良い習慣は才能を超えるのか？｜『Atomic Habits』徹底解説

良い習慣を続ければ、誰でも成功できるのか？

の記事では、毎日1％成長すれば、1年後には約38倍成長しているという習慣の複利効果についてお話をしました。

確かに、習慣の力は強力で、何事も長く続けていれば、能力が指数関数的に上がるような印象があります。

しかし、ふと冷静になって、

という、現実的な疑問が浮かぶかと思います。

残念ながら、習慣によって、能力が生まれ持った才能の限界値を超えることはありません。

しかし、習慣の力によって成功するチャンスは誰にでもあります。

それには、自分の才能を見極め、正しい道で努力をする必要があります。

そこで、今回は、

という、4つの観点から、習慣の力で誰でも成功する方法を、詳しく解説していきたいと思います。

それでは、始めていきましょう。

才能に合った道を選ぶ

生まれつきの才能は変えることができない

どんな人にも、生まれながらにして得る才能や条件があります。

• 恵まれた体格
• 整った顔立ち
• 親の経済力
• 忍耐強さ

などの、先天的な条件は変えることができません。

そして、条件によっては、いくら自分がやりたいと思っても、身体的または経済的な理由で、挑戦することすらできない場合もあります。

天才が成功するとは限らない

また、ある人は特定の分野で際立った才能を持って生まれてきます。

しかし、たとえ天賦の才を持っていたとしても、あらゆる場所で輝けるわけではありません。

例えば、

• マラソンの金メダリストが短距離走に挑戦してもいい結果は得られない
• ボディビルのチャンピオンが水泳に挑戦してもいい結果は得られない

というように、それぞれの分野での適正があるので、どんな天才でも、選ぶ領域を間違えると、宝の持ち腐れとなってしまいます。

「好き」だけで選ぶと成功しにくい

何かに挑戦して、成功しようと思った時、ただ単に「好きだから」や「かっこいいから」という理由だけでその道を選んでしまうと、成功する確率が著しく下がってしまいます。

という場合であれば、何を選んでも構いません。

しかし、これから自分の好きなことのいくつかを犠牲にし、時間と労力を注いでその何かを達成しようと思っているとしたら、まず最初に成功する確率が最大値になる正しい領域を見つけることが重要です。

才能はあなたの運命を決めるものではない

ただ、勘違いしてはいけないのは、先天的な条件はあなたの運命を決めるものではなく、あくまでも可能性の領域を決めるだけです。

自分の才能に適していようがいまいが、成功するには習慣の力が必須です。

しかし、自分の才能との適性が高い領域ほど、行う習慣が苦になりにくく、楽しみながらできるという傾向があります。

鍵となるのは、自分の得意分野で勝負し、努力を正しい方向に定めるということです。

正しい方向の条件は2つあります。

• ワクワクすること
• 生まれ持った才能にマッチしていること

この二つのどちらが欠けてもいけません。才能と熱量がマッチしていることが重要です。

The secret to maximizing your odds of success is to choose the right field of competition. This is just as true with habit change as it is with sports and business. Habits are easier to perform, and more satisfying to stick with, when they align with your natural inclinations and abilities.

Atomic Habits, P218

性格と習慣の相性を考える

選ぶ道の方向性は遺伝子レベルで決まっている

あなたの遺伝子は確実に習慣に影響を与えています。

眼に見える領域ではなく、もっと奥深く潜在意識レベルで、すべての行動・選択の決定を担っています。

例えば、結婚や離婚、ドラッグやアルコールなどの依存症まで、あなたがどのような道を選ぶのかというは、すでにある程度遺伝子レベルで決まっています。

そこで、習慣や行動のプランを立てる前にまずはあなたの性格を分析して、適切な行動指針を打ち出す必要があります。

ビッグファイブによる性格分析を活用する

もっとも信ぴょう性のある性格分析の指標のひとつにBig Five（ビッグファイブ）というものがあります。

この指標を使って、まずはあなたはどういう人間なのかということを可視化しましょう。

この5つの項目はすべて生まれつきの性質です。

習慣は必ずしも性格だけで決まるわけではありませんが、ある一定の方向性を示していることは疑いようがありません。

まずは自分という人間を客観的に分析し、その性格に合った習慣を模索する必要があります。

例えば、極度の人見知りの人にとっては、グループに属して他人と一緒に何かをするというのは苦痛でしかないので、一人で黙々と習慣を積み上げていく方が向いているでしょう。

一方、人と関わるのが好きな人は、逆に人の目がないと挫折してしまい、誰かと一緒にやった方がモチベーションを保てて習慣を継続しやすいということがあります。

最良の方法が自分にとって最適とは限らない

ネットや自己啓発書から学んだ知識を、これは良さそうだとそのまま自分に適用しても、自分の性格に合っていない場合があるので、まずはその内容が自分に合っているかどうかを考察する必要があります。

大事なのは、その習慣を行うことによって、自分が楽しい・嬉しいと感じることができるかということです。

Our habits are not solely determined by our personalities, but there is no doubt that our genes nudge us in a certain direction. Our deeply rooted preferences make certain behaviors easier for some people than for others.

Atomic Habits, P221

勝負できる土俵で勝負する

好きなことと得意なことは一致しない

成功するための前提条件として、まずは得意なことを選ぶということです。

得意なこととは、やっていて苦にならないことです。

ここで注意したいのは、好きなことと得意なことは必ずしも一致しないということです。

とはいえ、いくら得意でも嫌いなことであったり、楽しいと感じないことは続きません。

得意なことの見つけ方

では、どのようにして自分が勝負できる道を判断すればいいのでしょうか？

次の質問に答えてみてください。

• あなたには楽しいと感じるが、ほかの人にはそうではないものは何か？
• 時間を忘れて夢中になれるものは何か？
• ほかの平均的な人よりも、あなたの方が多くのリターンを得られるものは何か？
• あなたがあなたらしくいられるものは何か？

かなり的は絞られてきたのではないでしょうか？

自分がベストになれる分野を作り出す

しかしながら、いくら得意なものでも、ある一定のレベルまで達すると必ず壁にぶち当たります。

そこからさらに上を目指すかどうかは、あなたの才能を見極めて判断する必要があります。

残念ながら、すべての人が自分の得意な分野で勝負できるとは限りません。

時には自分の才能の限界を見極め、早々に撤退する勇気も必要です。

しかし、だからと言って完全にその道を諦める必要はありません。

あなたがその分野でのベストになれないのであれば、今あるスキルを組み合わせて、誰もやったことがないことを生み出せばいいのです。

こうすることによって、生まれつきの才能のハンデをある程度無効化できます。

真の成功者とは、何かのゲームでトップになる人ではなく、新しいゲームを創造する人です。

When you can’t win by being better, you can win by being different. By combining your skills, you reduce the level of competition, which makes it easier to stand out.

Atomic Habits, P225

才能を最大限に活かす

易しいと感じるものでハードワークする

私たちの才能は、いかにハードワークをしないで取り組むことができるかではなく、何にハードワークをして取り組むべきかを教えれくれます。

あなたの性格とスキルにフィットしたものを選び、それにエネルギーと時間という貴重なリソースを投資して、易しいと感じるものでハードワークをするというのが正解です。

人より努力できるものがあなたの才能

いくらあなたに才能があっても、それに取り組まなければ、成功というのはあり得ません。

例えあなたにボディビル世界チャンピオンになる素質があったとしても、実際のチャンピオンがこなす量のトレーニングをしてみないことには、本当にあなたに才能があったのかどうかはわからないのです。

要するに、才能があるからこそ、人よりも努力することができるということです。

才能＝その分野で誰よりも努力できる特権

結局のところ、「才能がある」とは、「その分野で誰よりも努力ができる特権を得た」ということだけなので、努力なしにポテンシャルを最大限発揮できるという魔法でもチートでもありません。

したがって、才能を最大限活かすには、最大限に努力するほかありません。

得てして真の成功者は己の努力をいたずらにひけらかさないので、我々凡人は彼らは運が良かっただけと片付けてしまいます。

しかし、彼らの成功は毎日やるべきことをやってきたという自信と、自分はできるという信念に裏付けされたものであって、決して運だけで辿り着けるような境地ではありません。

In summary, one of the best ways to ensure your habits remain satisfying over the long-run is to pick behaviors that align with your personality and skills. Work hard on the things that come easy.

Atomic Habits, P227

まとめ

習慣と才能【まとめ】

才能を最大限に活かすには、習慣の力が不可欠であり、習慣の力を最大限活かすには、自分の才能とマッチした分野で努力をする必要があります。

どちらも成功や自己実現にとって欠かせない要素ですが、私が最も大事だと思うのはセンスです。

センスとは、自分の才能を正しく表現できる能力です。

なので、センスがないと、せっかくの才能も宝の持ち腐れとなってしまいます。

ただ、センスは才能と違って、後から伸ばすことができます。

しかし、センスは好きなことやワクワクすることをすることでしか磨かれません。

なので、たとえ今から挑戦する分野が、好きなことではなく得意なことであったとしても、その材料となるのは、好きなことで培ったセンスです。

例えるならば、料理好きな人が、余りものでチャチャっと簡単なものを作るようなイメージです。

ですので、何かに挑戦する際は、この才能・習慣・センスの3つの要素を、うまく見極めてブレンドさせてもらえればと思います。

次回は、「モチベーションの保ち方」について、深掘りしたいと思います。

それではまた、次の記事でお会いしましょう。