【2】|Make It Attractive
- 習慣化の法則【3】|Make It Easy
- 習慣化の法則【4】|Make It Satisfying
- 習慣のその先へ|Advanced Tactics
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