なぜ習慣を記録するだけで続くのか?
の記事では、習慣を行うこと自体に価値や魅力を感じることで、習慣化しやすくなるというお話をし、「やったつもり貯金」という実践的なテクニックを紹介しました。
しかし、
えいじそれでも習慣が続かない…
という人も多いかと思います。
そんな人におすすめなのが、ハビットトラッカー(習慣記録)という習慣化テクニックです。
そこで、今回は、
- ハビットトラッカーのシンプルなやり方
- ハビットトラッカーで習慣が続く3つの理由
- ハビットトラッカーを続ける8つのコツ
について、詳しく解説していきたいと思います。
それでは、始めていきましょう。
『Atomic Habits』シリーズ記事一覧
- 完全要約版|The Complete Summary
- 習慣とは|The Fundamentals
- 習慣化の法則【1】|Make It Obvious
- 習慣化の法則【2】|Make It Attractive
- 習慣化の法則【3】|Make It Easy
- 習慣化の法則【4】|Make It Satisfying
- 習慣のその先へ|Advanced Tactics
習慣で人生を変えたい人へ

Atomic Habits
Tiny Changes, Remarkable Results
英語の難易度:
ページ数:319ページ
著者:James Clear
発売日:2018年10月16日
日本語訳版はこちら

ハビットトラッカーのシンプルなやり方
ハビットトラッカーの基本的ななやり方
ハビットトラッカーのやり方は非常にシンプルで、習慣で行った内容をただ記録していくだけです。
しかし、このシンプルな方法が、習慣化に強力な威力を発揮します。
まず、記録を取るからにはちゃんとやろうという心理が働きますし、積み重なっていく記録を眺めること自体が満足につながります。
例えば、
- 筋トレの重量と回数
- 食事内容
- 読書したページ番号
- 禁煙日数
などを、ノートやアプリに記録していきます。
ハビットトラッカーのさらに強力なやり方
内容や結果を記録するよりも、さらに強力な方法があります。
それは、単純にその習慣を行ったらカレンダーに×印を書き入れていくという方法です。
例えば、瞑想を毎日すると決めた場合、月曜日、火曜日、水曜日…と、この×印の連鎖が続けば続くほど、この連続記録を止めたくないという心理が働きます。
DuolingoやELSA Speakといった英語学習アプリではお馴染みのストリーク(Streak)といえばピンとくる人もいるのではないでしょうか。

ハビットトラッカーで習慣が続く3つの理由
それでは、ハビットトラッカーの具体的なメリットを見ていきましょう。
習慣記録のメリットは3つ
- 行動のトリガーになる(Cue)
- モチベーションを維持できる(Craving)
- 記録を眺めることが喜びになる(Reward)
詳しく解説してきます。
行動のトリガーになる(Cue)
カレンダーに×印が並んでいくのを視覚的に認識することによって、常にその習慣への意識を高く保つことができ、次回の行動のトリガーになります。
そして継続(ストリーク)が可視化されていると続けずにはいられなくなります。
また、人間は主観で物事を捉えた時、自分の都合のいいように記憶を捏造するという性質があるので、記録という動かない証拠があることによって、継続状況を客観的に捉え、常に自分に正直で公正な判定を下すことができます。
Habit tracking also keeps you honest. Most of us have a distorted view of our own behavior. We think we act better than we do. Measurement offers one way to overcome our blindness to our own behavior and notice what’s really going on each day.
Atomic Habits, P197
モチベーションを維持できる(Craving)
ハビットトラッカーによって進行状況を認識することが、モチベーションの維持につながります。
人は、一度継続し始めたものを中断したくないという性質を持っています。
空欄を埋めないことによって、今までの努力が水の泡になるのではないかという恐怖が芽生えます。
なので、毎朝その日の空欄を見ることによって、その空欄を埋めたいという欲求が生まれます。
そのようにして、小さな勝利を日々重ねていくことが、さらなるモチベーションにつながっていきます。
The most effective form of motivation is progress. When we get a signal that we are moving forward, we become more motivated to continue down that path.
Atomic Habits, P198
記録を眺めることが喜びになる(Reward)
このようにカレンダーに×印をつけたり、To-Doリストにチェックを入れたり、ワークアウトの記録を入力したりするといった行為自体が快感(報酬)となります。
これがハビットトラッカーの一番のメリットです。
習慣記録とはすなわち、自身の成長の記録であり、自分に投資した時間とエネルギーの記録でもあります。
それらが徐々に積み重なっていくのを視覚的に眺めることによって、大きな満足感を感じ、さらなる成長へと加速していきます。
そして、その満足感が自己肯定感につながり、やがてアイデンティティが変化していきます。
結果よりもプロセスにフォーカスできるので、内容によってネガティブになったりやる気が失せたりするリスクも軽減できます。
つまり、習慣記録とはあなたが理想のセルフイメージに一歩一歩近づいている証に他なりません。
Tracking can become its own form of reward. It is satisfying to cross an item off your to-do list, to complete an entry in your workout log, or to mark an X on the calendar.
Atomic Habits, P198
ハビットトラッカーを続ける8つのコツ
習慣化最強テクニックの一つのハビットトラッカーですが、やり方によっては負荷が高くなりすぎてしまい、プレッシャーに感じてしまう可能性があります。
ここでは、ハビットトラッカーを無理なく続けるコツを紹介します。
習慣記録を続けるコツは8つ
- 記録することが負担にならないようにする
- 習慣記録を自動化する
- 記録する習慣は1つに絞る
- 習慣を終えたらすぐに記録する
- 2回連続で休まない
- 完璧にこなすことより、ゼロにしないこと
- 数字に固執しない
- 数字以外のものを記録してもOK
詳しく解説していきます。
記録することが負担にならないようにする
ハビットトラッカーは非常に効果的なテクニックですが、習慣を記録することが負担になってしまう場合があります。
習慣記録自体が一つの習慣であり、同時に2つの習慣始めることになるからです。
また、すでに取り組んでいることを改めて記録することに意味を見出せない可能性もあります。
例えば、
- すでに食事制限に取り組んでいて食べるものは決まっているのに、さらにそれを毎回記録するのは苦痛でしかない
- すでにその他のやるべき仕事があるのに、営業電話の内容を逐一記録するというのは退屈でしかない
というように、人によってはデメリットの方が上回る可能性があります。
ハビットトラッカーは必ずしも全員におすすめする方法でありませんし、やったとしてもずっと続ける必要はありません。
しかし、ある一定期間においては非常に有効な手段であることは間違いないので、習慣の導入期間に少し行うだけでもも効果があります。
It can feel like a burden because it forces you into two habits: the habit you’re trying to build and the habit of tracking it.
Atomic Habits, P199
習慣記録を自動化する
では、どうすれば習慣記録の負担を軽減することができるのでしょうか?
まずは、習慣記録をなるべく自動化するということです。
今は、さまざまなアプリやスマートウォッチなど、自動で記録を取ってくれるツールが充実しています。
そこから必要なデータを抽出してカレンダーに転記するだけであれば、一からマニュアルでデータを記録するよりだいぶ負担は減ります。

First, whenever possible, measurement should be automated.
Atomic Habits, P199
記録する習慣は1つに絞る
次に、記録する習慣は1つに絞るということです。
全ての習慣を記録するのではなく、あなたが今一番重要だと思っている習慣を一つだけ選んで記録するようにしましょう。
すべてを完璧にやろうとすると、必ず挫折します。
Second, manual tracking should be limited to your most important habits. It is better to consistently track one habit than to sporadically track ten.
Atomic Habits, P199
習慣を終えたらすぐに記録する
最後に、そのアクティビティを終えたらすぐに記録するということです。
このアクティビティの完了が習慣記録のCueになります。
これは、
の記事で紹介したHabit stackingを組み合わせて応用したものです。
私は[現在取り組んでいる習慣]のあとに[習慣記録]を行います
例えば、このような感じです。
- 私は[各トレーニングメニューの全セットを終えた]あとに[重量と回数の記録]を行います
- 私は[食事を終えて食器をシンクに運んだ]あとに[食事内容の記録]を行います
このように、ハビットトラッカー自体を習慣化してしまえば、負担は減ります。
Finally, record each measurement immediately after the habit occurs. The completion of the behavior is the cue to write it down.
Atomic Habits, P200
2回連続で休まない
習慣化において最も大事なのは、いかにストリーク(連続記録)を伸ばすかよりも、一度途切れた習慣をすぐに軌道に戻すことです。
あなたがどんなに強い意志を持ってその習慣に取り組んでいても、人として生活を送っている以上、イレギュラーな出来事はどうしても避けられません。
真面目な人ほど、タスクをこなせなかった自分を責めたり、失望したりするかもしれません。
そこで、ひとつシンプルなルールを自分に課します。
たとえ1回休んだとしても、2回連続で休まないことです。
実際、1回休むのはそこまで影響はありません。
しかし、2回連続で休むのは話が違ってきます。
1回のミスは単なるアクシデントですが、2回目のミスは新しい習慣の始まりです。
The first mistake is never the one that ruins you. It is the spiral of repeated mistakes that follows. Missing once is an accident. Missing twice is the start of a new habit.
Atomic Habits, P201
完璧にこなすことより、ゼロにしないこと
習慣を継続する上で最も重要なのは、完璧にこなすことではなく、いかに調子の悪い時でも実行できるかです。
そのためには、ゼロにしないことが鍵となります。
状態が悪い時は、良い結果が出ないことに対して気にする必要はありません。
それよりも、気分が乗らなかったがそれでもタスクをこなしたということが重要です。
この、「それでもやる」ということがあなたのセルフイメージを強化します。
げん丸完璧にできないなら、何もやらない方がいい!
という、0/100の考え方は危険です。
例えばジムであれば、たとえ疲れていてやる気がない時でも、とりあえずジムに行くということが大事です。
この時点でほぼその日のタスクは達成しているので、あとはトレッドミルを15分やって帰ってもいいのです。
もちろん、トレーニングのパフォーマンスは上がりません。しかし、あなたのアイデンティティは確実に強化されています。
習慣記録の本来の役割は習慣を持続させることではなく、習慣からの離脱を防ぐことです。
えいじ2分ルールを「何もやらない日救済措置」として使うのもおすすめだよ
Too often, we fall into an all-or-nothing cycle with our habits. The problem is not slipping up; the problem is thinking that if you can’t do something perfectly, then you shouldn’t do it at all.
Atomic Habits, P201
数字に固執しない
習慣記録のもう一つのデメリットは、数字を目標にしてしまうということです。
習慣記録は、基本的に数値で表せるものを記録していくので、とにかく数字だけを伸ばそうとしてしまいがちです。
例えば、
- 読書したページ数を伸ばすことだけを目標としてしまい、内容を咀嚼して読んでいない
- ダイエットで体重を落とすことだけを目標としてしまい、健康的な見た目やライフスタイルを疎かにしている
というように、当初の目的から外れ、ただ単に数字のみを追い求めるモードに入っていしまいます。
数値やデータで動いている現代社会に住む私たちは、数値を過大評価する傾向があるので、注意が必要です。
The dark side of tracking a particular behavior is that we become driven by the number rather than the purpose behind it.
Atomic Habits, P202
数字以外のものを記録してもOK
数や量で測れないからといって、重要ではないということではありません。
むしろ、そのようなものの中にこそ、物事の本質や本来の目的が隠れていることがあります。
例えば、ダイエットであれば、体重を計らず、見た目だけで判断して行う方が効果的ということがあります。
数値は頑固で容赦がないので、少し体重が増えただけでも、あなたはがっかりしてやる気を失ってしまうかもしれません。
そこで、数値は一旦忘れて、そのほかのことに注目してみると、
- 健康的な食事に変えたおかげで肌が綺麗になってる
- 早起きが習慣になっている
- 以前より活力に満ち溢れている
ということに気づきます。
もし、体重という数字を記録することに疲れたならば、数値では表せないあなたの気分や健康状態などを記録していくのも悪くありません。
If you’re not feeling motivated by the number on the scale, perhaps it’s time to focus on a different measurement—one that gives you more signals of progress.
Atomic Habits, P203
まとめ

ハビットトラッカー(習慣記録)【まとめ】
- ハビットトラッカーのシンプルなやり方
- 習慣で行った内容を記録するだけ
- カレンダーに×印を付けるだけでも良い
- 連続記録(ストリーク)を止めたくないという心理が働く
- ハビットトラッカーで習慣が続く3つの理由
- 行動のトリガーになる(Cue)
- 動かない証拠があることで、常に自分に正直で公正な判定を下せる
- モチベーションを維持できる(Craving)
- 小さな勝利を日々重ねていくことで、モチベーションが保たれる
- 記録を眺めることが喜びになる(Reward)
- 結果よりもプロセスにフォーカスできる
- ハビットトラッカーを続ける8つのコツ
- 記録することが負担にならないようにする
- 習慣記録を自動化する
- 記録する習慣は1つに絞る
- 習慣を終えたらすぐに記録する
- 2回連続で休まない
- 完璧にこなすことより、ゼロにしないこと
- 数字に固執しない
- 数字以外のものを記録してもOK
私も実際にハビットトラッカーを実施していて、その効果を実感しています。
私は洋書多読の習慣を始めてから10年以上経ちますが、今でも洋書の読書記録をgoodreadsというアプリで管理しています。
このアプリは、
- 本のタイトルと表紙のイメージ
- 読んだページ数
- 進捗状況
- 作品の評価
- 年間の冊数目標
などをシェアできる、読書記録のSNSのようなプラットフォームです。
読書記録を見た人から「いいね」されたり、本の好みが似ている人とフレンドになったりでき、モチベーションアップにつながります。
もちろん、記録のために洋書多読を続けている訳ではありませんが、読了した本が増えていくのを眺めていると、
えいじその分英語力が上がったんだな
という実感が湧き、英語に対する意欲を保つことができています。
なお、こちらのアプリは基本的に英語の本しかありませんが、これから本気で洋書多読を始めようと思っている人には非常におすすめです。
次回は、「アカウンタビリティ・パートナーに習慣の実行を宣言する」というテーマについて、深掘りしていきます。
それではまた、次の記事でお会いしましょう。

『Atomic Habits』シリーズ記事一覧
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- 習慣のその先へ|Advanced Tactics
大事なことに集中する
朝を制するものは人生を制する
英語を習慣化するには学習プランが大事
休日の朝は集中読書でSmall Winを勝ち取ろう
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