めんどくさいをなくす方法｜『Atomic Habits』徹底解説

どうすれば「やりたくない」という気持ちを抑えられるのか？

の記事では、繰り返しによって、行動を自動化し、習慣を行う際のエネルギーを最小化しようというお話をしました。

しかし、習慣を自動化するには、まず習慣に取り掛かるまでに感じる「めんどくさい」という心理をなくす工夫が必要です。

私たちの脳は、常に面倒なものを避けようと、私たちを誘導してきます。

では、どうすればこの「めんどくさい」という抵抗を避けることができるのでしょうか？

そこで、今回は、

について、詳しく解説していきたいと思います。

それでは、始めていきましょう。

私たちが「めんどくさい」と感じる理由

脳はエネルギー消費が少ないタスクを優先する

人間がこの世界で物理的な肉体を持っている以上、いかなる身体活動においてもエネルギーが欠かせません。

特に多くのエネルギーを消費するのが脳です。

我々の脳はできる限りエネルギーをセーブしたいので、目の前に複数のタスクがある場合、よりエネルギー消費が少ないタスクを選択させようとします。

例えば、他にやるべき事があるのにも関わらず、

• スマホを延々とスクロールしてしまう
• メールをチェックしてしまう
• テレビをダラダラ見てしまう

のは、これらの行動が非常に低負荷で、モチベーションを必要とせず、ほぼ労力ゼロで行えるからです。

It is human nature to follow the Law of Least Effort, which states that when deciding between two similar options, people will naturally gravitate toward the option that requires the least amount of work.

Atomic Habits, P151

習慣は求めている結果を得るための障害

ある意味、習慣と言われるもののすべては、あなたが本当に求めている結果を得るための障害であるとも言えます。

例えば、

• ダイエットは痩せるための障害
• 瞑想は心を落ち着かせるための障害
• ジャーナルは思考をクリアにするための障害

というように、あなたはこれらの習慣から得られる結果（感情・感覚）が欲しいのであって、その行動自体をしたいからしているわけではありません。

その習慣を行うことに対する負荷が高ければ高いほど、習慣化の難易度が上がります。

そのため、いかにその習慣を簡単なものにして、たとえ気が乗らない時でもやるようになるかというのが習慣化の鍵となります。

In a sense, every habit is just an obstacle to getting what you really want.

Atomic Habits, P152

習慣の「めんどくさい」をなくす方法

では、具体的にどのようにして抵抗を減らせば良いのかというところですが、やはりここでも環境の力に頼ることの重要性を唱えています。

本書では、習慣に取り掛かる際の「めんどくさい」をなくす方法を3つ紹介しています。

「めんどくさい」をなくす方法は3つ

• 生活の動線上に新しい習慣を組み込む
• 身の回りの障害物を排除する
• あらかじめ環境をセットしておく

それぞれ解説していきます。

生活の動線上に新しい習慣を組み込む

「めんどくさい」をなくすための有効な手段のひとつに、生活の動線上に新しい習慣を組み込むというものがあります。

例えば、これからジムに通って身体を鍛えようと思った時、職場と自宅の間の通勤ルート上にジムがあれば、わざわざ違うエリアのジムに行くよりも、抵抗がかなり抑えられ、習慣化の成功率が上がります。

この場合、完全にいつもの通勤ルートと同じエリアにあるというのが重要です。

たとえ1ブロックしか離れていないところでも、もうそこは通勤ルート圏外となり、あなたの意識の中では「わざわざ行うこと」と判定されていしまいます。

Habits are easier to build when they fit into the flow of your life.

Atomic Habits, P153

身の回りの障害物を排除する

「めんどくさい」をなくすには、身の回りの障害物を排除するのも有効です。

障害物とは、具体的にいうと普段の生活圏から習慣までの動線上にある、

• 邪魔なもの
• 気が散るもの
• 心理的な抵抗を生むもの

といったものです。

例えば、

• ダイエット中、友人と外食に行って食べるものを制限するよりも、最初から誘いを断る方が簡単
• 集中したい時、スマホの通知を気にしないように心がけるよりも、スマホを見えないところに移動させる方が簡単

といった具合に、セルフコントロールの力で抑えるよりも、潔くその抵抗の元から排除した方が賢明です。

Much of the battle of building better habits comes down to finding ways to reduce the friction associated with our good habits and increase the friction associated with our bad ones.

Atomic Habits, P155

あらかじめ環境をセットしておく

「めんどくさい」をなくすための、さらに有効な手段は、未来に行う習慣のために、あらかじめ環境をセットしておくという方法です。

例えば、

• 絵を描きたいのであれば、鉛筆、ペン、スケッチブックなどの必要な道具を机の上の手の届きやすいところにセットしておく
• ジムに行きたい場合は、トレーニングウェア、シューズ、バッグ、水筒などをあらかじめ用意しておく
• ダイエットをしようと思っている場合は、週末に野菜やフルーツを切って、小分けにしておき、すぐに食べられるようにしておく

というように、「あとはやるだけ」というところまで用意しておくと、取り掛かるまでの心理的ハードルがかなり下がるので、習慣化の成功率が上がります。

逆に悪習慣をやめたい場合は、その行動を行うまでのプロセスを複雑化したり、普段の行動範囲外に置いたりして、抵抗を大きくすることによって、やめることが容易になります。

例えば、

• テレビを見すぎていると感じたら、見終わるたびにコンセントを外す
• それでも十分な効果を得られなければ、さらにリモコンの電池を毎回抜く
• それでも十分な効果を得られなければ、テレビ本体を毎回クローゼットにしまう

のような感じです。

Whenever you organize a space for its intended purpose, you are priming it to make the next action easy.

Atomic Habits, P156

まとめ

めんどくさいをなくす方法【まとめ】

環境の力を借りて「めんどくさい」という感情を排除することはとても有効ですが、この感情は脳の防衛本能でもあるので、いくら、環境を整えても効果には限りがあります。

ですので、「めんどくさい」を避けると同時に、

• めんどくさくてもとにかくやる
• 最初のアクションをとにかく起こす

という「とにかくマインド」を持つことが非常に重要になってきます。

むしろ、このマインドセットを持つことこそが、究極の習慣化だと思っています。

一方で、「めんどくさい」という感情は、あなたをオーバーワークから守るための脳の大切な防衛機能です。

なので、「めんどくさい」と感じてしまうことに、罪悪感や自己嫌悪感を抱いてしまう人もいると思いますが、体が本当にやりたくないという信号を出しているときは、勇気を出して休むことも必要です。

ですので、今感じている「めんどくさい」は、

• ただの怠惰からなのか
• 体からのSTOPサインなのか

を正しく見極めるセンスが必要になります。

次回は、「未来の行動を決める決定的瞬間（Decisive moments）」というテーマについて深掘りしていきたいと思います。

それではまた、次の記事でお会いしましょう。