MotionとActionの違い｜『Atomic Habits』徹底解説

なぜ行動を先延ばししてしまうのか？

では、悪習慣をやめると、時間とエネルギーに余裕ができて、新しい習慣を始めやすいというお話をしました。

しかし、新しい習慣を始める準備が整い、目標に向けて動き出しているにも関わらず、一向に習慣がスタートしないのは何故でしょうか？

それは、私たちが行動を正しく理解していなかったからです。

そこで、今回は、

というテーマについて、深掘りしていきたいと思います。

それでは、始めていきましょう。

習慣におけるMotionとActionの違い

完璧な方法が最適とは限らない

自分を変えたいと思ったり、何か目標を達成したいと思った時、まずは実現するにはどうすればいいかリサーチするかと思いますが、多くの人は完璧な方法を求めてしまいます。

例えば、

• ダイエットであれば、最速で体重を落とす方法
• 筋トレであれば、筋肥大を最大化するトレーニングメニュー
• 副業であれば、絶対に儲かる方法

などです。

確かに理論上は効果を最大化できる方法なのでしょうが、今のあなたにとってはあまりにも非現実的であり、実際に行動に移すところまでいきません。

この理想と現実の間に生じるギャップを防ぐには、MotionとActionの違いを理解する必要があります。

“The best is the enemy of the good.”

Atomic Habits, P142

どちらも「動き」を表す表現

MotionとActionは、どちらも「動き」に関する単語で、一見同じ意味の言葉にも思えますが、本質的には大きな違いがあります。

どちらも、「動き出す」というニュアンスがありますが、

Motionが、感情や思考などのメンタルの動き出しなのに対し、

Actionは、実際に体を使って実行するフィジカルな動き出しと言えるでしょう。

ダイエットを例に挙げると、トレーニング方法や食事について学ぶために何冊か本を買って読むというのはMotion、実際にヘルシーな食事にするのがActionということになります。

Motion（準備・下調べ・最適な方法の設計）は大事ですが、何冊本を読もうが、いくら専門家に話を聞こうが、Motionだけ行っている時点では得られる結果はゼロです。

Some times motion is useful, but it will never produce an outcome by itself. It doesn’t matter how many times you go talk to the personal trainer, that motion will never get you in shape. Only the action of working out will get the result you’re looking to achieve.

Atomic Habits, P142

行動を先延ばししてしまう理由

Motionは先延ばしの口実

何かを始めようと思ったとき、入念なリサーチは確かに必要ですし、必要だから行うのですが、それ以上に我々が下調べばかりを延々と繰り返して実際に実行に移さない理由は、Motionを行うことで失敗のリスクなしで前進しているという感覚を得られるからです。

我々は皆、生まれながらにして、失敗と批判を避ける名人です。

Motionを繰り返していれば、他者からのジャッジにさらされることなく満足感が得られるため、その沼から抜けられずに、

と、自分を正当化し続けます。

しかし、それは前進しているのではなく、経験すべき失敗を先延ばしにしているだけに過ぎません。

もし、あなたが、

本気で何かを変えたいと思っているのに、なかなか始められない…

という状況に陥っているとしたら、まずは、完璧に行うための準備がただの先延ばしの口実であることを自覚し、とにかく実際の行動に移す、そしてそれをひたすら繰り返すということを徹底しましょう。

Motion makes you feel like you’re getting things done. But really, you’re just preparing to get something done. When preparation becomes a form of procrastination, you need to change something.

Atomic Habits, P143

習慣はActionの繰り返しでのみ作られる

習慣の力を活用する上で、肝に銘じておかなければいけないのは、

習慣は行動の繰り返しでしか実現しない

ということです。

これは、筋トレに例えるのが一番わかりやすいです。

いくら完璧なフォームを勉強したり、栄養学を学んだとしても、実際に目の前の1レップを行わなければ、何も変化が起こりません。

逆に、何の知識もなく、メチャクチャなフォームでも、その時できるベストを尽くして、ダンベルを挙げさえすれば、何もしていない人よりは確実に一歩前に進んでいるわけです。

そして、実際に試してみたことで、課題が明確になり、そこで初めて「これはどうやれば良いのか」というリサーチが効いてきます。

つまり、

• Motion   Action

ではなく、

• Action   Motion

の順序で行うのが、習慣化における正しい順序です。

習慣を制する鍵は、「完璧さ」ではなく「継続性」

If you want to master a habit, the key is to start with repetition, not perfection.

Atomic Habits, P143

まとめ

MotionとActionの違い【まとめ】

このMotionを繰り返して、実際の行動を起こさないというのは、仕事ができる人や完璧主義者の人ほどハマりやすい罠です。

このような人はすでに他の分野でのセルフイメージが高く、新しく始めることに対しても、高いクオリティを求めてしまい、なかなかスタートを切ることができなくなってしまいます。

私も元来このような傾向があり、スタートダッシュを切るのがあまり得意ではありませんでした。

しかし、何事も量をこなさなければ質はついてきません。

特に習慣化がされるまでは、質を度外視して、その行動を定着させることのみにフォーカスしましょう。

やっていくうちに自然と、必要な情報や感覚があなたのもとにやってきます。

習慣の力を信じて、愚直に続けていきましょう。

次回は、「行動の自動化が習慣化の鍵」というテーマについて、深掘りしていきたいと思います。

それではまた、次の記事でお会いしましょう。