習慣化のデメリット｜『Atomic Habits』徹底解説

習慣化による弊害はないのか？

これまでの記事では、習慣の強力な効果やその活かし方についてお話をしてきました。

しかし中には、

という疑問を持った人もいるかと思いますが、実は習慣化に成功している人ほど陥りやすい落とし穴があります。

そこで、今回は、

について、詳しく解説していきたいと思います。

それでは、始めていきましょう。

習慣化による3つのデメリット

習慣化による主なデメリットは次の3つです。

習慣化のデメリットは3つ

• ミスを発見しづらくなる
• 技術向上の鈍化
• 固定観念が生まれる

それぞれ解説していきます。

ミスを発見しづらくなる

習慣化することによって、

• 技術
• スピード
• 流暢さ

など、全体的なクオリティが向上します。

そして、最終的には全ての工程がほぼ自動化し、労力や意思の力を必要とせずに実行することができるようになります。

しかし、この行動の自動化には落とし穴もあります。

それは、小さなミスを発見しづらくなるということです。

習慣化されていない最初の段階では、一つ一つの工程を意識的に行い、不備はないか確認しながら行います。

しかし、十分うまくできるレベルまで達すると、それ以上の意識的な向上をしなくなります。

ある研究では、一度マスターレベルまで達すると、その後少しずつパフォーマンスの質が下降していくということがわかっています。

何かをマスターするの、行動の自動化は絶対に必要ですが、一方で意識的に行う習慣も持ち合わせなければなりません。

The upside of habits is that we can do things without thinking. The downside of habits is that you get used to doing things a certain way and stop paying attention to little errors.

Atomic Habits, P239

技術向上の鈍化

行動の自動化による技術向上の鈍化を防ぐには、定期的に内容や目的を振り返るのが効果的です。

例えば、このような質問をあるタイミングで自分に問いかけます。

• 今年うまくいったことは？
• 今年うまくいかなかったことは？
• 何を学んだ？

行なった習慣について毎回フィードバックするのはよくありませんが、全く振り返らないのもよくありません。

このようにして、ある期間ごとにその習慣を振り返り、改めて分析することで、知らずに行なっていた間違いや欠陥に気づくことができます。

習慣を振り返ってアップデートするということは、行動の変化を再認識すること、すなわちアイデンティティの変化を認識するということです。

Reflection and review enables the long-term improvement of all habits because it makes you aware of your mistakes and helps you consider possible paths for improvement.

Atomic Habits, P244

固定観念が生まれる

習慣を成功させていくにつれて、理想のアイデンティティに近づいていきますが、そのことが次のレベルへの成長を阻んでしまう場合があります。

初心者の頃は、失敗やそのことに対するアドバイスにも真摯に向き合います。

しかし、段々と上達していくに従って、何かうまくいかないことがあっても、プライドが邪魔をして素直に弱点を認めることができず、真の成長を阻害してしまいます。

ある程度習慣をマスターすると、一つの方法に固執して他の方法を認めなくなります。

解決策は、アイデンティティをなるべく小さく保つこと、すなわち謙虚になることです。

「こうするべき」「これが最善」という凝り固まった考えは、人生の変化に対応できなくなってしまいます。

「私は何者だ」という強固なアイデンティティに固執するのではなく、「私はどのようなタイプの人間だ」という柔軟性のあるアイデンティティを持つことを心がけることです。

When chosen effectively, and identity can be flexible rather than brittle. Like water flowing around an obstacle, your identity works with the changing circumstances rather than against them.

Atomic Habits, P249

まとめ

習慣化のデメリット【まとめ】

今回提議された習慣のデメリットは、すべて行動の自動化に起因するものですが、それが直接的な原因ではありません。

ボトルネックとなっているのは、行動の自動化ではなく、習慣の目的化です。

の記事でお話ししたように、習慣は実際の行動ではなく、行動の導入部分までです。

つまり、行動に取り掛かるまでの労力や抵抗を最小限に抑えるのが習慣の役割であって、その後の生産的活動は集中して行う必要があります。

しかし、習慣が目的化してしまうと、その習慣を行ったことに満足してしまって、内容は二の次になってしまいます。

例えば、英語学習のために、毎日ポッドキャストを30分聴いているとします。

この時、ストリーク（継続記録）や再生時間といった、ノルマの達成（＝習慣の実行）にフォーカスしてしまい、肝心の内容は意識的に行なっていないという状態に陥ってしまいます。

これを防ぐために有効なのは、やはりアイデンティティの再確認です。

習慣を行う際も、常に「自分はこうなりたいから、これをしている」というアイデンティティを基準としたスタンスを保つのが真の習慣化のコツです。

それではまた、次の記事でお会いしましょう。